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アンテナを立てよう・自分の中に「とっかかり」を育てよう

最近「アンテナを立てる」という言葉を聞かなくなったように思う。語源と思われるテレビアンテナは、その存在自体が希薄になりつつある。

この言葉が盛んに使われていたころは、アンテナを立てないと情報収集できなかったのだとおもう。それに対して、いまはアンテナを立てなくても、情報の方から寄ってきてくれる、むしろ追いかけられる時代だ。

ヤフーニュースを開けば、いまトレンドになっているニュースが分かるし、YouTubeで一度動画をみると似たようなジャンルの動画を進めてくれる。ありとあらゆるサービスが、過去の行動履歴に基づいて、関連した情報、サービス、商品を提示してくれる。アンテナを立てなくてもいくらでも情報が入ってくる。

しかし私は、こんな時代だからこそ、アンテナを立てる意義があると思う。

ここでいうアンテナとは、自分の中の「とっかかり」のことだ。私は、自分なりの「とっかかり」があって、はじめて主体的に情報を取り入れることができるという持論を持っている。言い換えれば、自分なりの「とっかかり」がないと情報の波に飲まれてしまう。

そして、主体的、つまり思考をともなってインプットした情報ほど脳に刻まれる。自らすすんだ読んだ本と、読まされた本で、読んだあとに定着する情報量が違うのと同じだ。そしてインプットされた情報は、次第に有機的に結びついていき、一つの思考としてかたまり、「とっかかり」になる。そして、この「とっかかり」が大きくなると、それまでなんとなく流れていた情報も意味を持ち、それらがくっつき、「とっかかり」はより高く、大きくなっていく。そうやって思考が深まっていく。

そしてもう一つ。一つの「とっかかり」をしっかり育てていくことも大事だが、「とっかかり」はいくつか持っておきたい。一つの「とっかかり」ばかり育てていると、それが「真理」になっていまう。いわばカルトだ。
逆に複数の「とっかかり」が、実はつながった大きな山だったということだってある。関係のないように見えていた仕事が、実は繋がっているというのは往々にしてあることだ。

「とっかかり」をつくる方法はいくらでもある。仕事、学業はもちろん、読書でも良いし、新しい経験を積むことでも良いと思う。思考をともなうインプットなら何でも「とっかかり」になり得ると思う。大事なのは思考をともなう行動だ。そして「とっかかり」は、一度作ってしまえば、あとは目の前を流れる情報が勝手に引っ掛かるようになり、勝手に育っていくのだ。

イメージとしては魚釣りの「フック」にも近い。幸か不幸か、多少は時間があるこのタイミングに、情報の海に投げこむ思考のフックを準備したいと思う。

コーヒーを飲みながら、そんなことをぼんやり考えた一日でした。

ではでは。

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