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きっかけは、いつ、何からはじまるかわからない。

私には、尊敬しているおばあちゃんがいる。
いつだったか、テレビを見てぼーっとしていた時のこと。
私は、このおばあちゃんに出会った。

若宮正子さん。定年退職後、母親の介護をするために外出が減り、パソコンをはじめた。そしてプログラミングを習得し、81歳で世界最高齢のアプリ開発者となったそうだ。

本当に、人生は何がおこるかわかりませんね。
だから、自分の未来にフタをしちゃいけませんね。
何歳からでも、人は変われる』

このCMは、私の心を大いに動かした。
プログラマーを経験していた私にとって、プログラマーなんて若いうちしかできない複雑な仕事だと思っていたというのもあるし、私の住む田舎の高齢者なんて、価値観の固まった人が多く、平坦な生活をしている人がほとんどのように思えたからだ。

私は、このCMに出会ってから、なるべくやりたいなぁと思ったことは直感的に行動に移すようにしている。

***

これは、今年の9月のこと。
とある木曜日の昼休み、私は娘の通っている小学校から連絡をうける。

「こちらは保健室です。娘さんが、走っている最中にお腹痛いと泣いていたので、ちょっと触ってみたら熱があったんですよ…迎えに来られますか?」

自営業の私は、すぐ迎えに行った。
保健室につくと、泣いた顔で少しの給食を食べて、娘は待っていた。

小学1年生。初めての早退。

学校ではそれなりに我慢していたのだろう。帰宅するなり、ぐったり横になり昼寝をした。ここ数年、昼寝なんてしたことなかったのに。昼寝をして起きると40度と熱が高く、いつも行かない小児科にお願いして、診てもらうことになった。

結局、吐いたり下痢をしたりで、胃腸炎だったようだ。
木曜日から戦った高熱も、土曜日の夜には消えて、だいぶ回復した。

元気にはなったけど、月曜日まで学校を休んだ。
5日間、家にずっといた。
その間、娘とずっと遊んでいたときに、ふと思ったことがある。

「このキーボードじゃ、両手で弾けない…」

何かの引出物のカタログでもらった、小さなキーボード。まさに、子ども用。
何となく私は、ピアノを両手で弾きたくなった。
特に習い事をしていたわけでもないけれど、音楽は好きだったから。

そんな折、私はこのキーボードに出会った。

わぁ…今や先に弾く場所が光ってくれるのか!歌も好きだからマイクまでついてていいなぁ。
無駄遣いだったかもしれないけれど、定価より半分くらいの価格で売っており、即ポチっとしてしまった。

(それにしても、届くのが楽しみだなぁ。)

今は便利な世の中だ。娘の胃腸炎が治った数日後、このキーボードは届いた。届いた段ボールを見るなり、娘もテンションが上がった。
「わぁー!こんなに大きいの!!」
私もはやく段ボールをあけ、急いでキーボードを弾ける状態にする。
流行りの曲も含め、200曲も入っていた。
らくらくモードという機能を使えば、弾く前にキーボードが光る。
私は、楽譜に慣れていないので、とても助かるスグレモノだった。

10月になって、ようやく両手で弾けるクラシックが出てきて、私はまだまだこのキーボードを楽しめそうだ。
やっぱり、あの時買ってよかった。

***

娘の胃腸炎で引きこもらなかったら、私はこのキーボードを購入していない。若宮さんも、母親の介護がなければパソコンを購入していなかったかもしれないのだ。

きっかけは、いつ何からはじまるかわからない。
人はいつだって、嫌なこと、マイナスなことから自然と抜け出そうとしているのかもしれない。
可能性をあきらめない、って素敵なことだと思いませんか。


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