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言葉の背景にある価値観の違い

先日、月に1回のコーチングを受けておりました。自己の客観視を深める目的で、知人にお願いして幅広いテーマで話を聞いていただく機会としているものです。回によっては、コーチングというよりざっくばらんな相談や、コンサルティングに近かったりします。先日の回での一言が、私にとっては大変示唆深いことでした。

最近次のような出来事がありました。
ある企業様を訪問して打ち合わせ、私がある件のご提案をする機会がありました。提案といっても、こちらから働きかけたというよりは、同社様が考えるべき企画に対して同社様のほうからいろいろと質問され、こちらがそれにお答えする感じでした。打ち合わせの終了時には、「大変有意義な話ができ、企画のイメージも高まった。ついては、後日企画について連絡するので、少し時間を頂きたい。」と言われて、終話しました。

打ち合わせ日から数日後に、メールも届きました。メールには、打ち合せのお礼と次のようなことが書かれていました。「先日のお話を踏まえて、企画について検討いたします。後日改めてこちらからご連絡いたしますので、しばらくお待ちください。」

私としては、そのうち何らかの連絡があるだろうと待っていた次第です。
しかし、1か月ほどたちますが、まだ何の連絡も来ていません。1か月というのは、人によっては何度も催促を入れてもおかしくはない期間です。今回私は、緊急の件でもないため、特に慌てず待っていました。ですが、1か月たっても進みません。緊急ではないものの、私個人のキャリアにとって大切なことでもあるので、何も進捗ない状態が多少のストレス要因になっていることに気づきました。

コーチングにてこのことを話題にして話していくうちに、2つのことに気づきました。
ひとつは、他者に催促を入れるということに対して、自分が(おそらく他の人以上に)ストレスを感じる傾向があるということです。コーチからは、本質について考えさせられる、次のような質問が飛んできます。

・「そのことを、(同コーチ以外の)他の人に話したことがありますか。その時、話を聞いた人はどんな反応をしていましたか。」
・「その件と1か月間という時間とを客観的に見た場合、他の人ならどんなアクションをとる可能性があると思いますか。そして、あなた(私)がそのアクションをとろうとしない背景には、どんな考えや気持ちがあるのでしょうか。」

「まだですか」と相手に問い詰めることがあまり好きでもなく、得意でもないのは自覚がありましたが、上記のようなやりとりを通して、改めてその傾向が強いということに気がつきました。

2つ目の気づきは、(こちらの気づきのほうがインパクトが大きかったのですが)同じ言葉でも使い方が人によって異なるということです。

私の場合、「後日こちらからご連絡します」と言ったならば、(よほど忘れていない限りは)こちらから相手に対して何らかのご連絡を入れています。今回の件の流れであれば、一週間程度でご連絡を入れる感覚でしょうか。ここで、コーチから次のような返しがありました(コーチングというより、コンサルティングに近いです)。

・「私(同コーチ)の場合、「後日こちらからご連絡します」という言い方は、本当にいつ連絡するか、あるいは連絡しないかわからない時にしか、使いませんけどね。確実に連絡するつもりなら、いつまでに連絡するのか日付を明確にして言います。」

私が個人的に思うだけなのかもしれませんが、「ご連絡します」という言い方の認識に、人によってここまで違いがあるのかということに驚いた次第です。しかし、よく考えてみると「後日」と言っているだけで期限を切っていませんでしたので、一週間後なのか10年後なのかわかりません。「ご連絡します」も、明確な約束なのか、そうしたいと思うという不確実な意志なのか、はっきりはしていません。単なる「ご連絡し(たいと思い)ます」なのかもしれません。私の場合は明確な約束のつもりで使う言葉を、相手も同じ使い方をするものだと勝手に期待していたに過ぎないかもしれないわけです。

ともすれば、「自分のほうから連絡すると約束しておきながら、それを実行しない相手がけしからん」と相手を非難したい思いが自分の中にあったのを、コーチに見透かされていたような気がしました。

「相手が自分で言ったことを実行してくれなかった」という認識は、正確ではないのでしょう。「相手は、相手の価値観で言ったことをそのまま実行した(=連絡するかどうかわからないという返事に沿って、いまだ連絡しないという行動を実行した)。その言葉の前提にしている価値観が、私とは違った。」と認識すべきなのでしょう。自分の期待で相手を見てもその通りにならない、ということです。

では、こうした行き違いを防ぐにはどうしたらよいか。
やはり、5W1H(だれが、いつ(までに)、どこで、なにを、なぜ、どのように)でネクストアクションを具体的に定義することでしょう。今回の場合、特に「だれが」「いつまでに」「どのように」を明確にし、「相手の○○さんから私へ、何月何日までに、△△の連絡手段で、結論を伝える」と定義して相互に確認しておけばよかっただけの話です。相手の中でそれができるかわからない曖昧な状況ならば、そういう状況だというのがこの時点でわかります。

・自分と相手は異なる
・5W1Hで確実に報連相する

ビジネスで基礎中の基礎と言われていることですが、改めて重要で、奥が深いと思った出来事でした。

<まとめ>
自分の勝手な期待で、相手を見ないようにする。


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