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勝てるビジネスは的確なフィールドの選択と、ブレない愚直さをもっている

どんなビジネスでも競合がいない世界というのは有り得ない。

ブルーオーシャンだとおもったらすぐに真似されたり、より資本がでかい会社が参入してきて一気にその市場はレッドオーシャンになって価格競争に陥ったりする。

常になにかと競争せざるを得ないのは仕事的には大変さは大いにあるが、そのおかげで消費者としてのぼくらはイノベーションが起きるおかげで生活ざ日々豊かに、そして便利になっていくのだ。

そんなぼくらの日々のビジネスの中で、少しでも自分の会社の製品やサービスが優位に立てる考え方を振り返ってみたい。

あまり特別な秘策では無いので考え方自体は新しいものでもなく、むしろ古典に近い。もっとも難しいのはそれを徹底するという点にある。わかっちゃいるけど続けるのが難しい、シンプルだけど愚直にやれば成功するといった種類の考え方について。

■会社でのよくある業績を伸ばすための話

営業会議、マーケティング会議、事業運営会議、予算会議、戦略会議、投資委員会など、いろんな会議で常にぼくらは業績を伸ばすための方策を考えたり、課題解決のことを常に考えている。

イシューはなにか、ボトルネックはなにか、ターゲティングはあっているのか、プロモーションはできているのか、ポジショニングはできるのか等、さまざまなことに頭を巡らせる。

そんな中でももっとも多くの時間を割くのが市場シェアの話と競合の話だと思う。3C分析や5F分析はすでに市民権を得て新入社員からちょっと勉強すれば一般用語と化している。

ぼくらはこんな会話を会社でしている。例えば、

・競合がこんな商品を出してきたからどう対抗するか、競合がこんな値段を出してきたが規模で負けている自分の会社がどう太刀打ちすればいいのか。とか

・現在市場はA,B,Cの3社が占めていて僕らのシェアはX%。A社の○×製品にスペックインすればB,Cにも横展開できる。とか

・自分の会社の顧客が業界の競争で押し負けていて市場シェアを失ったことで僕らの製品も前年で10%ダウンしたが、新製品投入で挽回を図ると聞いているので来年は改善が見込まれるとか。

これらの議論はすべておなじ製品やおなじ事業の中の話である。いわばサッカーや野球といった同じフィールド、同じルールで戦うリーグ戦のような競争の話だ。

■広い意味での競合は無限大

もう少し視野を広げてみると、同業他社だけがぼくらの競合ではないことは少しマーケティングをした人であればわかっていることではあるがとても重要なこととして認識しておかなければならない。

公衆電話を作る会社は携帯電話にとってかわられる。

携帯電話のボタンを作っていた会社はスマホに市場から存在を消される。

カセットテープはMDにとってかわられ、MDは音楽プレイヤーに置き換わる(今の若者はMDなんて知らないだろうからいい例え話じゃないかな)

これらは代替する産業が生まれたことで今まであった業界ごと消えてしまう例だ(完全に消えず残るものも当然あるが)。

もっと極端な例を挙げると、「洗剤としょうゆ」も競合である。「自転車とカメラ」も競合。「電気代とガス競合」、「スマホ料金と子供の塾の月謝」も競合。

これは何を争っているかというと、「家計の出費におけるシェア」を争っているという意味で広い意味での競合に該当する。1つの家庭が出費できるお金は決まっているという点で制限がある中で、いかに出費を自分のビジネスに振り向けるかという隠れた競争をしているのだ。

すべて高付加価値の高級品を選んでられないのでみんな家庭で強弱や優先順位をつけている。安かろう悪かろうの商品を選ぶのも限界があるが、こっちはPBブランドの安いので我慢して、別のものにはちょっとお金を出して贅沢をする。そんな消費者の財布内のシェアを争っている。

■ぼくらがとるべき競争における戦い方

このように考えると狭い意味では同じ同業他社との闘いをしながら、代々産業との闘いをしなければならないので、どんな会社のビジネスも常に安泰ということはありえないし、ブルーオーシャンは無いか、あったとしても一瞬であることが多い。

かなり長い期間ブルーオーシャンを満喫して本当に独占的にビジネスができるのは先行者利益を大きく獲得した目の付け所のすごかった会社だけということになる。

そんな中でもぼくらはきれいごとを言っていられない。明日の飯を食うには、今日、目の前の競合と戦い、市場シェアを奪い返すしかないのだ。

そんな発想ではとったとられたの繰り返しになるのは目に見えており、そういった戦いはしながらも、一方でしたたかに別の方策を考えているか考えていないかというのはその会社が今後もあり続けられるかを大きく左右する。

そんなときにぼくらは以下のような考え方をして、愚直にそれをやり続けられれば、勝てる成功確率は各段に上がる。難しいことなく、ただ考え方を変えるだけというシンプルな方法。でもそれを続けることがとてつもなく難しいこと。そして続けられたときに大きな果実が実る可能性が高い考え方。

■ 狙うは市場の地位

どんな市場にもガリバーと呼ばれる巨大な競合がいる場合が多い。彼らはグローバルで世界的なシェアがあったり、日本でも資本力がとてつもなく大きくとても資金がない中小では太刀打ちできないメガ企業だったりする。

そんな絶対王者に対して弱者がどう戦えばいいのか。

それでもぼくらはNo.1を目指すしかないということが最初に重要なポイントといえる。ただし、ここで重要なのは”市場シェア”ではないということだ。目指すは市場地位なのだ。

市場地位というのは地域・商品・販路・顧客における地位のことであって、企業規模が大きいものが常に勝者ということではない。市場毎に弱者と強者は入れ替わるものと考えて、規模のシェアではなく市場の地位について考えることにまずは発想を切り替える必要がある。

そして次は戦い方について。

■戦い方の基本はフィールドの選択からはじまる。

まず前提として、1位でかつ2位を射程距離圏外に引き離した特定の市場地位で1位になることを目指すことを念頭において考える。2位ではだめなのだ。常にダントツの1位を目指す。シェアではなく市場における地位をだ。

そんなこといったって明らかに競合に品質や価格、販売チャネルや顧客とのパイプで負けているといった場合に最も重要なのはフィールドの選択。

フィールドとは事業領域の主戦場のことで、どこで自社の製品やサービスが戦うかという土俵を指す。絶対1位になることを目指すにはどうすればよいか。

とにかくフィールドを分解していくしかない。いろいろな縦軸と横軸で4象限を作って様々な角度で自社の製品をプロットしてみるところから始める。

とにかく勝ちやすい領域や地域、顧客、商品、市場を設定することで、市場を細分化していく。そして勝ち目がある、ダントツ一位になれる市場が見つかったときにそこに経営資源を重点投入して一点集中主義の戦略を取ることを考えるという考え方が適している。

—— 〻 ——

もしこれ以上細分化できなかったり、細分化しても勝てない市場だったとしたらその市場では戦わないことを選ぶべきだ。事業を止めるか、他社に売却するか、逆に1位を目指せるような会社を買収するかなどの選択肢に発想を切り替えるしかない。

例えばもともとの市場が100億円市場で競合大手が70%シェアをもっていてどうしてもひっくりかえせないとしたら残りは30%の市場で戦うしかないのだろうか。

そんなことはなく、戦う市場を細分化することで市場は残った30億円だけではなく60億とか70億とか市場があり得る。その産業を完全に代替するビジネスを作れれば100億円を総取りすることだってできるのだ。

逆に分解していって、100億円→30億円→3億円となって、この3億円の市場では圧倒的にNo.1になれるけど自社の資源を賄えない小さなビジネスしか作れないとしたら、その市場は狙うべきではないということになる。

■注意すべきは市場を奪う相手

そして最後に注意した方が良いのは市場を奪う相手。

もし成熟した市場で売上を伸ばす場合は競合他社から奪う以外に手段はないとしたら1ランク下のライバルから市場を奪うことが望ましいとされている。

自社より強い敵と対決しては体力に劣り不利で勝ち目がないので狙うべきは勝ちやすい敵ということを意識して戦えばあなたの会社からシェアを奪おうとしている下位の競合達を駆逐することができる(ちょっと難しい表現だが 「足下の敵(そっかのてき)」を攻撃 するということになる)。

■継続がとても難しい

こういった考えはある意味で戦略の基礎の基礎であって、誰しもが考えることだ。市場で規模で勝てないので差別化された製品でニッチ戦略をとるというのは誰もが考えることで、事実そういったものが町にあふれることで僕らには買い物の選択肢が増える。

ところがわかっていても企業はどうしても規模を無意識に追ってしまうものだ。思考が油断をしているといつもの発想に戻ってしまう。

固定費を抱えていてはある程度ビジネスの規模が必要になってしまって、ニッチな領域では飯が食えないということになる。コピー機のリコーは2兆円を超える大企業だが、数億円の新事業を作っても屋台骨を支えることはできずに苦労している。

そういった事情を各企業は抱えており、市場をセグメンテーションして勝てるポジションを常に探してぶれないで愚直にやるというのがいかに難しいか。

難しいからこそ、実践して成功している企業はユニークな地位を築いて長い間成長や利益を確保することができる。

—— 〻 ——

競争状態に陥ったときには、半分はその競争に勝つことを考え、もう半分は戦わずして勝つ方法を模索するぐらいのバランスで手を打っていかないと、いつまでたっても値段競争と物量の世界から抜け出せないことになってしまう。

このあたりのことはランチェスター戦略を読めば大枠をつかむことができるのでお勧めだ。以下に簡単にランチェスター戦略における弱者と強者の違いを整理してみたのでご参考まで。

図2


実はこれは社内での自分のキャリアを考えるときにも役立つ。スーパーマンみたいな経歴と実績の先輩社員がいたときに自分はどうその人と違いを打ち出していくのか。芸人の世界でも、音楽の世界でも、ホストの世界でも何でも使える。

ちょっとした考え方のツールといえるので、思考が固まってしまったときにこういった発想をすることでまた考えが回りだすということをぼくは何度も経験しているのでとってもおすすめ。

それでは今日はこのあたりで失礼させていただきます。

keiky.


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