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僕たちの好きな野田秀樹

「劇場の閉鎖は演劇の死を意味する」
野田秀樹が声明を発表した。

公演中止で本当に良いのか。
政府の自粛要請に対する意見表明。

さすがだ。それでこそ、
僕たちの好きな野田秀樹だ。

震災の時も、自粛による中止が
相次ぐ中でいち早く公演を再開した。

「劇場の灯を消してはいけない」
地震からわずか4日後だった。

野田秀樹は、日本演劇界のトップと
言って間違いないと思う。

でも、そんな彼の舞台の映像で
観れるものはあまり残っていない。

WOWOWが独占的に放送するだけで
基本的にDVD化しないから。

本当に劇場でしか観れないのだ。

学生時代、NODA・MAPの前身である
「夢の遊眠社」のビデオを借りて観た
あの夜の衝撃を今でも覚えている。

圧倒的な運動量とスピード感。
時空間を言葉遊びで飛躍する劇構造。
その駆け抜けた先にある叙情的な高揚。

今もなお、演劇の最高到達点にあると思う。

当時は、生で見れる時代に
自分がいなかったことが悔しかったけど。

今は、生で見れなくなる時代に
自分がいることが悔しい。

閉鎖的な空間がまずいならもういっそ
国立競技場を劇場にしたらいいんだ。

換気めっちゃできそうじゃん。

そして今こそ、幻の東京五輪を題材にした
『エッグ』を再演してほしい。

作詞・野田秀樹、作曲・椎名林檎の
劇中歌を歌う深津絵里。

それはもう、本当に最高だったから。

現実のオリンピックもそれを開会式として、
そのまま閉会すればいい。

虚構を現実にすればいいんだ。
演劇が死ぬ世界が来るくらいなら。

それはもう、本当に最低なんだから。

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