(改訂版)【認知的不協和理論】「ネトウヨ」と「リベラル」を分けるもの【脳の構造】/「歴史否認」「陰謀論」はどこから生まれるのか?――③「ネトウヨ・カルト」が生まれる仕組み。『防衛機制』と「陰謀論」「歴史修正主義」
「ネトウヨ・カルト」が生まれる仕組み
◉その1.『ピラミッド支配構造』の絶対化。••••[規則ルールの絶対化]
受験競争や体育会系、あるいは軍隊や企業や官僚機構などような『ピラミッド支配構造』の中で、「競争に勝たなければならない。負けたら生きる価値がない」というような社会的・精神的・物理的圧力(ストレス)の中で、ひたすら上を目指し 、「勝った!、負けた⋯」と繰り返していく内に、いつの間にかその『ピラミッド支配構造』を絶対化するようになる。
そこでは、①「権力者に認められること」、そして、②「他者に勝つこと、人の上に立つこと」が生きる目的・喜び・快感となる。
そのピラミッド支配構造の中では、権力者の命令は絶対であり、他者との「競争・勝敗・順位・強弱・優劣・上下・⋯」が価値の全てとなり、規則ルールや道徳・習慣・風習・慣例・学歴などの「共同幻想」を絶対化し、それを他者に強要し、異質者を排除し、敗者・弱者・少数者を差別・蔑視し、その構造に対する反対者・批判者・脱落者を攻撃しようとする。
そして、そのピラミッド構造の中で、生き残るために上に向かって必死に出世競争している内に、いつの間にか視野が狭くなり、生きる選択肢がなくなり、自分を客観的に見れなくなり、他者に対する共感能力がなくなり、相手の立場に立って考えることができなくなる。
脳が『依存状態』になる仕組み。
それは気づかない内に、ストレスにより脳の抑制機能(葛藤・懐疑・共感)が低下し、依存状態になってしまっているのである。
脳が依存状態になるとピラミッド支配構造を絶対化し、「自分の行動(競争・服従・隷属)こそ正義」と思い込み、「反対者・批判者は悪」というような二項対立・善悪二元論に陥ってしまう。そして、「1番でなければ意味がない。反抗してはならない。皆と同じでなければならない」と思い込み、自分の行動を否定する人、批判する人に対して激しく憎悪し、攻撃するようになる。
それは「他者に勝ちたい。権力者に認められたい。否定されたくない」というストレスから生じる不安・恐怖・不全感・劣等感の暴走を軽減しようとする心理的メカニズ厶の働きによる。
それは、“ギャンブル・酒アルコール・薬・虐め・買い物・SNS・痴漢・万引き・自傷行為・仕事中毒(ワーカホリック)など”と同じで、その根底にはストレスなどによる脳の神経伝達物質のバランスの崩壊による「前頭葉の機能低下」と、「扁桃体の活性化」に伴う不安・恐怖の暴走がある。
その不安・恐怖・不全感・劣等感が増大する中で、快感・優越感(ドーパミン放出)を求めて無意識の内に行動を起こし、1度その『報酬系の回路』が出来上がると、その“快感”を求めて「やめたくても、やめられない」状態になり、自分の行動を制御・抑制できなくなっているのである。
◉その2.『脳の依存状態』と「被害妄想」••••[依存行動の正当化]
“依存症”は『ドーパミン』が大きく関係していることが言われている。『ドーパミン』は快感・優越感をもたらす神経伝達物質で、ストレスが増大し、不安・恐怖が暴走する中で、依存行動(いじめ・差別・誹謗中傷・万引き・痴漢など)をすることで、快感・優越感(ドーパミン放出)を得ようと、身体が無意識の内に動いてしまうのである。
それと同時に『ドーパミン』が過剰になると“妄想・幻覚”が酷くなることも知られている。
つまり、不安・恐怖を軽減しようとする心理的メカニズムの中で、何か大きなもの、権力者・強者・教祖に「依存・同一化」し、弱者・少数者を「攻撃」することで安心感・優越感を得ようするとともに、その依存行動を正当化するために、心の中の不安・恐怖を投影した幻覚・妄想を作り出す。例えば、悪魔や幽霊や妖怪や仮想敵・対立組織を作り出すことで、自分の行動(依存・同一化)を正当化しようとするのである。
◉その3.『脳の依存状態』と「優越の錯覚」••••[ダニング=クルーガー効果。葛藤の低下]
また、『ドーパミン』は「優越の錯覚」とも関係していることが言われている。
そのことは、「脳の依存状態」が進めば進むほど、「前頭葉」と「報酬系」の機能的結合が弱まり、ドーパミン放出量が増加し、心の葛藤が無くなり、「優越の錯覚」が強くなることを意味している。
そこでは“国家・権力者・教祖・強者”と同一化し、規則ルールを絶対化し、それを他者に強制することで、快感・優越感を得ようとしているのである。(とんても校則、経営計画書(BM)、国旗国歌条例(大阪)、マスク警察、自粛警察、PCR抑制論、ボランティアバッシング、冷笑主義、私人逮捕、改憲など)
◉まとめ.「ネトウヨ・カルト」が生まれる仕組み••••[不安・恐怖・不全感・劣等感を軽減しようとする防衛本能]
以上のことから、〘脳の依存状態〙=「集団主義・帰属意識」「被害妄想・他責思考」「優越の錯覚・選民思想」は、相関関係にあると仮定できる。
そしてそれは、「自分の行動を正当化したい」という防衛本能から来ている。
『ピラミッド支配構造』の管理競争社会の中で、「負けてはいけない、逃げてはいけない。教祖に認められたい。人の上に立ちたい。金持ちになりたい」というようなストレスが強まるとともに神経伝達物質のバランスが崩れ、不安・恐怖が高まり、それを軽減しようとすら防衛本能が働き⋯
そうして脳が『依存状態』になり、「報酬系の回路」が出来上がり、「ネトウヨ・カルト」や「ファシズム」が生まれる。そこでは、国家・権力者・独裁者・強者・教祖と同一化し、弱者・少数者・批判者を攻撃することで快感・優越感・安心感を得ようとする。
それは心の中の不安・恐怖・不全感・劣等感を軽減しようとする心理的メカニズム。
それは『理想の自分』と『現実の自分』との認知的不協和が大きいほど、「こうでなければならない。負けてはいけない」というストレス(社会的圧力・同調圧力・強迫観念)が大きいほど、脳が依存状態になり、国への「愛国心(帰属意識)」が強くなり、規則ルールを絶対化し、「優越の錯覚」や「被害妄想」が強くなり、「陰謀論」や「歴史修正主義」に嵌まりやすくなり、ネトウヨ・カルトになりやすくなる。
それは、現在の日本の社会環境(生育環境)において、便利になればなるほど、管理競争社会が進めば進むほど、規則ルールを絶対化しようとすればするほど、ストレスが増大し、「脳の発達」=「自立心」が阻害され、保守化しやすく、ネトウヨ化しやすくなっているとも言える。
【権力志向】と 『御用学者』
そうして脳が『依存状態』になっていくと、客観的視点が失われ、論理的・体系的・多角的・科学的思考ができなくなる。『ピラミッド構造社会』の中で「他者に勝ちたい、権力者に認められたい。人の上に立ちたい」という欲望(優越欲求・承認欲求)の中で、その支配構造を正当化しようとする『認知バイアス』が働くと同時に、それを壊そうとする者、否定する者たちに対して嫌悪感を示す。
そこでは自分の保身と、権力者・企業・組織を守ることが全てとなる。(例;水俣病における御用学者→「工場排水が原因でない。貧乏人が腐った魚を食べたためだ。批判者は外国に操られている」)
そこでは、物事を一面的にしか見れなくなっている。思考が「敵が味方か、善か悪か」の二項対立に陥り、「自分の行動を肯定する者」=『善』、「自分の行動を否定する者」=『悪』となる。「権力・組織・教祖を守ろうとする者」=『善』、「批判・否定する者」=『悪』となる。
そして、その自分の依存を正当化するために認知を変更する。
ピラミッド支配構造の中で『とんでも校則・規則・道徳・慣習など』を守ることで、組織・権力者への「忠誠欲・服従欲」を示すとともに、それを他者に強制することで、「支配欲・コントロール欲」を満たそうとしているのである。→【権力志向・御用学者】
「自分の存在を正当化すること=“ピラミッド支配構造(教祖・組織)”を絶対化すること」で、万能感・優越感・安心感を得ようとするとともに、「企業や権力を批判し、責任を追及する者たち=その構造を否定する者たち」に対して、自分を守ろうとする『防衛本能』から攻撃的になる。
そこでは、“権力者に気に入られること”が全てとなり、権力者に“媚を売る”と同時に、反対者・被害者・少数者に対して、より過激に“攻撃・誹謗中傷”することで、仲間に自分の『存在価値』を誇示しようとする。
“強者・権力者・独裁者”を支持し、“弱者・少数者・批判者”を攻撃することで、自分が“強者”になったように錯覚し、気持ちが良くなっている。
しかし、どんなに弱者・少数者・批判者・反対者を攻撃しても、潜在意識の中の不安・恐怖・不全感・劣等感・罪悪感は収まることはない。自分の置かれている状況(抑圧・ストレス・強迫観念)は改善することはない。
どんなにいい大学に入っても、馬車馬のように働き続けてカネを稼いでも、高級車を乗り回しても、たくさんの異性にモテたとしても、決して心は豊かにならない。満足できない。どんなに薬を飲み続けても、どんなに弱者を“いじめ・虐待・パワハラ・誹謗中傷”しても、どんなに批判者や外国人を追い出しても心の中の不安・恐怖は収まることはない。それは「脳の病気(依存症)」なのだから、その病気を治さない限り無くならない。
どんなに都市開発しタワマンだらけになっても、地方の隅々まで新幹線が通っても、リニアが開通しても、原発再稼働しても、財政拡大させても、老人が全部いなくなっても決して日本は豊かにならないし、満足することはない。強迫観念に取り憑かれ、常に自然を破壊し、開発し続け、反対者・少数者を叩き続けなければならない。
それと同じように、例えばロシアや中国・北朝鮮や大日本帝国のように、どんなに軍備増強し、核武装しても決して安心することはない。むしろ心の中の不安・恐怖(被害妄想・猜疑心)は膨張・暴走し続け、常に誰か(仮想敵)を攻撃し、侵略し、批判者を粛清し続けなければならない。
そこでは無意識に『悪い自分』を投影した生贄・仮想敵を作り出し、攻撃することで、心の中の不安・恐怖を軽減し、安心感・優越感を得ようとする心理的メカニズムが働いている。→【防衛機制】
【防衛機制】とは何か?――『善悪二元論』
【防衛機制】とは、「不安・恐怖・不全感・劣等感を軽減しようとする『心理的メカニズム』
管理競争社会の中で、体罰・虐待・過干渉などのストレスに晒され続けると脳の抑制機能の成長が抑えられ、「自立」することが困難になる。1つの価値観〔比較・競争・優劣・学歴⋯〕に凝り固まり、生きる選択肢が狭まり、融通が利かなくなる。共感能力が崩壊し、相手の立場に立って考えることができなくなる。
その植え付けられた『ピラミッド支配構造』の檻の中で、『良い(褒められる)自分』と『悪い(怒られる)自分』、あるいは「こうなりたい」という“欲望・理想”と、「思うようにならない」という“現実・挫折”との不協和が拡大していくと、そこから生じる不安や苦痛や劣等感や罪悪感を軽減しようとる圧力が強まっていく。
その不安や苦痛や不快感や劣等感や罪悪感を軽減し、自分の行動を正当化しようとする無意識的な『心理的メカニズム』を【防衛機制】という。
では具体的にどんな防衛機制が働くだろうか?
【分裂(防衛機制)】と「善悪二元論」の関係
物事にはすべて『良い側面』と『悪い側面』があるが、ピラミッド支配構造の管理競争社会の中でストレスが増大するに伴って脳の抑制機能が低下し、分裂が起こると、多角的に物事を見ることができなくなる。そこでは“善か、悪か”、“敵か、味方か”の二分割思考(善悪二元論・白黒思考・0か100思考)になる。
それは「親から認められたい。否定されたくない。怒られたくない」という不安・恐怖の中で、『良い(褒められる・認められる)自分』と『悪い(怒られる・否定される)自分』に分裂させ、自分の『良い側面』しか見えなくすることによって、『悪い側面』によって自分が否定される不安・恐怖・苦痛を軽減しようとする『心理的メカニズム』から来ている。
過干渉・体罰・虐待の中で、「親の命令は絶対。規則ルールは絶対。勝たなければならない。いい学校に入らなければならない。レールから外れたら負け。逃げてはいけない。皆と同じでなければならない⋯」という思い込みの中で、脳が依存状態になり、1つの価値観に凝り固まっでしまい、世界が『善』と『悪』に分裂してしまう。
ピラミッド支配構造の中で「(規則命令を守る)自分こそ善、優れている、強い、美しい、尊い」と思い込むとともに、「(規則命令を破る)反対者は悪、劣っている、弱い、醜い、汚い」と認知を変更する。
そこでは、自分の行動・価値観こそ『善』であり、それを否定するものは『悪』となる。「ピラミッド支配構造(権力)に服従する」=『善』であり、「ピラミッド支配構造(権力)を批判する」=『悪』となる。
そして、権力者・教祖・強者・多数派(=善)と同一化し、反対者・弱者・少数者・子供(=悪)を攻撃・支配・コントロールすることで、自分の中の不安・恐怖や劣等感・無能感を払拭し、優越感・万能感・安心感を得ようとする。
例えば学歴社会の中で、いい学校に入る為に必死に受験競争に打ち込んできた人にとって、学歴社会や受験競争を否定することは、自分がやってきた行動=自分の存在そのものを否定することになる。そうなると「学歴社会・受験競争・格差社会」=『善(勝ち組)』であり、それを否定する「平等・ゆとり教育・個性・自主性尊重」=『悪(負け組)』となる。
体育会系で、“オリンピック”や“甲子園”を目指し必死にやってきた人にとって、それを否定されることは、自分の行動を否定されることと同義であり、その人達は『悪(敗者)』となる。
そのピラミッド支配構造の中で、「権力者に服従する」=『善』であり、「反抗・批判する」=『悪』となる。「国旗国歌・靖国神社・教育勅語」=『善・愛国者・美しい・強い・勝者・日本人』であり、「反対者」=『悪・反日・共産主義者・醜い・汚い・弱い・敗者・日本人ではない』となる。そう認知を変更する。
そして、その自分の依存行動を正当化しようとするあまり、その『ピラミッド支配構造』に反抗する自立的な人たちに対して激しく憎悪・攻撃する。それは「自分が否定されたくない」という不安・恐怖や劣等感や罪悪感の裏返しで、自分に自信がないからに他ならない。
それは『自己肯定感=自立心=尊厳』の低さ、精神の未熟さからくる。
そこ(ピラミッド構造社会)では、競争の中で「1番でなければ意味がない。差別や格差は当たり前。体罰は必要。自分は正しい、優れている」と思い込み、「それ以外の“考え方”や“生き方”もある」というような(フラット構造社会)「1番でなくても良い。失敗しても良い。逃げても良い。はみ出しても良い。個性が大切。差別反対。体罰禁止。ジェンダーフリー」という意見に対して、自分の存在が否定されたように感じ、激しく憎悪し、攻撃する。
その思い込み・被害妄想から、御用学者が生まれ、ネトウヨ・カルトが生まれる。自分の行動を正当化しようとする余り、「反対者はカネのためにやっている。醜い。汚い」「敗者が嫉妬している」「被害者は嘘を言っている」「批判者は在日で、日本を貶めようとしている」と認知を変更し、客観的・科学的思考が失われてしまう。
それは、『カルト宗教』についても同じことが言える。
心の中の不安・恐怖・不全感・劣等感・罪悪感が増大する中で、それを軽減するために、神・教祖を崇拝し、服従することに自分の存在意義・安心感を見つけようとする。そして、その忠誠心を示すために、布教活動や多額のお布施を熱心にやってきた人にとって、その宗教が否定されることは自分の行動を否定されることと同義あり、そのために必死にその宗教を守ろうとする。
そこでは、「自分達は正義・選ばれた人間」=『善』と思いこむと同時に、「批判者は悪魔・共産主義に操られている。自分達を陥れようとしている」=『悪』に見える(妄想・幻覚)。
それは官僚組織でも、独裁国家でも、ブラック企業でも同じ。そのピラミッド支配構造の中で権力者に認められようと必死にやっているうちに、その行動を正当化するために、否定的な意見に対して、「自分を陥れようとしている。外国に操られている。スパイだ。共産主義者だ」というような被害妄想に取り憑かれ、防衛本能から口汚く相手を攻撃しようとする。
それらは、自分の行動を正当化し、不安や劣等感を軽減しようとする『防衛機制』から来ている。「国の為、子供達の為にやっている。自分こそ正義・愛国者。反対者は悪・反日・共産主義者」と主張することによって、自分の『既得権益(ピラミッド支配構造)』を守ろうとしているのである。
そして、その他の関連する『防衛機制』として
【抑圧】
【否認】
【同一視・同一化】
【投影性同一視】
「陰謀論」「歴史修正主義」が生まれる『心理的メカニズム(防衛機制)』
「劣等感・罪悪感」を軽減しようとする『心理的メカニズム』
ピラミッド支配構造の中で社会的ストレスが強まると、自我が『良い自分』と『悪い自分』に【分裂】してしまう。
そして、どうしても受け入れ難い『悪い自分』を【否認】すると同時に、潜在意識に【抑圧】した『悪い自分』を他者に投影し、攻撃することで、あたかも相手に“欠点・落ち度”があるように誘導し、責任転嫁しようとする。
そうすることで、自分は『良い自分』のままでいられる。そうすることで優越感・万能感を得ることができる。
それは、弱肉強食の競争社会の中で生じる不安・恐怖・不全感・劣等感・罪悪感を軽減するための防衛本能。
分裂した『良い自分』を権力者・強者・教祖と同一化し、規則ルール・礼儀・慣習・道徳を絶対化し、『悪い自分』を弱者・少数者・異端者に投影し、相手を攻撃・いじめ・虐待・パワハラすることで劣等感を解消し、優越感を得ようとする。
そこでは「自分は正しい。優れている。正義、美しい。スゴイ。愛国者」、そして「相手が間違っている。劣っている。嘘つき。醜い。汚い。反日。共産主義者」と認知を変更し、「自分が間違っているのではないか?」という葛藤や、相手への共感能力が失われてしまっている。
そこでは、自分の行動を正当化するために、「自分は悪くない。相手が悪い。嘘を言っている」と認知を変更する。そして、いかにも相手が悪いと決め付け、攻撃することで、自分の中の劣等感・無能感・罪悪感(失敗・不正・嘘)を消し去ろうとする。
【投影性同一視】とは?
それは、鏡に映った本当の自分の姿
つまり【投影性同一視】は、分裂した『悪い自分』(醜い行動・欲望・後ろめたさ・劣等感・罪悪感)を映す鏡と言える。相手が「そう見える」ということは、実は「自分がそういう行動をしている」ということでもある。
よく、相手を激しく攻撃・誹謗中傷している人を見て、「それは自分自身のことだろう」と言うことがある。例えば、“煽り運転”をした人は、たいてい「自分の方が煽られた」と言う。嘘つきは「相手が嘘を言っている」と言う。虐待・体罰する人は「自分が攻撃された」と言う。攻撃的な人(軍国主義者・独裁者)は「自分達は攻撃されている」と言う。差別主義者は「自分が差別されている」と言う。頭がおかしい人は「周りの人たちは頭がおかしい」と言う。
それは自分がやっている行動・感情・欲望を、相手に投影しているのである。そうして自分の行動を正当化しようとしているのである。
「あいつは金の為にやっている」とか、「あいつはズルしている」「敗者が嫉妬しているだけだ」「甘えている。我慢が足りない」と思うのは、普段から「人に勝ちたい、金持ちに成りたい。人の上に立ちたい」という思いが強いからであり、また同じように、「あいつは人をバカにしている、見下している、上に媚びている」と見えるのは、自分が上下関係に拘りが強いからに他ならない。
カルト宗教に洗脳され、教祖に“服従・隷属”しているカルト信者は、「批判者は悪魔に洗脳され、悪魔に操られている」ように見える。権力者・独裁者に“服従・隷属”しているネトウヨは 、「自分は正しい。中立。普通の日本人。愛国者」と言うとともに、「マスコミは偏向している。批判者は在日だ、共産主義者だ、外国に操られている。外国に服従し、忠誠を誓っている」と攻撃する。⋯それは鏡に映った自分の姿。
それは、心の中の劣等感・罪悪感の表れであり、自分に自信がないからに他ならない。
自信がないから、唯一の拠り所の『日本人』というものに異常に拘り、国家と同一化し、権力に依存・服従・隷属し、「国家のために死ぬ」ことに存在意義を見い出し、それを美化しようとする。そうすることで優越感・万能感・安心感を得ようとしているのである。
そこでは、「日本は神の国。日本スゴイ。日本人は優れている。日本人は選ばれた民族」と思い込むとともに、「日本は絶対に悪いことはしない。虐殺はなかった。侵略ではなかった。被害者は嘘をついている。日本を弱体化するための捏造だ」と『悪い日本』を否認する。
そこでは
国家権力に服従・忠誠=権威主義=大日本帝国=靖国・特攻=【善】であり、
国家権力に反抗・批判=民主主義=日本国憲法=第9条・人権尊重=【悪】となる。
その善悪二元論に囚われ、客観的視点が失われ、「日本の過去を反省し戦争責任を認めたり、権力の不正を追求する者達は自虐だ。日本を貶めようとしている。在日で、中国のスパイ工作員である。他国に忠誠を誓っている」というように認知を変更し、思い込み、誹謗中傷し、「日本人ヘイトだ!」と怒りだす。
【投影性同一視】と「陰謀論」「歴史修正主義」
ピラミッド支配構造の管理競争社会の中で、「人に勝ちたい。権力者に認められたい。否定されたくない。仲間外れにされたくない。皆と同じでなければならない。⋯」というような同調圧力・強迫観念のストレスが掛かり続けていると、脳内神経伝達物質のバランスが崩れ、抑制機能が低下し、不安・恐怖・不全感・劣等感・罪悪感が増大していく。すると、それを軽減しようとする防衛機制が働く。
そこでは客観的視点が失われ、「陰謀論」や「歴史修正主義」か生まれ、「ネトウヨ・カルト」が生まれる。
分裂した『良い自分』を国家・権力者と同一化するとともに、『悪い自分』を反対者・批判者に投影し、その善悪二元論の中で、「自分は善、愛国者。悪いことはしない。優れている」と思い込むと同時に、「反対者は悪、反日、共産主義者、在日、外国のスパイ。悪いことをする。劣っている」と思い込む。
そうすることで、自分の中の不安・恐怖・不全感・劣等感・罪悪感を軽減しようとする。
その善悪二元論の中で、
『良い自分』=『良い日本』=『大日本帝国』=「美しい。スゴイ。悪いことはしない」
『悪い自分』=『悪い日本』=『中韓朝・共産主義』=「醜い。野蛮。悪いことをする」
と認知を変更する。
そこでは、日本の戦争責任や、権力の不正や犯罪を指摘し追求する人に対して、「外国に操られている。洗脳されている。日本を貶めようとしている。日本人ヘイトだ」と思い込み、誹謗中傷する。
ピラミッド支配構造の中で、『良い自分』=「規則ルールを守る。国家のために命を捧げる」という認知(価値観・信念・行動・依存)を正当化するために、「日本は周辺国に酷いことをした。侵略・略奪・虐殺をした」という認知(歴史的事実)を変更する。
それは自分の中にある劣等感・罪悪感を軽減しようとする防衛機制から来ている。
【投影性同一視】と「プロパガンダ」
他国を侵略する攻撃的な国家は、たいてい「相手が攻撃してきた。これは自衛のための戦争だ」と言う。そうして自分の行動を正当化する。
そして、独裁者は国家と同一化し、「自分の行動は正しい、愛国者」と主張すると同時に、「反対者を外国に操られ、自国を貶めようとしている。売国奴。敵国のスパイだ」と言って粛清する。
そうすることで、自分の権力支配を正当化し、絶対化しようとする。それは自分の心の中の不安・恐怖・不全感・劣等感・罪悪感を軽減しようとする防衛機制から来ている。
そこでは無意識の内に、国民の不安・恐怖・憎悪を煽ることで、ピラミッド支配構造を絶対化し、自分の権力支配を正当化しようとしているのである。
そして、それと同じような手法(プロパガンダ)として【ウイグル話法】がある。
【ウイグル話法】
これも【投影性同一視】と見ることができる。
ピラミッド支配構造の競争社会の中で、不安・恐怖・不全感・劣等感・罪悪感が増大し、自我が分裂し、自分と国家・権力者を同一化し、反対者・弱者・少数者を攻撃することで自分の依存を正当化しようとする。
「日本スゴイ、日本は優れている、悪いことはしない」と思い込み、「虐殺はなかった。侵略ではなかった。植民地ではなかった。強制連行・強制労働はなかった。従軍慰安婦はただの売春婦」と歴史否認し、同時に、その否認した『悪い日本』を他国に投影し、「敵国が日本を侵略しようとしている。批判者は外国に操られている。マスコミは在日に支配されている」と認知を変更する。
【沖縄話法】【LGBT話法】
同じように、沖縄で辺野古埋立・新基地建設反対運動に対して、「反対者は在日。野党は中国のスパイ。野党が勝つと中国が攻めてくるぞ!」というデマ、陰謀論を広めることで自分の権力支配構造・既得権益を絶対化しようとする。
また最近では、保守派を中心に「“LGBT法”が通ると、女性トイレや女性風呂に男が入ってくるぞ!」というような言説が盛んに拡散され、人の不安・恐怖を煽ることで、自分の(少数者)差別を正当化しようとする。
それらも、1つの【投影性同一視】だと言える。つまり、自分が普段からやっている行動を批判者に投影し、批判・攻撃することで、自分の中の不安・劣等感を軽減し、自分の行動(依存・服従・隷属・差別)を正当化しようとしているのである。
【優越の錯覚・選民思想】と【被害妄想・陰謀論】はワンセットの症状――『ピラミッド支配構造』の絶対化
それらの行動は、自分に自信がないからに他ならない。「自分が否定されたくない。バカにされたくない」という不安・恐怖・劣等感・罪悪感の裏返しで、それらを軽減しようとする『心理的メカニズム(防衛機制)』から起こっている。
戦前は「皇国史観・軍部独裁体制」のもとで「大東亜共栄圏、八紘一宇」のスローガンのもと「鬼畜米英」を叫びながら、多くの人を死に追いやった同じ人達が、今は「対米従属・自民党独裁体制」の中で「自由主義と民主主義を守る」というスローガンのもと、「中国・ロシア・北朝鮮の脅威」を煽ることで、自分の権力支配・米国隷従を正当化しようとしている。
権力者・強者に媚びへつらうと同時に、敵・批判者・弱者・少数者に対して不安・恐怖・憎悪を煽ることで自分達の既得権益・権力支配を正当化しようとする。
それは、『自己肯定感=自立心=尊厳』の低さ、精神の未熟さ、奴隷根性からきている。つまり、戦前から日本人は全然成長していない。そういう人は、デマ・陰謀論や政府のプロパガンダに騙されやすい。
これは前回の旧④⑤を改訂したものです。
改①< 改②< 改③ 改>④
以下、改訂前のもの(旧)
①< ②< ③< ④< ⑤< ⑥< ⑦<
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