翠嶺和真

最近は文章を書いています。ギターとウクレレが大好きで、二胡も弾きます。猫3匹と暮らし、…

翠嶺和真

最近は文章を書いています。ギターとウクレレが大好きで、二胡も弾きます。猫3匹と暮らし、写真撮影や温泉巡りが趣味です。'71 ♂

マガジン

  • 母と私の介護日記

    2018年頃から母の足腰が弱ってきたことに気づき、見守りを始めました。私は別の場所に住んでいましたが、一日一回は母のもとを訪れるようにしていました。そして、2023年8月23日、母が倒れた日から本格的な介護生活が始まりました。日々の介護を通じて感じたこと、家族の絆、そして変わりゆく日常を綴っています。同じように介護をされている方々の励みとなり、共感を呼ぶことができれば幸いです。

  • 朝の心と光の影

    心の内面や日常の美しさを描くエッセイ集です。朝の光に照らされた日々の出来事や感じたことを、温かい視点で綴っています。

  • 瞬間の物語

    「瞬間の物語」は、一瞬で心に残るショートショート集です。短い時間の中に、深い意味や驚きが詰まった物語をお届けします。未来の可能性や人々のささやかな感情、日常の中に潜む不思議な出来事を、瞬時に感じ取れるように紡ぎました。物語の断片が、あなたの想像力を刺激し、新たな視点を提供します。どうぞお楽しみください。

  • 心の旅路エッセイ集: 現実と創作の物語

    このマガジンは、私の人生の断片を綴ったエッセイ集です。実体験に基づくエッセイとフィクションを交え、心の闇や隙間に焦点を当てています。 孤独や絶望、そして時折訪れる小さな喜び。その全てが私の心の旅路の一部です。私が経験した心の闇や隙間を受け入れ、自分自身と向き合うことで見つけた小さな希望の光を、ここに記しています。

  • 静けさの中に

    静かな時間に、心に浮かぶ言葉を綴っています。

記事一覧

介護の始まり - 夏の朝と母の願い

1年前の2023年8月23日、母が急に「バタン」と倒れた。その瞬間、「ああ、ついに来たか」と頭をよぎったのは、ドラマでよく見る「あのシーン」だった。体の内面が悪いんじゃ…

翠嶺和真
8日前
8

朝の心と光の影 - オリジナル小説⑦

新たな日常への適応実家から戻った後、聡はカフェでの日常に再び戻った。しかし、心の中には家族との再会で生じた複雑な感情がまだ渦巻いていた。カフェで彩香と話をする時…

翠嶺和真
8日前
3

未来からの手紙

ある日、主人公の田中のもとに、一通の手紙が届いた。見慣れない封筒に、不思議なほど丁寧な手書きの宛名。差出人の名前はどこにも書かれていなかった。不審に思いながらも…

翠嶺和真
2週間前
11

様々な人生

バイト帰りの高橋は、寒い冬の夜、いつものように深夜の路線バスに乗り込んだ。外では雪が降り続け、冷たい空気が体に染みる。バスの中もそれほど暖かくはなく、高橋は肩を…

翠嶺和真
2週間前
15

不完全な時間の中で、私は自分を見つけていた。だから、これからも自分を信じて歩んでいける

翠嶺和真
2週間前
4

美代の耳に残る昭和の声 - 最後の章④

昭和38年、私は幼馴染の山田浩二と結婚しました。私たちの家族は戦後の混乱を乗り越え、飲食店を営んでいましたが、兄と弟が相次いで命を絶ったことで、世間から「傷のある…

翠嶺和真
2週間前
2

解放のもどかしさ

自由を手に入れるまでの道のりこれまでの人生、私は親の期待や社会のルールに従って生きてきました。幼少期から、親に厳しく育てられ、「他者の期待」に応えることが最優先…

翠嶺和真
2週間前
15

美代の耳に残る昭和の声③

昭和34年。私は20歳を迎えたばかりだった。戦後の復興が進み、街は活気を取り戻しつつあったが、私の心には深い悲しみと不安が渦巻いていた。 あの年、私は一度に二人の兄…

翠嶺和真
3週間前
34

彷徨う夜の光」

夜、なんとなく外に出て、一人で散歩に出た。特に理由はなかった。ただ、じっとしていると頭が重くなるばかりで、少し歩いてみようと思ったんだ。夏の夜の蒸し暑さが、体に…

翠嶺和真
3週間前
14

「朝の心と光の影」 - オリジナル小説⑥

ある決断ダーツナイトやワークショップが続き、聡の心は少しずつ満たされていたが、ふとした瞬間に昔の記憶が蘇ることがあった。彼は忙しさに紛れて、ずっと避けてきた過去…

翠嶺和真
3週間前
15

マルちゃんと私の物語

第1章: 出会いの瞬間 2022年の冬、私が近所のペットショップを訪れたとき、一匹の子猫が私を見つめていました。その子猫はアメリカンショートヘアの女の子で、生後5ヶ月が…

翠嶺和真
3週間前
8

タイムトラベルツアー

未来では、タイムトラベルが実現し、人々は過去や未来を旅行できるようになっていた。主人公の田中は、この新しい旅行体験に心を躍らせていた。 最初に田中が選んだのは、…

翠嶺和真
4週間前
4

耳に残る昭和の声②

家族の成長と困難昭和9年11月、錠一と梅の間に長女の和子が生まれた。和子の誕生は家族に新たな希望をもたらし、錠一と梅は彼女の成長を見守りながら、さらに商売に力を注…

翠嶺和真
4週間前
2

暗闇の中の一筋の光

夜が深まるほど、私は自分の内なる闇と向き合う時間が増える。人生の大半を孤独と絶望の中で過ごしてきたように感じる。 私の父親はアルコール依存症で、酔うたびに暴力を…

翠嶺和真
1か月前
4

プロローグ: 心の闇への旅路

人生って本当に不思議なものですね。喜びと悲しみが交互に訪れてくる、まるで四季のようです。でも、どちらかというと私の人生は、冬が長かった気がします。いや、真っ暗な…

翠嶺和真
1か月前
5

耳に残る昭和の声①

新たな始まり戦後の混乱から立ち上がる佐々木錠一とその家族の物語がここから始まる。昭和20年代初頭、東京の神保町。戦争の傷跡がまだ色濃く残る中、人々は新たな生活を求…

翠嶺和真
1か月前
3

介護の始まり - 夏の朝と母の願い

1年前の2023年8月23日、母が急に「バタン」と倒れた。その瞬間、「ああ、ついに来たか」と頭をよぎったのは、ドラマでよく見る「あのシーン」だった。体の内面が悪いんじゃないかと思って、慌てて救急車を呼んで、新宿の国立国際医療研究センターに急行。どうして近くの病院に行かなかったかって?それは私にもわからない。とにかく、何か大事なことが起きているって気持ちが先走った。 医療センターでの検査は、母の体をまるごとチェックするフルコース。「さて、どうなることやら」と待つ間、妙に落ち着

朝の心と光の影 - オリジナル小説⑦

新たな日常への適応実家から戻った後、聡はカフェでの日常に再び戻った。しかし、心の中には家族との再会で生じた複雑な感情がまだ渦巻いていた。カフェで彩香と話をする時間が、彼にとって唯一の心の拠り所となっていた。 「聡さん、最近少し元気がないように見えますね」と彩香が心配そうに声をかけた。 聡は少し笑ってみせたが、その笑顔はどこか疲れていた。「うん、ちょっと考えることが多くてね。でも、カフェに来ると少し落ち着くんだ。」 彩香は優しくうなずき、「ここが聡さんにとって居心地の良い

未来からの手紙

ある日、主人公の田中のもとに、一通の手紙が届いた。見慣れない封筒に、不思議なほど丁寧な手書きの宛名。差出人の名前はどこにも書かれていなかった。不審に思いながらも田中は封を切り、手紙を広げると、その内容に驚愕する。 「これは未来のあなたからの手紙です。」 手紙には、田中がこれからの人生で直面するであろう出来事や選択について書かれていた。例えば、近々訪れるビジネスのチャンス、友人との人間関係の変化、家族との間に生じる問題。そのアドバイスは具体的で、まるで自分をよく知っている誰

様々な人生

バイト帰りの高橋は、寒い冬の夜、いつものように深夜の路線バスに乗り込んだ。外では雪が降り続け、冷たい空気が体に染みる。バスの中もそれほど暖かくはなく、高橋は肩をすくめてシートに腰を下ろした。 長い一日が終わり、体中に疲れが溜まっている。バスの揺れが心地よく、高橋は思わず目を閉じ、うとうととし始めた。寒さを感じつつも、意識は次第に遠のいていく。 そんな中、バスが停留所に停まり、誰かが乗り込んでくる気配を感じた。高橋は目を覚まそうとするが、疲労感がそれを阻む。しばらくして、隣

不完全な時間の中で、私は自分を見つけていた。だから、これからも自分を信じて歩んでいける

美代の耳に残る昭和の声 - 最後の章④

昭和38年、私は幼馴染の山田浩二と結婚しました。私たちの家族は戦後の混乱を乗り越え、飲食店を営んでいましたが、兄と弟が相次いで命を絶ったことで、世間から「傷のある家」と見られていました。それでも浩二の家族は、私との結婚を許してくれました。このことには本当に感謝しています。 結婚後、私たちは祖父が営む飲食店の二階で新生活を始めましたが、そこに住んでいたのはわずか1年ほどでした。お店での生活は特別でした。職人さんが作る料理を食べるという贅沢なものでしたが、同時に家庭の温かさを感

解放のもどかしさ

自由を手に入れるまでの道のりこれまでの人生、私は親の期待や社会のルールに従って生きてきました。幼少期から、親に厳しく育てられ、「他者の期待」に応えることが最優先でした。進学、就職、結婚、そして親の介護…私の人生は常に親の影響を強く受けていました。 特に親の介護に携わるようになった頃、自分の時間や自由はほとんど失われ、日々のストレスや疲れが蓄積していく一方でした。しかし、親が施設に入ったことで、ようやく自分の時間が持てるようになりました。 自由を得られると期待していたのです

美代の耳に残る昭和の声③

昭和34年。私は20歳を迎えたばかりだった。戦後の復興が進み、街は活気を取り戻しつつあったが、私の心には深い悲しみと不安が渦巻いていた。 あの年、私は一度に二人の兄弟を失った。兄の修一が自ら命を絶ったという知らせが届いたとき、全てが一瞬で凍りついたように感じた。家族の中でいつも明るく振る舞っていた兄が、そんな選択をするなんて、誰も想像していなかった。父は商売に没頭し、母は家庭を支えるために懸命だった。そんな中で、修一は一人で悩みを抱え、どこにも逃げ場がなかったのだろうか。

彷徨う夜の光」

夜、なんとなく外に出て、一人で散歩に出た。特に理由はなかった。ただ、じっとしていると頭が重くなるばかりで、少し歩いてみようと思ったんだ。夏の夜の蒸し暑さが、体にまとわりつくようで、気持ちもさらに沈んでいく。 歩きながら、心の中に染みついたモヤモヤした思いが、頭の中でぐるぐると渦巻いていた。これまでの人生を振り返ってみると、職を転々としては、いつも同じようなところでつまずいてきた気がする。うまくいかなかったことばかりが頭をよぎる。あの時、もっと我慢できていたらとか、別の道を選

「朝の心と光の影」 - オリジナル小説⑥

ある決断ダーツナイトやワークショップが続き、聡の心は少しずつ満たされていたが、ふとした瞬間に昔の記憶が蘇ることがあった。彼は忙しさに紛れて、ずっと避けてきた過去の問題に向き合うことを決意する。 ある日、聡はカフェで彩香に話しかけた。「彩香さん、少し相談したいことがあるんですが…」 彩香は驚いた表情を浮かべ、「もちろん、何でも話してください」と言った。 「最近、実家から連絡があって、久しぶりに帰ろうかと考えているんです。でも、昔のことを思い出すと少し怖くて…」聡は言葉を選

マルちゃんと私の物語

第1章: 出会いの瞬間 2022年の冬、私が近所のペットショップを訪れたとき、一匹の子猫が私を見つめていました。その子猫はアメリカンショートヘアの女の子で、生後5ヶ月が過ぎていました。ペットショップの小さな窓越しにその子と目が合った瞬間、何か運命的なものを感じました。母に相談し、一日考えた末、再びそのペットショップを訪れ、彼女を家に迎えることに決めました。彼女の名前は「マルちゃん」、その名の通り、丸くて愛らしい顔をしていました。 第2章: 新しい家族 マルちゃんが我が家

タイムトラベルツアー

未来では、タイムトラベルが実現し、人々は過去や未来を旅行できるようになっていた。主人公の田中は、この新しい旅行体験に心を躍らせていた。 最初に田中が選んだのは、古代エジプトのピラミッド建設現場だった。彼は、巨大な石を運ぶ労働者たちや精巧な建築技術に圧倒され、その壮大な光景に感動した。 次に田中は、未来の東京を訪れた。空を飛ぶ車が行き交い、都市全体がデジタルと自然の融合によって再設計されていた。交通手段も一新され、空中を移動する車や地下を走る超高速鉄道が人々の生活を劇的に変

耳に残る昭和の声②

家族の成長と困難昭和9年11月、錠一と梅の間に長女の和子が生まれた。和子の誕生は家族に新たな希望をもたらし、錠一と梅は彼女の成長を見守りながら、さらに商売に力を注いでいった。和子は幼少期から両親の働く姿を見て育ち、家族の大切さを学んだ。 昭和10年にはさらに家族は賑やかになり、錠一と梅の間に長男の修一が誕生した。錠一は修一に対して大きな期待を寄せ、将来の商売の継承者として育てる決意を固める。しかし、錠一は仕事一筋で家庭をあまり顧みることがなく、修一に対しては厳しく接すること

暗闇の中の一筋の光

夜が深まるほど、私は自分の内なる闇と向き合う時間が増える。人生の大半を孤独と絶望の中で過ごしてきたように感じる。 私の父親はアルコール依存症で、酔うたびに暴力を振るった。母親は束縛が強く、私の自由なんて夢のまた夢だった。姉とはほとんど交流がなく、心の支えになる存在なんて誰もいなかった。 子供の頃、絵を描くことや音楽を聴くことが好きだったが、父の怒号と母の束縛がその喜びを奪い去った。家族の期待に応えるために夢を諦めざるを得なかった。 大人になってからも、私は会社員として働

プロローグ: 心の闇への旅路

人生って本当に不思議なものですね。喜びと悲しみが交互に訪れてくる、まるで四季のようです。でも、どちらかというと私の人生は、冬が長かった気がします。いや、真っ暗な夜が続いたと言ったほうが正しいでしょうか。 そんな真っ暗な人生の中で、私が見つけた小さな光を、ここに綴ってみようと思います。光と言っても蛍みたいなもので、あっという間に消えてしまうようなものです。でも、その一瞬の光があったからこそ、私は何とか生き延びてこれたのだと思います。 このエッセイ集「心の旅路エッセイ集」は、

耳に残る昭和の声①

新たな始まり戦後の混乱から立ち上がる佐々木錠一とその家族の物語がここから始まる。昭和20年代初頭、東京の神保町。戦争の傷跡がまだ色濃く残る中、人々は新たな生活を求めて奮闘していた。 佐々木錠一は、浅草龍泉寺町で生まれ育った。大正5年、8歳の時に母親を亡くし、父と妹と共に困難な日々を送ることになる。大正8年、11歳の錠一は、お茶の水の布団屋に働きに出される。休みは盆と正月のみで、楽しみは映画鑑賞。風呂屋に貼ってある映画ポスターの余りをもらい、自転車で川越まで布団を売り歩く。そ