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【まとめてみた】 小さなチーム、大きな仕事

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この本が日本で出版されたのは2012年のこと、原著であるReworkが出版されたのは2010年、今から10年前のことです。


出版したのは37シグナルズ(現Basecamp)というアメリカのソフトウェア会社の社長ジェイソン・フリードで、同社の代表的な製品には日本でも有名なRuby on RailsというWebアプリケーションフレームワークや、現社名と同じBasecampという社内コミュニケーションツールがあります。

アメリカでも飛ぶように売れたこの本は、日本でも当時大きな話題となりました。メンタリストのDaigoさんもこの本を紹介してますね。

Basecampは1999年に創業され、この本が出版された2010年は社員数16人、2020年現在57人の未上場企業です。

ベストセラーになった本を出版した社長の会社だから、大企業かシリコンバレーのスタートアップで華々しくイグジットした会社だろうとか、思ってしまいそうですが、この会社は2010年当時からITスタートアップ企業と一線を画していて、タイトルの通り「小さなチーム」を維持してプロダクト開発を行っています。

ではなぜこの本がこんなに売れたのでしょうか?

彼らには多くの「観客」がいる

観客??スタジアムとか劇場でもないのに??

実はBasecampは創業当時からSignal v. Noiseというブログを運営しており、2010年時点で毎日10万人以上の読者がついていたそうです。彼らはその読者を「観客」と呼びます。

どの会社も「顧客」を持っている。中には「熱狂的なファン」のいる幸運な会社もある。だが、一番幸運な会社には「観客」がいるのだ。僕らの観客は、毎日僕たちの言いたいことを見に戻ってくる。もし彼らが僕たちのメッセージに共感してくれるのであれば、きっと僕たちが売る物にも共感を示してくれるはずだ。

Basecampは創業から20年以上ブログを更新し続けています。ブログではデザイン、ビジネス、ソフトウェアや心理学など幅広いテーマについて書いています。そこに集まる彼らの「観客」こそが彼らが作ってきた財産なのでしょう。

時代の遥か先をいく社風

彼らの会社の「観客」は一体何に魅了されているのでしょうか?実は、この会社には多くのユニークな特徴があります。

・全員がフルリモートワーク
・メンバーが世界中にいる
・週休3日制
・社員にクレジットカードを渡して、経費申請の手間を削減??

これだけでもかなり個性的ですが、これを2010年からやっていたということがさらに驚きです。今でこそリモートワークが一般化しましたが、2010年なんて、やっとiPhone4が発売された頃です。

僕なんてまだガラケーでmixi使ってましたねw

なぜ彼らはこんな制度を取り入れた会社にしたのでしょうか?

人を子供扱いすれば、子供のような仕事しかしない。何にでも許可を必要とする環境は「何も自分で考えない文化」をつくる。そこに信頼関係などない。

許可や管理を徹底的に否定し、それを撤廃することで、信頼と自律と責任が生まれるという価値観は本当に素晴らしいですね。


徹底的に合理的な哲学

さらに、この本にはこの会社の哲学がたくさん書かれていますが、これがまた斬新です。

・「失敗から学ぶこと」は過大評価されている
・会社の規模なんて気にしない
・ワーカホリックはバカげている
・「起業家」という言葉は時代遅れ
・競合にはけんかを売ろう
・プレスリリースはスパム
・履歴書はジョーク

かなりキレキレですね。

彼らは無謀なリスクを取ることや困難をハードワークによって乗り越えることを徹底的に否定しています。小さな会社が大きな会社に勝つためには、1日16時間働かないといけないとか、大型の資金調達が必要という考えを真っ向から否定します。

自分たちが提供したい価値とその顧客と向き合うことのみに集中する姿勢はとても魅力的です。

今の時代だからこそ読んで欲しい本

僕がこの本を読んだのは4年ほど前、スタートアップ企業のCTOになった時でした。その会社もBasecampと同じように、全世界にメンバーがいて、全員リモートワーク でした。社内のコミュニケーションツールもBasecampを使っていました。

リモートでチームのマネジメントをしていく上でこの本と「強いチームはオフィスを捨てる」という同社の本はとても参考になりました。


根性論に逃げないこと

メンバーを信頼することで、オーナーシップが生まれること

わかっているけれども、実行に移し継続することはとても難しいことです。こんな会社が続くわけがないとずーっと言われ続けている会社ですが、Ruby on RailsはいまだにいろんなWebアプリケーションで使われてますよね?

Basecampのユーザーは2020年現在、全世界で330万社。。。

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彼らは50人程度のメンバーでフルリモートでの業務を今も維持しながら、これらのプロダクトを開発しています。

この結果をみて、この本に書かれていることが夢物語とは誰も言えないでしょう。

とても読みやすく、このコロナの時代にとても重要となる考え方が書かれた本です。


ぜひ一読してみてください!


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