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素敵なクリエーターさん達の作品をお勧めしたいマガジン

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私の心が素直に動いた、他の方の素敵なお勧めしたい作品の掲載。 最近は、作者の方にきちんと許可を得て掲載してます。
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#写真

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松本侑也 絵画作品

写真詩「訃報」

それはいつでも唐突にもたらされる 代り映えのない日常を裂くように 平凡であることを見下していた 普通であることを嫌悪していた 個性的であることに憧れていた そんな子供じみた私に あなたは教えてくれた 平凡であることのしたたかさを 普通であることの強靭さを 個性とは無理に生み出すものではなく 自然と滲み出るものだと 紫陽花の季節に あなたは逝ってしまった あなたの遺影に寄り添うように BEATLESが流れていた あなたらしいお別れだった

生き方

芽生える場所が選べるなら 私はどこに でもその場所が永遠でないなら 私はどこに 芽生える場所が選べないなら 私はどこに 選ぶことに意味はあるの 選ぶことで安泰なの それはわからない だって 変化するものだから 良い選択に思えても それが良い選択かは 未来にしか知れない であるなら 芽生えてしまった場所で生きる 芽生えた場所で花を咲かせる それもひとつの生き方 それが正しいかどうか それが良いかどうかなんて もちろんわからないけれど 選べないことが悪いこと そう決めつ

【詩】堤防にて

防波堤の突端で猫と一緒に 波の浮き沈みを くつろぎながら 眺めている 隣で魚を釣っているおじさん 小魚を釣ると 猫の前に置いて 美味しそうに 猫は魚を食べる 釣り人がくれる魚を のどかな空気の中で 猫は毛づくろいをして 昼寝をして 気長に待つ サンダルを持って ゆっくりと歩いていると 猫もまた 後ろを追いかけるように ゆっくりと歩く 都会の喧騒はそこにはない 汚れたとは言わない ズルくなったとも言わない ただ都会の生き方に 慣れてきただけ 無邪気だったあの頃 都会

自分らしさ (詩)

愛が重いの? でも、これが私なの 重くない愛ってあるのかしら? 適当に愛することなんてできない 想いが、ぎゅっと詰まってるから 重いのよ 目に見えないものは 尊いの あなたを心配しても 眉をひそめないで 安否が気になるのは 私には当たり前のこと (xに投稿した詩に、加筆しました。詩のお題は 自分らしさでした)

【詩】銀河系

止めてしまえば楽なことを 僕はなぜ続けているんだろう 追い立てるのは 人ではない 時間でもなければ 考えてみれば 僕は追い立てられていない 誰からも 自分からも 追い立てられなければいけない世界 追い込まれる世界 追い込む世界 追いつめる世界 人工的に出来た円の中で 喜び悲しみ つついて笑い泣かせても 見てるだけ 僕はそれを黙って見ている 円の中を 重みを得た球は円の外に はじき出される 球の重さなんて人それぞれで きっとかまわない 円の外に出そうな男の子を

終演

心で喜んでみては その分だけ 苦く 苦しい思いをする かけ引きとかは 昔から嫌い まるで盤上のゲームみたいに 敗者は頭を項垂れるだけ ブレーキの故障で 先走り過ぎて そっと 追いかけていた背中を 追い越してしまったみたい 手を伸ばしても 手を伸ばしても あなたを掴まえる事は 私には難しかった 哀しいのに 苦しいのに 涙の流し方もわからない 無慈悲で曖昧な言葉だけが 脳裏でフラッシュバックする どうせ 無関心な対象物ならば 切って捨てれば良かったのに 優

【詩】確かめる

どうぞ一人にして どうぞ一人にしないで ありがとう ケーキに恋と飾って 雨のように降る好きの数 嬉しいのに時々空虚になる 本当に欲しいものは違うけど 似ている そう 似ている 好きの押し売りは 嫌いじゃないけど 自分の本当の気持ちが わからなくなる そうしてるのか そうされてるのか 自分の気持ちさえ曖昧 そうかもしれないと 圧力でもない 強力な思いが迷わせる たくさんの好きが 愛と結びつかない 欠損した何かの 代わりのモノ 欲し

【詩】させない

こんな言葉を見るとは LINEの文字にキエタイの文字が浮かぶ 即答するほど簡単ではない 冗談の雰囲気はない 笑って済ませる問題じゃない 間のあいた返事 もう一度見る メッセージは消去 見なかったことにする 君の心は荒れ狂う涙じゃなく 何かを諦めた凪 一億キロメートルの距離 僕が出来ることは何だろう 途切れることないメッセージ 垂れ流してると言われても 続く返信 進む時間で疲労が 自分では取り除けないほど 張り付き 耐えられなくなり スマホを壁に投げつける

【詩】ないという希望

起こらなければと 広い大地に火の玉と プロペラのついた 火薬を持った目だけ持つ飛行物 キャタピラのついた 黒い四角の前方には棒がある 敵陣に向けお互いが 火球に飲み込まれていく 札束を掲げたものだけがもらえる 片道切符 遥か遠く海と山を越えた画面の向こう側の 天気予報のように聞く情報 あるはずのないことに慣れた日々 火種のないところに 火種を作るたった一人の指名手配犯 火種のあるところに ガソリンを降らす愚か これも海と山を越えた先の話 不可思議な火種に降らす