【認知的不協和理論】「ネトウヨ」と「リベラル」を分けるもの【脳の構造】/「歴史否認」「陰謀論」はどこから生まれるのか?――⑥『依存的人間』と『自立的人間』。御用学者・ネトウヨが生まれる仕組み

『依存的人間』と『自立的人間』

①『依存的人間』は、自分の行動を反省できない。

子どものときから受験競争や体育会系などの“競争社会”の狭い空間の中で、ひたすら上を目指し頑張っていたり、また虐待や過干渉やネグレクトなどの“不適切な養育”のもとで育って行くと、前頭葉の発達が阻害され、神経伝達物質のバランスが崩れ、抑制機能(自立心)が成長できなく、『依存的人間』になりやすくなる。

『依存的人間』と『自立的人間』

「勝たなければならない、負けてはいけない、皆と同じでなければならない」というようなプレッシャー(同調圧力・強迫観念)の中で常に“大人”の顔色を伺い「大人に認めてもらいたい、否定されたくない」というような不安・恐怖・劣等感・ストレスが増大するに伴い、やがてそれを解消しようとする防衛機制が働き、自我が『良い自分』と『悪い自分』に分裂してしまう。

そして『悪い自分』を否認し、『良い自分』を強者・権威者・教祖と“同一化”するとともに、『悪い自分』を弱者・少数者に投影同一視し、差別・攻撃することで“苦痛・劣等感”を払拭し、“快感・優越感”を得ようとする。

権力者と同一化し、行動を強制することで優越感を得る
『自立的人間』と『依存的人間』

そこでは上司や周りの顔色ばかり伺い、ご機嫌を取ることが喜び・快感となり、将来に対する想像力や弱者への共感能力が失われてしまう。教祖を守るため、組織を守るため、自分の存在を守るために、嘘をつき、記録を改竄・廃棄する。自分の行動を俯瞰的に見ることができず、冷静に客観的な判断ができなくなくなる。

教祖を守ることに夢中で、反省できない

自分の行動の非を認めることができず、あたかも相手(批判者)が悪いかのように責任転嫁し、批判者を非難・攻撃することで自分の行動を正当化しようとする。

「自分の行動こそ正しい。“教祖を守る”こと、“組織に命を捧げる”ことが自分の使命」「国のため、国民のため、子供達のためにやっている」と思い込み、言い訳をし、「批判者は組織を陥れようとしている」という『被害妄想』に取り憑かれ、自分の行動(私利私欲・身内優遇・縁故主義・公私混同・税金の私物化・既得権益など)を反省し、謝罪することができない。自分の行動を認識し、抑制できなく、どんどんと酷くなっていく。

・自立するとは、依存先を増やすこと。
・客観的に自分の行動を見ることができること。
・他者への共感能力を身につけること。
・過去を反省し、行動を抑制できること。

「自立する」とは、過去を反省できること

②『依存的人間』は、他者との適切な距離がとれない。

不安・恐怖・劣等感の中で《組織に同一化》してしまった依存的人間は、『良い自分』を投影した権力者・教祖・強者に心酔・服従する一方で、『悪い自分』を投影した弱者・少数者・脱落者・批判者に粘着攻撃・虐待することで“安心感”を得ようとする。

そうすることで精神のバランスを保とうとする。(虐待している親は、虐待することで心を安定させる)。軍国主義・全体主義・独裁国家では、常に弱者・少数者・批判者を攻撃・弾圧・虐殺することで、支配体制を安定させる。

そこでは、1つの価値観(支配と服従、縦社会)に凝り固まり、他者との適切な距離が保てなくなり、他者(弱者・少数者・被害者・子供)の行動や考えを尊重できなくなる。そして現実と妄想の区別がつかなくなる。

他者との適切な距離が保てない
他者との適切な距離が保てない。心酔・崇拝↔憎悪・虐待。二極化。

そこでは、現実の自分の生活に全然関係ないのに権力者・強者・アイドルに同一化することで、まるで自分が強く、人気者になったかのように錯覚し、優越感や誇りを感じたりする一方で、『悪い自分』を投影した批判者・アンチ・子供の言動に対して、まるで自分の行動・存在が否定されたかのように感じ、被害妄想から激昂し、攻撃・誹謗中傷・虐待・体罰する。

「人を見下している。甘えている。ズルしている。自分勝手だ!」など⋯。そこには「良い子でなければならない。反抗してはならない。勝たなければならない。甘えてはいけない。上司の言うことは絶対!」という強迫観念の中で無意識に『悪い自分』を他者や子供に投影し、攻撃・虐待・パワハラすることで“自分の行動・価値観を正当化したい”という防衛機制が働いている。

③『国家』との同一化=御用学者・ネトウヨ・カルト。

それは国家に対しても同じで、自分の存在に対する不安が大きく 、『悪い自分(弱さ・不正・失敗)』を認識できず、自分の行動を抑制できなく、「自分は間違わない。正義。中立」という“優越の錯覚”が強い人ほど、何か問題が起こったとき「日本は悪くない、悪いのは外国のせい。誰かが日本を陥れようとしている」という“被害妄想・他責思考”に陥り、日本・政府・権力者の責任を他者に転嫁しようと激しく攻撃する。

それは『国家』と『自分』を同一化してしまっているから。

『依存的人間』縦社会構造

そこでは権力に対して、適切な距離が保てず、俯瞰的・多角的な視点が失われ、客観的・論理的な思考・判断ができなくなる。

『自立的人間』横社会構造

例えば水俣病において、学歴社会の中で“権威”と言われる人達がこぞって、「企業は悪くない。権威に盾突くのは許せない。経済成長が重要」という価値観の中で、「被害者(貧乏人)が腐った魚を食べたからだ。カネが欲しくて嘘をついている。批判者(学者・医者・労働組合)は中国のスパイだ」と妄想デマ・誹謗中傷を拡散させることで、マスコミや世論を混乱させ、結果、原因究明を遅らせ被害を拡大させていった。

「水俣病」と御用学者
『偽のバランス』『偽の中立』と陰謀論

それは地球温暖化・福島原発・辺野古埋立・リニア・五輪万博IR・夫婦別姓・LGBT法にしても、モリカケ桜や安倍射殺・国葬や名古屋入管死事件にしても自分の行動を正当化しようとするあまり⋯

権力批判はマスコミの捏造だ
統一=安倍批判はテロを擁護している
批判者・野党は中国に操られている
日本を壊そうとしている
被害者は嘘つき
地球温暖化はウソだ
国葬はコスパがいい
などと

あたかも「批判者のほうが悪い」というような印象操作・誹謗中傷することで、権力の暴走を正当化し、後押ししようとする。

そこでは、権力=“自分のポジション”を守ることが第一となり、弱者への共感能力が崩壊し、客観的・論理的・科学的思考が失われてしまう。不安・恐怖・劣等感の中で国家と同一化することで安心感・優越感・万能感を得ようしているのである。

不安・恐怖・劣等感の中で「国の為に死ぬ」(特攻・愛国心)ということに存在意義を見いだし『大日本帝国』と同一化する。一方で、『悪い日本』(侵略・虐殺)を否認し、その『悪い日本』を戦争責任を追及する中韓や批判者・野党・朝日に投影し、攻撃することで自分の行動を正当化し、安心感・優越感を得ようとする。

その自分の行動を正当化しようとする防衛機制から「歴史否認」や「陰謀論」が生まれ、ネトウヨが生まれる。

そして、その不安・劣等感を解消しようとする防衛機制から差別・誹謗中傷が生まれる。

生産性がない
カネのためにやっている
媚びている
さもしい
ただの売春婦
嘘を言っている
捏造だ
など

それは否認した、自分の本当の姿。自分の中の劣等感の裏返し。

つまり、自分に自信や自己肯定感(尊厳)がなく、自分の中の不安・恐怖・劣等感が大きいほど、『醜い自分』を否認しようとするほど、「否定されたくない、教祖に認められたい」というような承認欲求や、「他者にバカにされたくない。否定されたくない。他者に勝ちたい」という優越欲求が強いほど、『国家・権力者・教祖』と同一化し、「自分は選ばれた人間。日本は神の国。日本人は優れた民族。悪いことはしない」という選民思想・優生思想に取り憑かれ、「差別はあたりまえ。被害者は嘘を言っている。子供は叩き続けなければならない」というような差別主義・奴隷根性・カルト指向が強まっていく。


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