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Good to Great ― KC B team

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小宮コンサルタンツのコンサルタントによる経営のお役に立つコラムです
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2021年7月の記事一覧

【読書メモ】ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方

コンサルタントとして様々な会社を見てきています。会社によって組織文化は様々です。わたしは、その会社らしさを理解して、一緒に歩んでいくことを大切にしています。なぜなら「らしさ」こそ模倣できない部分であり、強みの源泉であるからです。 中竹竜二さんも著書「ウィニングカルチャー」で同様のことを述べています。 同書では、組織文化をどのように形成するか、また、形成することを通じて組織を進化させていく重要性や方法論が書かれています。 組織文化は手入れをして作り上げていくもの 組織文化

「なぜやるのか」という説明責任が、課題を先送りにしてしまう

「自分で変えようとするカルチャーにして行かないとならない」 ある社長がそうおっしゃいました。 同社の社員は、とても真面目です。目の前の仕事に責任を持って取り組んでいます。しかし、何か問題が発生するたびに「なんでもかんでも上へ上へとあげて承認を得ようとする」ことを社長は問題視しています。 特に現場のリーダーである管理職に対してストレスを感じています。 社長いわく… 「自分で決めない。すぐ聞いてくる」 「何かを決めるのは、下々の我々ではないという考え方になってる」 「それ

課題設定力

以前、「AIで社長は採れない」というタイトルの投稿をしました。下記の趣旨でした。 https://note.com/fujimotomasao/n/n37f70d686652 「AIによる採用は、AIにとっての判定の基準があることが前提になる。「○○の業務は、こういう資格を持っていて、こういう経歴があって、こんな行動特性を持っている人が成功しやすい」という過去の勝ちパターンが明確化しやすく、かつそれが今後も続く仕事であるほど、判定の基準が作りやすくなる。そうした基準の作りよ

柔道でメダルラッシュが起きている理由

柔道のメダルラッシュが止まらない賛否両論ある中でスタートした東京オリンピック。始まってみると日本選手が大活躍しており、ニュースもオリンピック一色ですね。外出自粛や在宅勤務の影響で自宅で過ごしている人が多い上に、放送時間も早朝や夜中ではないためテレビの視聴率もかなり高いです。 開会式では平均世帯視聴率は56・4%、瞬間最高視聴率では61・0%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)に達しており、ソフトボール決勝も世帯瞬間最高視聴率46.0%(同調べ)を記録するなど、各競技においても高い

デフレ下の雇用(2)

前回の投稿では、デフレ慣れしている日本の物価が、いつの間にか世界最安水準になってしまっていることについて取り上げました。賃金についても伸びておらず、外国人労働者から就労先として選んでいただけなくなる状況も近づいていることについて考えました。 https://note.com/fujimotomasao/n/n0fa4942e51ae そのような状況下で、私たちは経営や仕事にどのように向き合っていくべきなのでしょうか。ここでは、大きく4点考えてみます。 1.来たるインフレに

女性リーダーの「一皮むけたはずの経験」をなかったことにしていないか?

「もし役員になったとすると、有事の時とか動けないよなって思うんですよね」とある女性幹部候補と話していたら、そんな言葉が出てきました。 まだまだ女性役員は少ない日本女性役員比率が低いとされる日本。OECDの調査では下記の通りとなっています。 各社様々な施策に取組んでいます。冒頭の会社様でも検討を重ねているところです。現時点で女性役員はゼロ。10年後には、女性役員を3割にしたいと考えているとのことでした。 そして、検討していることの一つとして、「女性役員候補者研修」がありま

デフレ下の雇用

前回の投稿では、ある外国人社員の退職事例について考えました。日本で働けば稼げると期待して来日したものの、現在の処遇が期待に見合わなかったため、より高い報酬を求めて別の雇用口に移った、という話でした。 https://note.com/fujimotomasao/n/nc9a2760be717 日本に高賃金を求めて来日するという構図は、将来的に減っていくことが想定されます。ベストセラーとなっている「安いニッポン」(中藤玲氏著)では、デフレ慣れしている日本社会の実態について説明

外国人社員の退職

先日ある経営者様から、自社で雇用していた外国人社員Aさんが退職したというお話を聞きました。突然「辞めたい」と本人から申し出があったのだそうです。 Aさんはアジアの国の出身です。入社3か月目の社員で、その頑張りが周囲にも認められていて評判も良かっただけに、同経営者様もショックだったと言います。朝の清掃の時間に何の前触れもなく申し出があったそうです。 当然、同経営者様が話を聞き慰留しようとしました。退職の理由は、「もっとお金が欲しい」。この1点だけだったそうです。給与以外の仕

言葉の背景にある価値観の違い

先日、月に1回のコーチングを受けておりました。自己の客観視を深める目的で、知人にお願いして幅広いテーマで話を聞いていただく機会としているものです。回によっては、コーチングというよりざっくばらんな相談や、コンサルティングに近かったりします。先日の回での一言が、私にとっては大変示唆深いことでした。 最近次のような出来事がありました。 ある企業様を訪問して打ち合わせ、私がある件のご提案をする機会がありました。提案といっても、こちらから働きかけたというよりは、同社様が考えるべき企画

セブン&アイが2段階格下げのリスクを負ってまで巨額M&Aをする理由

セブン&アイ・ホールディングスが巨額M&Aで2段階の格下げセブン&アイがアメリカのコンビニ大手スピードウェイを買収しました。米連邦取引委員会が反トラスト法(独占禁止法)違反の懸念があると声明を出していましたが、アメリカのセブンイレブンの店舗の一部を売却することで正式に承認されることになったようですね。 今回は買収額が2兆3000億円と巨額なことから、この買収によるセブン&アイ・ホールディングスの財務への影響が気になっていました。 先日の日経新聞に買収前と買収後の財務状況の

警視庁からの手紙

知人の息子さん(小学生のAさん)が、警視庁から手紙をもらって帰宅したそうです。当然、親は「一体何事だ」という反応になりました。 内容は、警察署から親御さんにあてられたものでした。概要は以下です。 ~~○月〇日に、Aさんがシールを取得し、△警察署に届けていただき、ありがとうございました。落とされた方(持ち主)にお礼をしていただくために、△さんの住所、氏名等をお伝えしてよいものか、確認をさせていただきたく、ご連絡いたします。・・・~~ そして、同封されていた拾得物件預り書には

社長が社内から評価を受けることの是非

「社長も部下から評価されることが必要だと思っている」 ある社長からそんな相談を受けました。一般的に、社長になると他人から注意してもらえなくなります。結果として、甘くなってしまうのではないかというのがその方の問題意識です。そこで、社長が社員から評価される仕組みにしたいということでした。 自社の状況を踏まえないとどんな打ち手も機能しない問題意識としては良いと思います。ただ同社の場合、オーナー企業で、良くも悪くも上意下達の文化が根づいています。社員の行動は自律的とは言い難い部分

労働分配率の比較(2)

前回の投稿では、労働分配率について考えました。業種やビジネスモデルの違いによって、平均的な労働分配率も異なる点を取り上げました。今日もその続きです。 https://note.com/fujimotomasao/n/ne29b71d4950a 労働分配率について考える際の2つめの視点は、自社が全企業活動で必要とする経費・生み出す利益とのバランスで捉えるべきだということです。 例えば、社員の給与が高いキーエンスで考えてみます。 有価証券報告書によると、同社に関する情報として

労働分配率の比較

現在、複数の企業様で経営計画を考えるにあたって、労働分配率が話題になっています。そのことに関連する記事が、7月13日の日経新聞「デジタルのジレンマ(1)崩れる分配、消えた500億ドル 米巨大ITの富、働き手に渡らず 次世代にひずみ」で掲載されました。 同記事の一部を抜粋してみます。 ~~デジタル技術はネットを介した情報発信や検索、買い物などを通して生活を便利にし影響力を強める。しかし米商務省経済分析局(BEA)の統計を使って20世紀をけん引した自動車と比較すると、経済に与え