(改定版)【認知的不協和理論】「ネトウヨ」と「リベラル」を分けるもの【脳の構造】/「歴史否認」「陰謀論」はどこから生まれるのか?――④『自立的人間』と『依存的人間』。――『依存の悪循環(負のスパイラル)』
『自立的人間』と『依存的人間』
①『依存的人間』が生まれる仕組み。ーー[支配と服従]の絶対化
子どものときから受験競争や体育会系などの“競争社会”の狭い空間の中で、ひたすら上を目指し頑張っていたり、また虐待や過干渉やネグレクトなどの“不適切な養育”のもとで育って行くと、前頭葉の発達が阻害され、抑制機能(自立心)が成長できなく、『依存的人間』になりやすくなる。
『依存的人間』になる仕組みーー[支配と服従]の連鎖
「虐待の連鎖」が起こる仕組み
「脳の発達」と『自立』の関係
そこでは[支配と服従]の関係しか築けなくなり、[競争と順位]が価値の全てとなる。【ピラミッド思考】
それは、ピラミッド支配構造の中で、「勝たなければならない、負けてはいけない、皆と同じでなければならない」というようなプレッシャー(同調圧力・強迫観念)の中で、「大人に認めてもらいたい、否定されたくない、怒られたくない。皆と同じでなければならない」というような不安・恐怖・不全感・劣等感が増大するに伴い、それを軽減しようとする心理的メカニズム(防衛機制)によって引き起こされる。
そこでは常に上司や周りの顔色ばかり伺い、ご機嫌を取ることが喜び・快感となり、将来に対する想像力や弱者への共感能力が失われてしまう。権力者を守るため、組織を守るため、自分の存在を守るために、嘘をつき、記録を改竄・廃棄する。自分の行動を俯瞰的に見ることができず、客観的な判断ができなくなくなる。
そこでは「自分の行動こそ正義。優れている。多数派。自分は偉い。人気がある」と勘違いし、
「“権力者を守る”こと、“組織を守る”こと、“既得権益を守る”こと」=(イコール)=「国家のため、国民のため、子供達のためにやっている」
と思い込み、「弱者(子供・部下)は劣っている。甘えている。礼儀がなっていない」「批判者は組織を陥れようとしている」「被害者は金が欲しくて嘘を言っている」というような『猜疑心・被害妄想』に取り憑かれ、自分の行動を反省し、謝罪することができない。規則ルール(幻想)を絶対化し、それを他者に強制(パワハラ)することで、快感・優越感・満足感を得ようとする。
そこでは脳が『依存状態』になっていて、物事を俯瞰的に見れなく、共感能力が崩壊し、自分の行動を抑制できなく、どんどんと酷くなっていく。
②『依存的人間』は、共感能力が崩壊し、他者との適切な距離がとれない。ーー「国家・権力者と同一化」と「被害妄想・ヘイト」
ピラミッド支配構造の弱肉強食社会の中で、不安・恐怖・劣等感が増大していくと、それを軽減しようとする防衛機制が働き、自我が『良い自分』と『悪い自分』に分裂し、『良い自分』を組織・権力者・強者・勝者・人気者・多数派に同一化する一方で、『悪い自分』を弱者・少数者・敗者・脱落者・批判者に投影し、粘着攻撃・虐待・パワハラ・誹謗中傷・虐殺することで不安・恐怖を払拭し、安心感・優越感・満足感を得ようとする。
そうすることで精神のバランスを保とうとする。
そこでは、1つの価値観(ピラミッド思考、支配と服従、競争と順位)に凝り固まり、他者への共感能力が崩壊し、適切な距離が保てなくなり、他者の行動や考えを尊重できなくなる。そして、現実と妄想の区別がつかなくなる。
現実の自分の生活に全然関係ないのに権力者・強者・人気者・アイドルに同一化することで、まるで自分が強く、偉く、人気者になったかのように錯覚し、優越感や誇りを感じたりする一方で、不安・恐怖・劣等感を投影した批判者・子供や有名人・アンチの言動に対して、まるで自分の存在が否定されたかのように感じ、被害妄想から激昂し、憎悪し、攻撃・虐待・体罰・パワハラ・誹謗中傷する。
『悪い自分』を投影した反対者に対して、「人を見下している。甘えている。ズルしている。自分勝手だ!」「日本を貶めようとしている。金のためにやっている。在日に違いない。頭が悪い。勉強が足りない。発狂している。悪い奴は死んで当然、死刑!」などと思い込む。
そこには「良い子でなければならない。反抗してはならない。規則は守らなければならない。勝たなければならない。甘えてはいけない。上司の言うことは絶対。負けたら生きる意味がない」という強迫観念の中で、無意識に『悪い自分』を他者や子供や少数者や有名人や外国人に投影し、攻撃・虐待・パワハラ・ヘイトすることで“自分の行動・価値観を正当化したい”という防衛機制が働いている。
③『国家』との同一化=御用学者・ネトウヨ・カルト
それは国家に対しても同じで、自分の存在に対する不安が大きく 、『悪い自分(弱さ・醜さ・未熟さ)』を認識できず、自分の行動を反省できなく、「自分は間違わない。強い。正義。中立」という“優越の錯覚”が強い人ほど、何か問題が起こったとき「日本は悪くない、悪いのは外国のせい。外国が日本を侵略しようとしている」という“被害妄想・他責思考”に陥り、国家・権力者の責任を他者に転嫁しようと激しく攻撃する。
それは『国家』と『自分』を同一化してしまっているから。
そこでは権力に対して、適切な距離感が保てず、俯瞰的・多角的な視点が失われ、客観的・論理的な思考・判断ができなくなる。
例えば水俣病において、学歴社会の中で“権威”と言われる人達がこぞって、「企業・政府は悪くない。権威に盾突くのは許せない。経済成長が重要」という価値観の中で、「被害者(貧乏人)が腐った魚を食べたからだ。カネが欲しくて嘘をついている。批判者(学者・医者・労働組合)は中国のスパイだ」と妄想デマ・誹謗中傷を拡散させることで、マスコミや世論を混乱させ、結果、原因究明を遅らせ被害を拡大させていった。
それは、脳が依存状態になり、ピラミッド思考(支配と服従、競争と順位)に拘る余り、客観的・科学的判断が出来なくなってしまっていたからに他ならない。そこでは、何者にも縛られない『自立的人間』=フラット思考(自由と平等、自立と尊厳)の価値観でなければ、客観的・俯瞰的・科学的判断はできない。
それは地球温暖化・原発再稼働・辺野古埋立・リニア・五輪万博IRにしても、モリカケ桜や安倍射殺・国葬や名古屋入管死事件にしても自分の行動(服従・隷属)を正当化しようとするあまり⋯
あたかも「批判者のほうが悪い。被害者の方が悪い」というような印象操作・誹謗中傷することで、権力の暴走を正当化し、支配・管理・既得権益を正当化しようとする。
そこでは、『権力』=“自分のポジション”を守ることが第一となり、弱者への共感能力が崩壊し、客観的・俯瞰的・論理的・科学的思考が失われてしまっている。不安・恐怖・劣等感の中で国家と同一化することで安心感・優越感・万能感・満足感を得ようしているのである。
不安・恐怖・劣等感の中で「国の為に死ぬ」(特攻・愛国心)ということに存在意義を見いだし『大日本帝国』と同一化する。一方で、『悪い日本』(侵略・虐殺)を否認し、その『悪い日本』を戦争責任を追及する中韓や批判者・野党・学者・マスコミに投影し、攻撃することで自分の行動を正当化しようとする。
それは否認した、自分の本当の姿。自分の中の『弱い自分』(不安・恐怖・劣等感)の裏返し。
つまり、自分に自信や自己肯定感(尊厳)がなく、自分の中の不安・恐怖・劣等感が大きいほど、『醜い自分』『弱い自分』を否認しようとするほど、「否定されたくない、教祖に認められたい」というような承認欲求や、「他者にバカにされたくない。否定されたくない。他者に勝ちたい」という優越欲求が強いほど、『国家・権力者・教祖』と同一化し、「自分は国家のためにやっている。自分は愛国者」と思い込み、「自分は選ばれた人間。日本は神の国。日本人は優れた民族。悪いことはしない」という選民思想・優生思想に洗脳され、「反対者は反日、外国人に違いない。日本を貶めようとしている」という被害妄想に取り憑かれ、「差別はあたりまえ。被害者は嘘を言っている。子供は叩き続けなければならない。敗者・弱者・少数者・反対者は死んでも良い。自己責任」というような差別主義・奴隷根性・カルト指向が強まっていく。
『依存の悪循環(負のスパイラル)』ーー「過去に目をつむる者は、現在にも盲目であり、未来も同じ過ちを犯すだろう」
『依存の悪循環(負のスパイラル)』ーー【歴史修正主義】と【陰謀論】の関係
「日本は神の国。日本人は選ばれた優秀な民族」「日本は悪くなかった。侵略・虐殺はなかった」という【選民思想・歴史修正主義】と、「誰かが自分を陥れようとしている。外国が日本を侵略しようとしている」という【被害妄想・陰謀論】は同じ『脳の構造』からきている。
そして、往々にして【侵略・虐殺・弾圧・粛清・ヘイト】は、「自分達は攻撃されていられる」という【被害妄想・陰謀論】から起こる。たいてい敵国からの脅威に対する「自衛のため」と言う名目で軍備を増強し、侵略・虐殺・弾圧・粛清する。
つまり、【選民思想・歴史修正主義】【被害妄想・陰謀論】【侵略・虐殺・弾圧・ヘイト】は同じ[心理的メカニズム]=『依存の悪循環(負のスパイラル)』から起きており、それは【不安・恐怖・劣等感・苦痛・ストレス】から自分の身体や脳を守ろうとする《防衛本能》。
その『依存の悪循環(負のスパイラル)』の中で、①【不安・恐怖・劣等感】が強いほど、国家・権力者と同一化し、「日本は神の国。日本は悪いことはしていない」という②【選民思想・歴史修正主義】が強くなり、「敵国が侵略しようとしている。批判者は敵国のスパイ」という③【被害妄想・陰謀論】が強くなり、客観的・俯瞰的思考や共感能力が失われ、そして、その感情はだんだんと酷くなっていき、それが④【嘲笑・差別・弾圧・ヘイト・戦争・侵略・虐殺】を引き起こす。
『依存の悪循環(負のスパイラル)』に陥ると、自分の行動を認識できなくなる。自分は正常だと思い込み、行動を反省できなく、抑制できなくなる。周りがよく見えなくなる。そして段々とエスカレートして行く。自分の行動を止められなくなる。
そこで、リベラル・護憲派が考えるべきことは、「どうしたら、その『依存の悪循環(負のスパイラル)』を止めらるか?」と言うこと。
『依存の悪循環(負のスパイラル)』から抜け出す方法は?ーー騙されないために
『依存の悪循環(負のスパイラル)』に陥る原因は何か?ーー「盲目となる」原因
人はストレスが増大し、不安・恐怖・劣等感・不全感が増大すればするほど、国家・権力・カルト宗教と同一化し、「規則ルール・礼儀・道徳・慣習・差別・上下関係・既得権益・・・」を絶対化するとともに、それを子供・弱者・少数者に強制し、支配・差別・攻撃することで、自分の中の不安・恐怖・劣等感・不快感を軽減し、安心感・満足感・優越感・万能感を得ようとする。(例:マスク警察、私人逮捕、デマ拡散、陰謀論⋯)
それは不安・恐怖・劣等感・不全感を解消しようとする“依存行動”。「権力者に認めてもらいたい。否定されたくない。皆にバカにされたくない。人の上に立ちたい」という思いの中で、行動が止められなくなってしまう。
得てして権威的で規則や道徳礼儀や 上下関係・縦社会・集団主義に拘る依存的な人(組織・集団・社会)ほど、他者に対して威圧的で、反対意見・少数意見を尊重できず排他的で、体罰DV・パワハラ・セクハラ・いじめ・差別をしたりする。
そこでは「これは本当に正しいのだろうか?」という葛藤や、「他者を傷つけていないだろうか?迷惑をかけていないだろうか?将来どうなるだろうか?」という共感能力や反省能力や想像力が失われ、「自分は正しい、優れている。反対者は自分を陥れようとしている。嘘を言っている」というような猜疑心や被害妄想や他責思考のもと、自分の行動が抑制できなくなってしまっている。
1つの価値観(ピラミッド思考、支配と服従、競争と順位)に縛られ、上のご機嫌をとることばかりに気を取られ、周りが全然見えなくなる。権力者・独裁者と同一化し、弱者・少数者・批判者を差別・攻撃し、支配することで、安心感や満足感を得ようとする。
ピラミッド支配構造の権威主義的な社会・組織・集団の中で、差別されていた“マイノリティー・弱者・少数者・貧困層・奴隷階級など”の人達が、苦労して成り上がった途端に、より権威的・排他的になり、批判者を弾圧・排除し、残虐に弱者を痛めつけ、差別し、虐殺しようとする。
それはどこの国でも、日本でも、たいてい比較的貧困な地域ほど保守的・権威的・排他的傾向が強くなり、富裕な地域ほど革新的・民主的傾向が強くなる。
それは不安・恐怖・劣等感の中で、「権力者に認められたい。否定されたくない。他者に勝ちたい。負けたくないない。バカにされたくない」という思いが強くなり、脳の抑制機能が低下し、共感能力や想像力や尊厳が失われ、欲望の膨張を止めることができなくなり、周りの状況を冷静に見れなくなっているのである。
そして、そういう“悪い(弱い)自分”を否認し 、反省できない、抑制できない人たちが“支配欲”が暴走し、五輪万博IR・リニア・原発再稼働・辺野古埋立・マイナ保険証などを推進し、夫婦別姓やLGBT法に反対し、スパイ防止法・緊急事態条項・軍備増強・改憲を叫び、国旗国歌や道徳や愛国心や特攻を強制しようとする。他者を1つの価値観で縛ろうとする。
⋯⋯それは自分に自信がないから。精神が未熟で自信がない人ほど権力・強者と同一化し、客観的・俯瞰的・多角的思考ができなくなり、反対の立場になって考えることができなくなり、他者・弱者・少数者を差別・攻撃し、批判者・野党・学者に対して誹謗中傷しようとする。
そうすることで、「自分は強い、勝者、偉い、支配者」と錯覚し、優越感・万能感・安心感・満足感を得ようとしているのである。
例えば、自分に自信がない人ほど、子供や部下に「1番でなければ意味がない」「反抗・批判は許さない」と競争・忠誠・服従を強制する。
それは、権力者・強者・勝者・人気者と同一化し、「○○のようになれ!○○を見習え!お前は何をやっても駄目な奴だ」と、他者を威圧・強制・蔑視・恫喝・差別・攻撃することで自分の中の劣等感を払拭し、優越感・安心感を得ようとしているのである。
自分に愛国心や誇りがないから、他者に愛国心や誇りを強制したがる。日本の歴史や文化に愛着も責任感もないから、平気で自然や文化を破壊する。嘘をつく。捏造する。他国や沖縄やアイヌの自然文化を尊重できない。他者の批判や反対意見・少数意見に耳を傾け、反省することができない。
そして、その人は自分の権力を正当化するために、対立を煽り、批判者を攻撃し、排除・粛清し続けなければならない。しかし、その人はいずれ破滅し、その国は衰退していく。
愛国心とは「自分を大切にしよう」という心の中から湧いてくるものであるから、「愛国心を持て」と言って強制できるものではない。そもそも親や社会から虐げられ、愛された経験がない人が、自分を大切にしよう、他者や生き物や自然を大切にしようと思うだろうか?
それに、自分に本当に愛国心があるならば、相手の愛国心(伝統・文化・自然)も尊重できるだろう。逆に「国の為に⋯」という人ほど共感能力が低く、相手の気持ちや行動を尊重できない。
人権意識が低いサイコパスやナルシシスト・権威主義者・差別主義者・歴史修正主義者・御用学者ほど、「愛国心」を叫び、ウイグル問題や北朝鮮日本人拉致や外国人犯罪について強調したがる。そうすることで権力支配・既得権益を正当化しようとする。
特攻を強制する人は、自ら特攻に行くことはない。国家・権力者・教祖・天皇と同一化し、「国のために死ぬ」ことを部下・子供・弱者や批判的・反抗的な者に強制することで支配欲を満たそうとしているのである。そして、その自分の行動を正当化するために、「特攻があったから今の日本の平和繁栄がある」「日本のため、家族のため、子供のために、自ら進んで犠牲になった」と認知を書き換える。
そう言うことで、暗に
「自分(権力者・独裁者・支配者)のために命を捧げろ!」=「自分に従え。服従しろ!反抗は許さない!」
と言っているのである。
それはカルト宗教と同じ。神・教祖と同一化し、「お前は悪魔に呪われている。悪魔が攻めてくる」と信者を騙し、不安・恐怖を煽り、「神・教祖のために命を捧げろ!たくさん献金しろ!」と強制(洗脳)することで、支配欲を満たそうとしているのである。そして、そういう人ほど「批判者は悪魔に操られている、自分たちを陥れようとしている」とか、「信者が進んで献金した。騙される方が悪い。被害者にも責任がある」と自分の行動を正当化しようとする。
それはマイナ保険証・五輪万博IR・国葬・辺野古埋立・リニアなども同じで、それ自体は何の意味もない。ただその利権に群がり、「これをすれば儲かる。これが唯一の解決策」などと騙し、「反対者は反日、日本を貶めようとしている。中国に操られている。金のためにやっている」と不安・恐怖・憎悪を煽り、それを強制・強行することで支配欲を満たそうとするものである。
「日本は神の国。日本スゴイ、日本人スゴイ。日本は悪いことはしない」「国のため、子供達のため、国民のため⋯」という人ほど、ひたすら私利私欲、既得権益、公共事業、自然破壊、縁故主義、友達優遇、権力の私物化、税金の山分けに邁進する。
そして、そういう人ほど教育に口を出したがる。道徳や愛国心を強制したがる。特攻を美化したがる。
それは自分の行動(支配欲と服従欲)が批判され、否定され、人に見捨てられるのが怖いから、常に強者・権力者・富裕層に迎合し、批判者・弱者・少数者・貧困層を憎悪し、罵ることで、自分の行動を正当化しようとしているのである。
“理想”と“現実”との矛盾が拡大する中で、自分の中の不安・恐怖・劣等感を払拭するためには、常に誰かを攻撃し続けなければならない。他国の脅威を強調せずにはいられない。自分の責任を認識できず、常に他者のせいにせずにはいられない。『仮想敵』『生贄』を作らずにはいられない。
そして、それが戦争・侵略・虐殺へと繋がっていく。
大日本帝国(軍国主義、全体主義、ファシズム)の正当化ーー「鬼畜米英」から「対米従属」への変節・寝返り
『大日本帝国』の成立
軍備を増強し、批判者を弾圧・粛清し、外国を侵略する国は、「敵国が侵略しようとしている。これは国を守る自衛のための戦争だ。相手国が悪い。我国は被害者だ。批判者は我国を陥れようとしているスパイだ」と常に誰かを攻撃することで、自分の行動(権力支配欲・既得権益)を正当化しようとする。
それは現在のロシア・中国・北朝鮮・イスラエルに限らない。例えば、戦前の日本で欧米列強によるアジア侵略に対する不安・恐怖・劣等感の中で、その脅威に対抗するために富国強兵のスローガンを掲げ、国内の産業財政教育制度を整備し、軍事力を強化し、中央集権国家体制を確立していった。
と同時に、対外的には資源・領土・利権を求めて大陸に侵略・植民地化していく中で 、『皇国史観』(選民思想)に基づく『忠君愛国』教育を推進し、「日本は神の国。優れた民族」「外国人は野蛮な劣等民族」などのプロパガンダで差別や憎悪を煽り、洗脳し、全体主義・軍国主義・帝国主義体制を整えていく。
そして、その『軍部・政治家・財閥』のトライアングル(軍部独裁体制)の中で、国民はただの1つの『使い捨ての消耗品』となり、次第にエスカレートし、日中戦争に突入し、新聞が戦争を煽り、戦争に疑問を呈し、全体を客観的に分析し、冷静に判断できる人や、政府に批判的な人を「敵国のスパイだ!」と言って弾圧・粛清していく。
その『依存の悪循環(負のスパイラル)』の中で、もはや誰も止める人がいなくなり、欲望の暴走・膨張の抑制が効かなくなり、嘘に嘘を積み重ね、後戻りすることができなくなり、ついには欧米との利害衝突の中で太平洋戦争へと突入する。
そこではその自分の権力支配を正当化するために「欧米は日本を侵略し、蹂躙しようとしている(鬼畜米英)」という被害妄想のもと、「欧米列強から東アジアを解放する」という名目で『自存自衛・大東亜共栄圏建設・八紘一宇』のスローガンを掲げ、その行動(侵略戦争)を正当化しようとした。
その『依存の悪循環(負のスパイラル)』の中で、“冷静な判断力・想像力”が麻痺してしまい、“人間としての尊厳・共感能力”が失われ、特攻や玉砕やインパールや捕虜·住民虐殺などを次々と行う。そこでは決して自分の誤り・失敗を認めない。反省し、撤退することができない。
つまり、それは国家・権力者と同一化し、他者・弱者・少数者・批判者に強制・支配することで、自分の中の不安・恐怖・劣等感・不全感を解消するための“依存行動(依存症)”にすぎない。
「“国家・天皇・教祖・組織・企業のため”という名目で、ただ自分に服従させる。強制する。捕虜や住民を虐殺する(させる)、部下を特攻(死)に追いやることで組織を一体化させ、支配欲を満たし、安心感・満足感・優越感・万能感を得る」ことにある。
だから指揮官は部下に命令するだけで、自ら進んで死にに行くことはない。
自分は安全な所でのうのうと暮らし、その行動を「国を守るためで仕方がなかった。それは決して私利私欲のためではなかった」と自己正当化し、自分のしたことを反省し、責任を取ることはない。
そして敗戦後も、日本自ら自分達がやった行動を反省することもなく、なぜたくさんの犠牲者を出してしまったのかという根本原因を究明し、事実を解明し、指導者の戦争責任を追及することなく、米ソを中心とした『東西冷戦構造』の中にそのまま組み込まれ、それまで「鬼畜米英」を叫び、多くの人間を死に追いやった同じ人達がそのまま「対米従属」に変節し、寝返った。
それは不安・恐怖・劣等感の中で、国家・強者(米国)に同一化することで、安心しようとする『心理的メカニズム』が働いている。そして、その行動を正当化するために、常に『仮想敵』を作り出し、人々の不安・恐怖・憎悪を煽ろうとする。
保守派の変節・寝返り。ーー「皇国史観・鬼畜米英」から「対米従属・反共主義」へ。
人は、戦争・災害・疫病・貧困・虐待などのストレスに曝され続けると脳の神経伝達物質のバランスが崩れ、感情・欲望・行動を抑制することが困難になる。そしてストレスを軽減しようとする防衛機制が働き、攻撃的になり、保守的になりやすくなる。
抑制機能が低下し、不安・恐怖が強まるに連れ、何か大きなもの、強いものに縋ろうとする。それは神・宗教・思想・イデオロギーだったり、アイドル・スポーツ・モノ・金だったりして、それに傾倒し、熱中し、心酔し、依存することで安心感・満足感を得ようとしているのである。
それ故に権力者・独裁者は、「敵国が我国を攻撃しようとしている。批判者は我国を貶めようとしている敵国のスパイだ」と不安・恐怖・憎悪を煽ることで自分の権力支配体制・既得権益を正当化・絶対化しようとする。
しかし、それは一方で、それに依存し過ぎると周りがよく見えなくなる。物事を客観的・俯瞰的・多角的に見れなくなってしまう。反対の立場になって考えられなくなってしまう。1つの価値観に凝り固まってしまい、それを正当化しようとする余り、その行動を他者から批判されたり、注意されたりすると激しく攻撃するようになってしまう。
そこでは科学的・論理的思考が麻痺してしまい、デマや陰謀論に騙されやすくなってしまう。自分に都合の良いことばかり執着し、都合の悪いことは無視する。否認する。見えなくなる。捏造する。嘘をつく。そして、最後には自分を正当化するために他者を誹謗中傷する。
そして、それは緊急事態・有事・災害や不正汚職・スキャンダルのときの対応の遅れとなって表れる。
窮地に陥ったときにパニックに陥り、今何が一番大事か判断し、何をすべきか臨機応変な対応ができない。どうしたら問題を解決できるかを考えられない。自分の保身にばかり拘り、被害者・被災者・国民の立場に立って素早く行動に移すことができない。自分の行動を反省し、改善できない。
ネトウヨ・カルトは「特攻は犬死だ。なんの意味もなかった」と言うと激昂する。そこでは大局的な視点で物事を捉えることができない。失敗を失敗と認識し、反省できなければ発展・進歩することはできない。
また「ゆとり教育、ジェンダーフリー、性教育、選択的夫婦別姓、LGBT法、教育格差是正、差別撤廃、ヘイト規制、死刑廃止など」の主張に対して激しく抵抗する。それは不安・恐怖・劣等感・不全感の中で、『権力支配体制・学歴社会・男尊女卑・家父長制など』に依存し過ぎているから、その今まで信じて生きてきた支配体制・既得権益・依存行動が否定されるのが怖いからに他ならない。
それはネトウヨ・カルトが国家・権力者・教祖に同一化・隷属・服従することで、安心感・満足感・快感(ドーパミン)を得ようとしているから、それを正当化するために、それを否定しようとする意見に対して「自分を攻撃しようとしている。日本を貶めようとしている。日本人ヘイトだ!」と怒り出す。(それは依存症と同じ。自分の行動を否定されると激昂する。自分が病気だと認識できない)
つまり保守派は、「国家に服従・隷属する」ことを正当化するために、常に『仮想敵』を作り、不安・恐怖を煽ることで、自分の支配体制・既得権益を正当化しようとしているのである。
戦後「支配体制・既得権益の正当化」と、『歴史修正主義』という【神話】
戦前は、欧米列強のアジア侵略による脅威に対する不安・恐怖・劣等感の中で、自分たちの支配体制・既得権益(藩閥政治→軍部独裁体制)を正当化し、強化していった。
しかし、そこで『依存の悪循環(負のスパイラル)』に陥り、自分の欲望(支配欲・被害妄想)の暴走を抑制することができず、太平洋戦争(真珠湾攻撃)に踏み切り、破滅する。
そして日本はポツダム宣言を受託し、アメリカ占領支配のもとで『軍部・政治家・財閥』の支配層(軍部独裁体制)を解体し、民主化を図ろうとするも、その後の『朝鮮戦争』から『東西冷戦』へと移行する過程で、アメリカ軍産複合体支配体制の中に組み入れられてしまい、アメリカ主導のもとで新しい支配体制が作られた。
そこでは「反共産主義」のプロパガンダのもと、一度は解体しようとした戦前の『軍部・政治家・財閥』の支配体制(組織)が、そのまま『自民党・官僚・財界』に再生・移行されてしまった。
そして、そういう人達が、その自分の行動(変節・寝返り)を正当化するために、自分達の支配体制・既得権益=『対米従属・自民党独裁体制』を正当化するために歴史を書き換える。
などと【歴史修正】すると同時に、「共産主義国が侵略しようとしている」という【被害妄想・陰謀論】の中で、マスコミを使って国民の不安・恐怖や憎悪を煽ることで 『自民党・財界・官僚』のトライアングル(対米従属・自民党独裁体制)を強化しようとしている。
その結果⋯
対立や脅威を煽れば煽るほど、日本は軍国主義(戦前の大日本帝国)に後戻りし、「国のため」という名目で、米国に土地を差し出し、言い値で兵器を買い続け、結果、米国や支配層は儲かっていく、一方で、日本国民はどんどんと疲弊していく。
これは旧⑥⑦を再編集したものです。
改①< 改②< 改③< 改④
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