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谷口忠大・石川竜一郎編著「コミュニケーション場のメカニズムデザイン」

・本書は、ビブリオバトル(書評ゲーム)、ディベート、演劇ワークショップ、発話権取引の実践を通して、コミュニケーションの重要性ならびに円滑にするためにはどうすればよいかを考察していく1冊。

・コミュニケーション場のメカニズムデザインとは、
①どのように制度を設計すればよいのか?
②その制度は実際のコミュニケーション場にどのような影響を与えるのか?
③ある効果を得るためにはどのようなルールを導入すればよいのか?
などのテーマに答える研究である。

・自治体における住民参加、企業の中でのインフォーマルコミュニケーション、中学高校における英語教育まど様々なところで、ルールを導入したコミュニケーションの場づくりが展開され、注目されており、本書では、その例として、ビブリオバトル、ディベート、演劇ワークショップ、発話権取引が紹介されている。

ビブリオバトル
・ビブリオバトル=読んで面白いと思った本を5分間で紹介し、読みたくなった本に投票して一番投票が多かった本を「チャンプ本」とする書評ゲーム。
(公式ルールについては本書をご覧ください)
・効果として、
①書籍情報共有機能「参加者で本の内容を共有できる」
②スピーチ能力向上機能「スピーチの訓練になる」
③良書探索機能「いい本が見つかる」
④コミュニティ開発機能「お互いの理解が深まる」
がある。
・ビブリオバトルの項目では、ビブリオバトルのメカニズム(ルール)、ビブリオおバトルの機能と実証研究、開催形式(コミュニティ・イベント・ワークショップ)、歴史が紹介され、日本各地(奈良県生駒市図書館・大学生大会・長野県上田市立塩田西小学校)、世界(ソロモン諸島)での事例が紹介されている。


ディベート
・ディベート=あるテーマについて、皇帝・否定の二つのグループにわかれて討論すること(広義には、政治家の党首討論や裁判なども含まれ、競技ディベートの世界もある)。
・ディベートの流れ
①定義を行い、肯定する理由1を述べる
②肯定する理由1に反論し、否定する理由1を述べる。
③否定する理由1に反論、肯定する理由1の再構築、肯定する理由2を述べる。
④肯定する理由1、2に反論、否定する理由1の再構築、否定する理由2を述べる。
⑤否定する理由2に反論し、肯定チームが買っている理由をまとめる。
⑥否定チームが勝っている理由をまとめる。
最後にジャッジが「議論に来する自身の個人的な考えや偏見は入れず、試合で述べられた議論を比べ、より説得力があったほうを勝ちとする」という考え方の下で、「内容」と「表現」を共に基準を入れてジャッジを行う。ジャッジは複数人で合議する場合もあれば、単独で決める場合もある。そして勝敗が決まれば、あとは後腐れなく両チームが握手を交わしてゲームを終えるのである。
ディベートの項目では、「ディベートにおける論理構造」や、「ディベートの曲いくでの活用と広がり」などについて紹介されている。

演劇ワークショップ
・演劇ワークショップ=縁できのようそや手法を用いた、参加型・体験型・双(複)方向型の学びの場」と本書では暫定的に定義づけている。
・演劇ワークショップは、様々な活動を含む言葉ではあるが、
①アクティビティ型(演劇的手法や演劇的要素を用いたアクティビティを参加者が体験するもの)
②創作型(ワークショップのなかで参加者自身が演劇作品を創作・上演する活動を含むもの)
活動の種類によって大きく二つに分類でき、必要な時間数は、アクティビティ型が短時間(90分以内で完結)に対し、創作型は長時間(45〜90分×3〜4回が標準)である。
・演劇ワークショップの項目ては、「コミュニケーション場のメカニズムデザインで演劇を扱う理由」「演劇ワークショップの広がり(活用事例ならびに具体例)」「演劇ワークショップの今後の展望」などが紹介されている。

・他にも、「発話権取引〜会議でみんなの発言を活発化する〜」、「めきニズムデザイン〜正直者が不利にならない仕組み〜」「コミュニケーションの言語処理〜人工知能により議論の支援〜」「コミュニケーション場のシステム理論〜論点整理と課題〜」など、コミュニケーションの活性化ならびに円滑化のヒントになるための内容が書かれている。少し学術要素が強い箇所が多いですが、全項目を読み終えた先には何かヒントを得ることができるかもしれません。
(興味のある項目からでも読んでOKとのことです)

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