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アメリカに住んでいたときに考えたこと#1

私はいわゆるアメリカ的なものが好きだ。キャプテン・アメリカなんて最高だ。アメリカに住んでいたころ、自国愛の強い人に触れ続ける中で、やはりアメリカは最高だと感じた。理由はわからないが、気がついたら自分の中にそのような価値観が築かれていた。

そんなアメリカ最も今回の新型コロナ騒動で苦しんでいる国の一つだ。元々問題だと思われていた箇所が改めてクローズアップされ、そしてアメリカの競争力を支えていた点が却ってマイナスに作用していたりする。

アメリカ時代の記憶も薄れつつある。備忘も兼ねて、当時思ったことを現在の状況と照らし合わせて整理していきたい。

1.企業が従業員をレイオフ(クビに)しやすい

アメリカの労働社会を理解するには、まず"employment at will"という考え方を理解する必要があります。従業員にいつでも、いかなる理由でも、辞める権利を確保する一方、雇用者側にも、従業員をいつでも、いかなる理由でも解雇する権利を確保した労働形態です。(もちろん、雇用期間を具体的に定めた契約形態もあり、その場合は、規定された期間内に辞職したり、解雇したりすることはできません。)

ちなみに中国は試用期間が半年設けられており、このタイミングで解雇しないと次は数年経たない限り、雇用者都合での解雇は出来ません。そのため半年間の見極めがポイントですが、それ以降は労働者寄りだと感じています。

良い点はたくさんあります。先日紹介した”Job description"とのセットで、労働市場の流動性を高め、労働者のキャリアプランを柔軟にしてきました。また、企業にとっては、業務上のパフォーマンスを理由に解雇できることで社員のパフォーマンスを確保しやすくなり、また、労働市場の流動性が高いことから、採用を行う際に企業の求める人材を採用しやすいなどのメリットもあります。米国企業をここまで強固にしてきた要因の一つなのです。

ただ、今回のような不況になると、従業員へのマイナス面が目立つことになります。また日本企業と比較して、一般的に米国企業は内部留保(お金)の比率が少ないため、このような有事の際に従業員を抱えることができないという背景もあります。そもそも上記の労働形態を前提としているため、売上が立たないときに従業員を雇い続けるというインセンティブが働きにくいわけです。

このような環境では、どうしても飲食産業はレイオフが進みやすいのです。特に今回の騒動がタチが悪いのは『外出制限』という物理的な影響です。人間は、どんな状況でも食事せずに生きていくことは出来ません。そのため、不況の際も高級店から廉価な価格帯の店へのシフトは起これども、今回のような打撃は起きにくいのです。

2.治安の悪化、銃が売れている状況について

いま銃が売れているという物騒なニュースが聞こえてきます。治安の悪化し、何かが起きた際に、対応するためでしょう。

私の生活圏では銃社会を実感することはありませんでしたが、アメリカは紛れもなく銃社会です。99%は誰かを攻撃するためではなく有事の際の自衛のためだと思いますが。私もアメリカ時代、私も知人から、打たれた知り合いがいる、という話は聞いたことがあります。

場所によっては治安が悪いことも事実です。窓に鉄格子が嵌められているのが標準となっているエリアもあります。景気と治安はリンクしている。特にこういったエリアに飲食・サービス業で生計を立てている人もいると思います。私が心配しても仕方ないのですが、なにも起きないことを祈るばかりです。

3.医療費の高さ

例えば盲腸で200万円くらいかかるのです。1億円を超えるようなケースもあります。そもそも救急車が有料ですしね。医療費が高いことには様々な理由がありますが、日本と異なり、医師が自由に診療費を設定できることが大きな要因の一つです。日本では『〇〇の治療は△△点、××円』となり、コントロールされていますが米国は異なります(日本と異なり事前に見積書を作ってくれるので安心です笑)。医療費で破産する人が多数発生します(破産原因の半数近くが医療費の支払いというデータを見たことがあります)。

日本のような国民皆保険制度はありません。メディケア、メディケイドといった公的な健康保険制度もありますが、ハンディキャップがある人、高齢者などの制限があります。それ以外の人は民間の保険に加入しますが、治療費が高いため、保険料も高くなってしまうのが実態です(米国には”ネットワーク”というシステムがあります。そのネットワークに加入した場合、特定の病院に通わなくてはなりませんが、割引を受けることができます。このように医療費、保険料を下げる仕組みもあります)。そうなると低所得者は十分な補償を受けることができる保険への加入も難しくなります。

日本に比べて問診を丁寧にしてくれる(と言われています。私は医者にかかったことがありません。)という良い点もありますが、このように医療費用の負担が大きい社会では、今回のようなケースでも、なかなか病院に行くことができず、二の足踏んでしまう人が発生することは容易に想像できます。

アメリカは医学のレベルは高いが、医療のレベルは低いと聞いたことがあります。今となっては、何となくわかるような気がします。

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好調な時には見えないデメリットが、こういったときに見えてくるというのは良くある話ですよね。逆に普段は当然だと思っていた仕組みが、実は理に適っているかも、と気づかされることもあると改めて感じました。

なんだか事実の列挙みたいな記事になってしまいましたね。少しでも参考になる人がいれば良いのですが。。

ではでは。







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