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中国生活で感じたこと#14(アリババ、9・9・6という働き方、英語力)

昨年使っていた手帳を見返していたら、ちょうど一年前に、アリババのジャックマーが、アリババ社内のイベントで、「9・9・6という働きかたが出来るということは幸福なことだ」という発言、炎上したというニュースについてメモしていた。そこで今回は「9・6・6」という働き方について書いてみたい。

1.9・9・6という働き方

そもそも「9・6・6」という言葉を聞いたことがある人も多いと思うので簡単に説明したい。ここ数年、中国で定着してきた言葉で「9・6・6」とは朝9時から夜9時まで、それを週6日間続ける働き方のことを意味する。決して中国に限った話ではないが、IT業界のブラックな労働環境を指して使われることが多い。

中国は共産国であり、労働者保護の法律はしっかり整備されており、労働時間は一日8時間、一週間40時間までと日本と同様の内容になっている。したがって当然「9・9・6」はアウトだ。

2.アリババとジャック・マー

ここで、アリババ、ジャック・マーについても簡単に触れておこう。
タオバオというEコマース、アリペイという金融・決済サービスの名前を聞いたことある人が多いはずだ。他にもYOUKUというYouTubeのような動画配信サービスなどを展開しており、時価総額は今やGoogleやアマゾン、マイクロソフトなどに次いで世界5番目だ。ちなみにアリババの筆頭株主はソフトバンクだ(先月一部売却したが、ソフトバンクグループはアリババ株の含み益に支えられている側面も大きい)。

”ジャック”の名前の由来をご存じだろうか?彼は幼少期、英語を学ぶため、外国人が泊まっていそうなホテルに通い、外国人と文通をはじめたそうだが、その外国人から“ジャック”と呼ばれていたようで、そこに由来しているようだ。当時の中国のことを考えてもその行動力には驚くしかない。

そもそも法律違反を容認しているようにもとれる発言ということもあり、ジャック・マーのこの発言は批判を受けた。ただし批判の一方で、支持する声もあったともいう。この激務がアリババやテンセントといった、今や世界トップにも迫る勢いのIT企業を生み出し、中国の目覚ましい成長に貢献してきたと考える人も多く、実際に、この働き方に肯定的な見方をする若者も多い。

この姿はかつての日本と非常にダブる。
よく言われるように日本も昭和まではモーレツな働き方が是とされ、「24時間働けますか?」という価値観が存在した。かといって私は「かつてのようにモーレツに働けば、日本はかつての勢いを取り戻す」とは思っていない。当時伸び続けていたのは、国内マーケット、経済に成長の余地があり、日本のものを海外に出すだけでも戦えたからだろう。現在のように、社会が成熟し、人口が減少する状況では、大きな経済成長、マーケットの成長は望みにくい(内部留保を給与として払いだせば、経済もまわって全て解決!なんてことはない。むしろ今回の騒動で内部留保の重要性を理解した人も多いとおもう)。

海外に出ても、各国、企業の成長とともに、日本が優位性を誇っていた領域についても追いつかれる、追い抜かれるのは当然だ。新規開拓も物凄いハードルが高い。それでも国内で天井にぶつかった以上、それ以上の成長を望むのであれば海外で戦うしかないというのが私の持論だ。

3.中国人の英語力

そしてグローバルで戦うという文脈において、当たり前の話だが、海外経験や語学力とくに英語力は非常に重要だ。

私自身、アメリカと中国語で働くなかで言語的なハードルの高さを強く感じている。テキストベースの情報だけでは、そこに住んでいる人が、実際に、どのように感じ、どのように受け入れられているのか見えてこないので、現地の一次情報に直接接することも必要、かつ重要だと思う。しかし悔しい話、私自身「この人の英語力だと本音を話しても理解できないかも知れないし、かえって話がややこしくなりそうだし、話すのをやめておこう。」という接し方をされたことが何度もある(このレベルになると、まだまだ翻訳機器では対応できないだろう)。

また、一部のエリートのみ出来れば良いというものでもない。より多くの人が、様々な角度で見て、触れることで、理解が深まり、戦略が深まるはずだからだ。

さて、中国人の英語力だが、少なくとも上海にいる若い人は英語力が高い。会社員、専門職はもちろんのこと、街中のジムやカフェ、ショップに、中国語が苦手なので英語で良いか?と話しかけたときに「英语不好」と言いながら、日本で「英語が苦手です」という人より遥かに上手に話す中国人に数多く出会ってきた。まさに教育の賜物だとおもう。子どもがいる中国人の同僚も、みな幼稚園のうちから英語を勉強させているということである。

韓国や日本のような小国ならまだしも、中国という国でこれをやっているからなおさら凄い。中国の場合、中国から出なくても仕事は幾らでもあるし、まだまだ開発途上、成長の余力が残っている国にも関わらず、英語の重要性を理解し、重要科目として定着させ、成果を出している。日本からすれば本当に勘弁して欲しい話だ。遅すぎるなんてことはない。日本も英語教育の改革を進めている真っ最中だが、良い方向に進んで欲しいとおもう(日本の場合、教育制度改革はさまざまなしがらみがあって遅々として進まないことが多いが、中国は良くも悪くもトップダウンで一気に進むので、羨ましさを感じることもある。)

ジャック・マーのエピソードを書いていたら英語力に話が移ってしまった。働き方に関してはおいおい書いていきたいと思う。

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ではでは。


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