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蹴球症候群

他分野を通してサッカーを解明し、サッカーを通して他分野を解明する
サッカー、またはサッカー以外の分野から日々何を学んでいて、何に気付いて、何に疑問をもち、どんな風に… もっと詳しく
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2020年4月の記事一覧

第3話:欲に素直になる 編|『あのサッカー大国は、天国か地獄か』

▼第2話:他人と違う自分編 第3話:欲に素直になる 編 どうしてアルゼンチンを選んだのか?この質問は、日本人にも外国人にも、これまで死ぬほど聞かれてきた。正直なところ、狙いをあげればキリがなくて、僕にとって世界で唯一「完璧な国」がアルゼンチンだった。そこにあったプロセスを、記憶のある限り記していく。迷いが全くなくなったのは、出発から約1年前のことだったように思う。 "欲"帰国してしばらく、僕は大学での仕事に夢中になっていた。シーズン途中から加入した僕は、彼らのゲームを数

いまはなにをする時なのか。

2ヶ月。世界が姿を変えてしまってから、それくらいの時間が経った。少し前まではとは違い、僕は幾らかの覚悟が決まったように思う。未来に向けての、覚悟。 今日は、僕が思う「いま」人々は何をするべきなのか、という話をする。

2つのハードルを超える——。 井筒陸也と生配信をして

生まれて初めて生配信をして、その相手が愛しのリクくんで、彼から学ぶことも多くあり、僕自身すごく有意義な時間に感じたので、終わって日本の皆様が寝静まっている今、この記憶がなくならないうちに考えたことを書き残しておこうと思う。 生配信なんてものは一生縁のないものだと思っていたけれど、コロナの影響もあり社会が変異したことで、新しいことにチャレンジをすることができた。なんでもやってみないとわからない、だ。 参加してくださった150人以上の皆様、貴重なお時間を使っていただき誠にあり

“ファンフルエンサー”のいない日本のスポーツに未来はあるか

『クラブがカッコよくなるっていうことは、つまりサポーターがカッコよくなるということです。ブランディングをするということは、サポーターの文化をつくるということ』 以前受けたインタビューでこのように答えました。僕がやりたいことはつまりこういうことだったりするのですが、今日はそれについて少し書きたいと思います。 ・・・ 自分がサッカークラブでやりたいことはインフルエンサーマーケティングとは違うんだよな…と思っていたところ、

考察:『細かな美しさ』 と 『大きな醜さ』 どちらにより敏感になるべきか?

『日本人は、細かな美しさには敏感だが、大きな醜さには鈍感である』 誰が言っていたのかは覚えていないのですが、ある外国人が日本のことをこのように言い表しました。この言葉を聞いた時、これは極めて真理だなと、そう思いました。 例えば日本という国には、世界的に名のある建築家が多くいます。しかし例えば東京の街を見ると、ひとつひとつの建物は美しく質の高いものが多いのにも関わらず、街全体を見ると、決して「美しい」とは言えません。諸外国の統一性のある街の美しさと比べると、それは一目瞭然と

「沸点」について

自己分析が、何をするにも、幸せになるにも、豊かになるにも重要なことだと思っている。もちろん自分が誰にどう見られているのかを100%把握することも、正確に形取ることも出来ないけれど、人のことを見ていて、自分自身のことを下に見積もりすぎるわけでも、上に見積もりすぎるわけでもない人は、強いな〜と、よく思う。 自分のことを知るためには、

第2話:他人と違う自分 編|『あのサッカー大国は、天国か地獄か』

▼第1話:はじめてのひとり旅 第2話:他人とは違う自分 日本に帰ってきてから、比較的すぐに日常を取り戻したように思う。荷物は全てなくなっていたけれど、それが新たなスタートを切る上で、身軽さに変わっていたのかもしれない(保険がおりたからお金はあったのだ)。僕は何か大きな出来事を終えたとき、燃え尽き症候群になることが多い。でもその時は、空港についてすぐに電話をかけた親友から、『もう海外終わり?』と言われたことが脳裏に焼き付いて、いやいやまだ始まってすらいないと、次なる挑戦に向

フットボールは『映画の「色」』からインスピレーションを得られるか?

VOGUEのYouTubeチャンネルが公開していた『ジョーカー撮影監督が解説、映画の”色”がもたらす効果。』という映像を見て、フットボールを考察する。 ・・・ 僕は極端な蹴球症候群だから、例えばサーカスを見に行くと、パフォーマンスに酔いしれると同時に、フットボールを考える。「なぜいま、自分の視線は後ろに動かされたのか?視線を舞台に戻した時には、別のパフォーマーが立っている…という状態は、サッカーに応用できるか?」とか、アホみたいに考えて、メモる。よく舞台や美術館に行くのは

「敵は内にあり」状態について——何に答えを出すべきなのか?

まあ僕はもちろん日本人だから、これまで色々な日本人の組織に属していきてきたわけだけど、パンデミックにおけるこれまでの日本を客観的に見ていると、つくづく「何と戦ってんの?」と思わざるを得ない。「内側に敵いるよねそれ」と、誰がどう見てもわかる状態。 僕は安宅和人さんの『イシューからはじめよ』が凄く好きなのだけれど、結局、何かと戦うとき、もしくは何かに取り組む時、動く時、なんでもいいけど、「何に答えを出すべきなのか?」ということが、一番重要なのだ。僕は職業柄なのか、性格からなのか

『2016年5月6日 日本帰国時の思い』 4年前に書いた文章を初めて読んだら

先日から、自分のこれまでを振り返る作業を始めました。 上に書いた第1話では、20代前半にしたアジアとヨーロッパの旅について書きましたが、もちろん、その2~3ヶ月の短い期間の中には、上の記事には書いていない、本当にたくさんの経験がありました。本当に、たくさん。 そういった旅を終えて半ば放心状態で帰ってきた僕が、自分の部屋でひとり書いた文章を、たまたま古いデータの中から見つけました。あれ以来読むのは初めてでしたが、今よりも文章力や経験がない中で、なかなかエモーショナルな文章を

ノンフィクション『あのサッカー大国は、天国か地獄か』|第1話:はじめてのひとり旅 編

はじめに——日本から、サッカーを学ぶため、そしてその他いくつかの目的を達成するためにアルゼンチンに来てから、丸2年が過ぎました。そんな中で、残り約1年を迎えるにあたり、一度これまでの出来事を振り返る機会が欲しいと思っていました。というのも「まだ1年残っている」と言えばそうですが、すでに来年から日本に帰国した後の動きが決まっていることや、また来年以降のプロジェクトを動かしていることも手伝って、僕の頭は6:4で未来にフォーカスをしているような状態です。 とはいえ、本来であればも

自分のインタビューを自分で解説してみる

先日、戦術的な観点におけるサッカーの捉え方と、それを体系化していくプロセスなどを主に話した、インタビュー記事が公開されました。 そのほかにも、私が「エンターテイメント」にかける想いや、監督としてのキャリア像など、別の視点からもたっぷり話をさせて頂きました。まだの方は、ぜひこの記事を読む前にインタビュー記事(前編・後編)をお読みください。 今回は、このインタビュー記事の補足として、自分のインタビューを自分で解説してみようと思います。観点としては、以下の2つ。 ①:「インテ