よいリーダーは常に目的に焦点を当てる
多人数の組織を以って成果を最大化するにあたって、事業やプロジェクトの目的を明確にすることは非常に重要なことだ。
目的を達成するために手段が考案され、実行された結果、成果が出来上がる。
目的⇒手段 のように、目的にマッチした手段であるかを常に吟味し、点検することが必要だ。
しかしながら、世の中には手段が目的化してしまうことがしょっちゅうある。
目的と手段が逆転したプロジェクトはかなり高い確率で当初の目的を達成できない。
私の経験に限って言えば100%失敗する。
具体的な例でいえば以下のようなことが思いつく。
・儲けるためにビジネスの仕組みを作った ⇒ いつの間にか仕組みを維持することが目的になっている
⇒結果、儲けられなくなったにも関わらず、ビジネス上の仕組みを維持することに固執する
・労災を起こさないために、労働無災害1000日連続記録で社員にボーナスを与えることにした
⇒無災害を継続することが目的になり、軽微な労災を報告しなくなった
⇒結果、見かけ上は無災害でも、事実上は無災害ではなく隠ぺい体質になっている
・組織内の知見を共有するためにレポートの件数を目標設定した
⇒レポート件数を稼ぐことが目的になって中身の薄いレポートが増えた
⇒結果、誰もレポートを見なくなって組織の知見が共有されない状態が続いている
こんなパターンを10年以上の会社勤めの中で幾度となく目にしてきたわけだが、特に厄介なパターンは、過去に強力な成功体験がある場合だ。過去に成功した手段は常に必ずうまくいく
という思い込みやジンクスがあると、目的を見失いやすい。
■約10年前の私の体験談
ある役員が
「うちにはこの20年で築いた競合には追い付けないノウハウがあるから、この製品はまだ売れる」
みたいな会話をしているプロダクトがユーザーにとってはすでに時代遅れ、数年後には売上ほぼゼロという経験をしたことがある。
”まずユーザーの体験価値を高めて、その対価としてお金をもらう。プロダクトはその手段”
という基本原則を、マネジャーも担当者も徹底して刷り込んでおくべきだった。
また、こういうことが起こりやすい組織は情報の非対称が起きていることが多い。
ここで言う情報の非対称とは、上司が多くの情報を抱えたまま担当者に展開せず、情報優位者と情報劣位者が発生していることを指す。
このような組織では、担当者はたとえ目的を開示されなくても、経営層には何か深遠な目的があってこのような策を取るのだ、と納得してしまいやすい。
※昔の私です
■まとめ
・目的と手段の逆転を防ぐには、組織の上から下まで、やることに対する目的を共有して統一しておくことが望ましい
・目的はできるだけシンプルに、わかりやすくしたほうがいい
(あれもこれもと目的を全部盛りすると焦点が定まらず失敗しやすい)
・リーダーはフォロワーと行動の目的を逐一共有し、目的を見失わせないようにしよう。
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