関野 佳介

日記を書きながら映画を作り、映像の撮影編集、脚本執筆の仕事をしています。札幌で生まれ、…

関野 佳介

日記を書きながら映画を作り、映像の撮影編集、脚本執筆の仕事をしています。札幌で生まれ、湘南で育ちました。 作品等はこちらへ https://linktr.ee/keisukesekino

マガジン

  • ある回復の記録

  • マイクロアートワーケーション2023

    アーツカウンシルしずおか主催のマイクロアートワーケーション2023に参加しました。御殿場市滞在中の日記はこちらで。

最近の記事

日記本を作りながら日記を書く

11月14日 先週はアーツカウンシルしずおか主催のプログラムで一週間御殿場に滞在し、その後三島で芸術祭撮影の仕事をしていたので、久しぶりに神奈川県にいる。 静岡での日々はなんだかんだ本当に忙しく、毎日したいことやらなきゃいけないこと、新しい出会いがいっぱいで目まぐるしかった。御殿場でやろうと持ち込んだ数々の作業は全く進まなかった。やっぱりその場にいることで精一杯になってしまう。 午後、制作中の日記本やZINEについてめぐさんと電話で話した。ときどきこうして話ができると、同じ

    • 余白の多い記録を

      2023年11月1日(水) アヤワスカの儀式を終えた泉と10日振りくらいに電話をした。とりあえずお疲れ様、生きて戻ってきて良かったということだけ言いたかった。しかし話し出したらお互いに止まらず、結局今回も約四時間電話を繋いでいた。 その後は日記祭の準備。MitskiのYour Best American Girlがなぜか無性に聴きたくなり、YouTubeでライブ映像を流しながら作業中延々とリピートして頭を振っていた。何回聴いたか分からない。やるべきことを抱えているはずなのに、

      • 頭が身体にかえってゆく

        2023年10月29日(日) 北鎌倉で六十年に一度開催される、洪鐘弁天大祭のパレードをさくらと観に行った。先月ごろまで全くこのお祭りの存在を知らなかった。偶然この年に自分が北鎌倉で生活を始めた不思議さを嬉しく思う。六十年に一度のお祭りなんて他に聞いたことない。 合摩と彼の同僚のトゥルプティさんとキランさんと合流し、五人でみこしやお囃子のパレードを観た。こんなに北鎌倉に人がいる光景は初めて見たし、次に見られるとすればきっと六十年後なのだと思うと、目の前の人だらけの光景に頭がくら

        • 家具を探して、こだわりを見つける

          2023年10月26日(木) 昼ごろ笹塚駅と代々木上原駅の近くにある、アンティークの家具屋さんに行った。けれど何も買わなかった。でもたくさんの家具を見るうちに、自分の欲しい物が少しだけ明確になってきた。私の想像のなかで、自分の部屋に関して理想が決まってきている部分と、曖昧で全然見えてこない部分とがあるのが面白い。 午後は東京国際映画祭で、ヴィム・ヴェンダース監督の短編「Somebody Comes into the Light」と、アンゲラ・シャーネレク監督の「ミュージック」

        日記本を作りながら日記を書く

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        • ある回復の記録
          46本
        • マイクロアートワーケーション2023
          8本

        記事

          まだ浅い秋の夜のこと

          2023年10月23日(月) 少しずつ時差ぼけが直ってきたような気がする。昨日の夜はまだ三時過ぎまで眠れなかったけれど、それでも朝明るくなってから眠るようなことはなかった。そして朝も眠いながらも9時過ぎには起きることができた。 午後、じじばばの家から持って行きたい小型の家具や生活用品をスーツケースに詰めて、ついに北鎌倉の家に移動した。駅から家まで坂を登るのだが、真夏ほど大変ではなく、思ったよりもあっという間に着いた。 久しぶりに鎌倉の自分の部屋で過ごす夜。部屋がとても寒かった

          まだ浅い秋の夜のこと

          手直しの時間、物への愛着が育つ時間

          2023年10月21日(土) 昼間母親と連絡を取ると明日じじばばの家に来るというので、一ヶ月以上会っていなかったこともあり、鎌倉に行くのは月曜日と思い切って決めた。週の初めから清々しい気持ちで新しい場所に移ろう。しかしこうしていると、どんどん先延ばしにしているのではないかという焦りもなくはない。 午後、ばばが工具箱を取り出し、メガネの部品を何やらカチカチといじっていた。ばばは三ヶ月ほど前に白内障の手術を受け、それから視力が変わって老眼鏡の度が合わなくなったのか、過去に使って

          手直しの時間、物への愛着が育つ時間

          小さな灯が宿った日

          2023年10月20日(金) 今日もじじばばの家で、朝は9時半に起きた。昨日1時ごろには眠れたが、3時には起きてしまい、そこから寝付けなかった。結局朝の6時過ぎまで起きていたので、睡眠時間が短めで頭が相変わらずぼーっとしている。今までこんなに時差ぼけが長引くことはあっただろうか。 今日は黙々と仕事に取り組んだ。大きな作業をしたというよりは、積み重なっていた細々としたことを片付けた感覚。同時進行している仕事や予定を改めて見てみると、私はこれをこなせるのだろうか、大丈夫なのかと

          小さな灯が宿った日

          体内時計がなかなか帰国してくれない

          2023年10月19日(木)晴れ ばばに起こされて目が覚めたのは、午後の12時半だった。完全にずれている。ヨーロッパから帰国して4日経ったが、未だに時差ぼけが直らない。明け方の4時半くらいまで眠れなかったのは分かるけれど、その後一度も目が覚めなかったことが衝撃だった。正午を過ぎても私の寝室から物音ひとつしないから、ばばは私が呼吸しているか様子を見に来たらしい。呼吸していてよかった。しばらく起き上がれずにいると、遠くで楽器を練習する音が聴こえる。バイオリンか鍵盤ハーモニカか分か

          体内時計がなかなか帰国してくれない

          完・チューリッヒ闘病の記録

          10/10 午前中は昨日撮影した映像を確認した。ルーシーは仕事に行っていて、ユエは撮影した映像を見る気があまりない様子だった。40分近くある映像になってしまったから仕方ない。私はひとり映像を全部見て、可能性を感じる部分を選び、そのどれを使うかによって映画の方向性が変わるだろうということをユエに話した。夏のひかるとの撮影を思い出して、個人的にとても楽しかった。でもこの作り方について、私が信じているのと同じ温度を、まだユエたちに共有できている気がしない。 午後ユエが編集の仕事をし

          完・チューリッヒ闘病の記録

          続・チューリッヒ闘病の記録

          10/7 今日も熱がない。熱がないとこんなにも過ごしやすいのかと実感する。でも倦怠感がすごく、ルーシーは半袖なのに私は4枚も長袖を着て外に出る。市内を路面電車で移動し、チューリッヒ美術館に向かった。この美術館がとても不思議で、開いているのか閉まっているのか、ぱっと見た感じ分からないくらい人がいなかった。 やっぱりすぐに疲れてしまう。鼻がすごく詰まっているわけではないのに、食べ物の味や匂いが半分くらいしか感じられないことに気づく。この倦怠感も含めコロナの症状だと思い、ゾッとする

          続・チューリッヒ闘病の記録

          チューリッヒ闘病の記録

          10/2 チューリッヒ1日目。ミラノからチューリッヒに向かうバスが渋滞に捕まった。私は体調を崩していて、おそらく熱がある。バス車内のトイレが使えず、非常に焦る。結局トイレは使えるようになったけれど、使えない間は水を飲まなかったので喉がカラカラになっている。結局予定より2時間近く遅れてチューリッヒに到着した。バス停でしばらく座って待っていると、約2年ぶりに再開する友人のユエが迎えに来てくれた。これからユエとパートナーのルーシーが滞在するホテルに泊めてもらう。部屋に到着して、ユエ

          チューリッヒ闘病の記録

          映画祭の魔法にかかったロマンチックな街で

          2023年9月28日(木)晴れ ひかるの映画のプロデューサーとして、サンセバスチャン国際映画祭に参加している。4日前に到着してから時差ぼけがひどく、いまだに夜はホテルに着いたらすぐに寝てしまっている。朝は朝食時間が決まっているのでそれに合わせて起き、身支度をしてすぐにホテルを出る。上映されている映画を観に行くか、制作会社の人や映画祭の人たちと打ち合わせをしている。毎日何かしらIndustry (映画業界の人たちの集まり)のイベントがあり、主に立食パーティーでの社交イベントが

          映画祭の魔法にかかったロマンチックな街で

          スペインへ、ただ純粋に目を向けるということ

          2023年9月23日(土) スペインへ移動する日。5時半の電車に乗って羽田空港へ。約2年ぶりの国際線で、ワクワクと緊張が入り混じる。初めて利用する中国東方航空のチェックインカウンターは長蛇の列。時間ギリギリで手続きを終え、外貨両替の窓口で改めて円安に戦慄する。私がミラノに住んでいた2年前より、1ユーロが30円くらい高い。 まずは上海へ。約3時間のフライトは少し本を読み、あとはほとんど寝ていた。今回旅のお供に持ってきた本は、泉が前にラジオで言っていた真木悠介さんの『気流の鳴

          スペインへ、ただ純粋に目を向けるということ

          個人の記録が、誰かにつながる

          2023年9月22日(金)曇りのち雨 今日はじじばばの家で起きた。明日からのヨーロッパに向けて、パッキングをしたり、保険や外貨など事務的な手続きをしたり。床に広がる私のスーツケースを見てばばが、「もうそれを引いて歩くのはとても無理だなあ」と。このスーツケースは特別大きいわけではないけれど、たしかにばばにとっては骨の折れる作業だと想像する。ばばは若い頃かなり旅をしていたらしく、ヨーロッパも私より色々な国に行ったことがあるみたい。私も高校生から大学生にかけて、3回ばばと一緒に旅

          個人の記録が、誰かにつながる

          ケーキを買った帰り道、駆け回った休み時間のこと

          2023年9月17日(日)晴れ 昼間は家で編集の仕事をした。なんとかひとつは締切までに終えられそうでよかった。でももうひとつ抱えている大きめの映像制作のほうは、なかなか予定通りに終わりそうになく、そのことを考えると気が沈む。 今日はさくらの誕生日。16時前には仕事を切り上げ、誕生日カードや花束を買いに行った。本当はもっと前から準備ができたら良かったけれど、とにかく今年は時間がなく、落ち着かないまま当日になってしまった。でも事前に買い物する場所を調べていたので、一旦行動し始

          ケーキを買った帰り道、駆け回った休み時間のこと

          雷が落ち、考えごとをする

          2023年9月15日(金)晴れ後雷雨 午後の雷で少しの間停電した。一番近くに落ちた雷では、光ってから音まで一瞬の時間差もなかったように思う。でもそんな天気とは関係なく、考えごとをたくさんした日だった。 今日はじじばばの家で過ごした。本当は予定していたはずの撮影がなくなり、空いた時間を考え事や仕事、じじばばとの食事に費やした。今日の撮影がなくなったことは、私自身によるところが大きい。落ち込んだけれど、あらためて演じることについて考えるきっかけももらった。 痛感しているのは

          雷が落ち、考えごとをする