浅見雅一、 野々瀬浩司 編 『キリスト教と寛容 中近世の日本とヨーロッパ』 : 〈寛容〉という言葉の表裏
書評:浅見雅一、野々瀬浩司 編『キリスト教と寛容 中近世の日本とヨーロッパ』(慶應義塾大学出版会)
「寛容」という言葉には、きわめて「美しいイメージ」があって、私たちは(特にリベラルな人間は)「人間、そうでなくちゃね」とか「偏狭な他者排除は許されないよね」などと、簡単に考えてしまう。
しかし、この「寛容」という言葉の意味をよくよく考えてみると、そこに、ある種の「鼻持ちならない、上から目線」が感じられはしないだろうか。
そこでは、「私と(私とは違う)他者」の存在が前提とされ