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”社会的手抜き”を抑制する組織を作るには

■リーダーに求められることとは?

1.0の能力を持つ人が10人いる組織があるとする。
この組織の能力は単純に計算すれば1.0×10で10となるはずだ。
しかし何の統率も用いない組織では1.0×10とはならず、せいぜい0.8×10=8程度になるのが関の山である。
これは社会的手抜き(=リンゲルマン効果)と呼ばれる。
集団の人数が増えれば増えるほど個人の頑張りが評価されにくくなるため、個々の責任があいまいになり、個々のパフォーマンスが下がるとされている。

すなわち、リーダー・マネジャーに求められることはこうした効果に対抗し、10人の組織のパフォーマンスを12,13..と高めていくことである。

逆説的に言えば、

・個人の頑張りを正確に評価する
・個々の責任範囲を明確にする

といったことでリンゲルマン効果を小さくすることが可能 ということになる。

例えば大人数で一つのプロジェクトをやる場合でも、

”ここからここまでの範囲はあなたの責任範囲である”

ということを明確にしておくことが個人のパフォーマンスを高めるためには必要ということである。

また上記の責任範囲における成果は、その担当者の成果として正当に評価することにも気を付ける必要がある。

■チームの最小単位

さて、一人のリーダー・マネジャーが指揮を執る人数として最も効率的に運用できる最小単位は何人くらいだろうか。
最小単位に要求される要件はここまでの検討から

・最小単位の長が個々の頑張りをしっかりと評価することができる
・最小単位に属する個人の責任範囲を明確にすることができる

ということになる。
上記を満たすためには大人数は避けるべきであると考えられる。

過去の事例はどうか。
アポロ計画に代表される初期の宇宙飛行士が一機の宇宙船に乗り込む人数は3人であった。
これは3人が最も喧嘩をしにくい という理屈に基づくものだったといわれている。
また歴史的に見れば五人組、伍長というように5人を一単位とする例もみられる。
また現代の自衛隊においては最小の戦術単位は班、または組とされておりその人数は4-6名である。
これらの例から見る限り、組織運用における最小の単位は4人程度を基本とし、そのユニットを寄せ集めて大きな組織にしていくことが標準的であると言えるだろう。

■組織のパフォーマンスをより高めるための方策

ここまでやれば組織のパフォーマンスが8になるのを防げて、10を目指せる土台が出来上がる。
問題は 10以上、12や13を目指すにはどうしたらよいか だろう。
ここでは3つの方策を挙げてみたい。

〇担当者同士のシナジー・相乗効果
⇒個人商店の寄せ集めのような組織、個人同士の連携がない組織は10以上にはなれない

〇競争の原理、ゲーム性を持たせる
⇒積極的に強みを発見し、みんなの前で褒める
 楽しく勝手に強くなる が 一番いい

〇成果に応じて加点する
⇒相対評価・減点評価にすると他人の足を引っ張ることで自らの評価を高めようと考える人間が現れる可能性があることに注意が必要

こうした仕組みをうまく作りこんで、リーダー自身が何かをしなくても勝手に成果が出る組織、自分がいなくても高い成果を出せる組織を作ることがリーダーの仕事のゴールと言える。

■まとめ

ここまでの話を図解して締めよう。

①個人商店の寄せ集め組織にしてはいけない

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②担当者間で連携させる、相乗効果を狙う

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③サブリーダーと小ユニットを作る、社会的手抜きを抑制する

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