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【常識を覆す、味噌の効果】味噌汁で血圧が上がらないは本当か

今回は、味噌汁を飲んでも血圧は上がらないかを検証したいと思います。

テレビなどでも特集されたことがあり、知っている方もいるかもしれません。

2018年に広島大学の渡邊教授が衝撃的な研究を発表しました。

なんとこの研究によれば、味噌を食べても血圧が上がらないというのです。

一般的に塩分は高血圧の原因となります。そのため、高血圧の方は減塩が推奨されています。

高血圧の人が1日にとっていい塩分量は、1日 6g 未満です。(1)

健康的な人であっても塩分の摂りすぎは禁物。

男性は1日 7.5g未満、女性は1日 6.5g 未満と定められています。(2)

そして、味噌にも塩分が含まれています。

本来であれば、減塩のために控えるのが正しいはず。

もし、この研究が真実だとすれば、味付けもしっかりした美味しい減塩対策ができるようになります。

減塩食は人によって味が薄いと感じてしまう場合もあるからです。

血圧に悩む方、必見の記事となっております。

今回の記事では、次の3点を解説しています。

①味噌で血圧が上がらないは本当か?
2018年に行われた広島大学の研究をベースに解説します。
②なぜ上がらないのか?
なぜ血圧が上がらないのかを解説します。
③高血圧を予防するには?
高血圧を予防するための食事方法について解説します。


味噌で血圧が上がらないは本当か?

2018年に行われた広島大学の研究をベースに解説します。(3) マウスを使った実験です。

36匹のマウスを次の3つのグループに振り分けました。

①低塩分食グリープ
食事の塩分を控えたグループ。塩分の量は全体の 0.3%
②味噌グループ
味噌を多めに摂ってもらったグループ。塩分の量は 2.8% 。
③高塩分食グループ
食事に塩分を多く入れたグループ。塩分の量は、味噌グループと同じ 2.8% 。

その結果がこちらです。

研究の結果
・高塩分食グループと味噌グループでは、味噌グループの方が血圧が低かった
・低塩分食グループと味噌グループでは、差がなかった
・高塩分食グループに比べて、低塩分食グループと味噌グループの生存率は高かった。
・高食塩グループでは、脳内出血が12匹中6匹で確認された。
・低食塩グループと味噌グループでは、脳内出血が確認されなかった。

研究結果をまとめると、このようになります。

結果の概要
血圧について
味噌グループでは、血圧が上がらない。
脳出血について
味噌は脳卒中を予防することができる。

でも、マウスと人間では違うのではないかと思いますよね?

研究の数は少ないですが、人間での研究も実施されています。(4)

4165人を対象に大豆製品と血圧の関係について研究しました。

味噌や納豆、豆腐などの大豆製品を食べる量や頻度は、高血圧と関連しているかを調査したのです。

研究の結果
発酵大豆製品(味噌、納豆)の摂取量や頻度は、高血圧の発症リスクを下げる。
発酵されていない大豆製品(豆腐)は、高血圧の発症リスクに影響を与えない。

ヒトであっても味噌を食べることは、高血圧の予防になるといえます。

では、なぜ発酵の有無で結果が変わったのでしょうか?

なぜ高血圧を予防するのか?

大豆には、イソフラボンというポリフェノールが含まれています。

イソフラボンとは
イソフラボンは、大豆に含まれるファイトケミカルの一つ。ファイトケミカルについて詳しく知りたい方はこちらをクリック!

イソフラボンが血圧を下げるという研究があります。(5) イソフラボンを1日 65〜 153 mg 摂取してもらいました。

研究の結果
イソフラボンは、高血圧患者の血圧を下げる。
高血圧患者では収縮期血圧を約 6 ポイント拡張期血圧を約 3.4 ポイント低下させた。
正常血圧の人の血圧には影響を与えなかった。

収縮期血圧と拡張期血圧とは
血圧とは、血管にかかる血液の圧力です。心臓はポンプのように収縮拡張を繰り返しています。心臓が収縮したときにかかる血管への圧力が収取期血圧、拡張したときにかかる血管への圧力が拡張期血圧です。

しかし、イソフラボンのおかげで高血圧を予防できたといわけではありません。

なぜなら、味噌よりもイソフラボンが入っている大豆製品があるからです。

厚生労働省が発表しているイソフラボンの量です。(6)

味噌よりもイソフラボンが入っている食品はあります。

では、イソフラボンでなければ、何が血圧を下げているのでしょうか。

それは、大豆が発酵することで血圧を下げる成分が増えるためです。

渡邊教授によると、大豆を発酵することで血圧を下げる物質や糖尿病を予防する物質など、およそ25種類の物質が増えることが確認されています。

発酵により血圧が下げる物質が増えたことで、塩分による血圧増加効果を血圧低下効果が上回った可能性があります。

その結果、味噌に塩分が入っていようとも血圧は上がらず、むしろ高血圧や脳卒中を予防するのです。

発酵によりどんな成分が増えるのかは、まだ研究中のため正確には発表されていません。

今後の研究結果に期待です。

また大豆にはカリウムが豊富に入っているため、高血圧を予防しているとも考えられます。

カリウムとは
カリウムは塩分に対抗して血圧を下げる効果があるミネラルです。最も血圧を下げる栄養素の一つなので、詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。


高血圧を予防するためには?

高血圧を予防するためにはどんな食生活をすれば良いのか?

そのためには、味噌を上手く使っていきましょう。

血圧を下げて高血圧を予防するためには、味噌を上手に使うようにしましょう。

味噌の使い方
塩の代わりに味噌を使う。
・スープは味噌汁を飲むようにする。
タレの代わりに味噌を使う。

まとめ

以上、味噌汁が血圧を上げないは本当かについてでした。

まとめ
・味噌は高血圧を予防、さらには脳卒中を予防する。
・大豆には含まれるイソフラボンにも血圧を下げる効果はあるが、味噌の血圧低下効果はイソフラボンだけではない。
・大豆を発酵することで、血圧を下げる物質が増加する。
・味噌を塩やタレの代わりに使うことで美味しく減塩対策をすることができる。

それでは、また次回の記事もよろしくお願いします。



参考文献

(1) 高血圧診療ガイドライン 日本高血圧学会

https://academic.oup.com/ajh/article/31/1/43/4056350

(2) 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」策定検討会 「日本人の食事摂取基準(2020年版) 『日本人の食事摂取基準』策定検討会報告書」

https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdf

(3) Hiromitsu Watanabe, Megumi Sasatani, Toshiki Doi, Takao Masaki, Kenichi Satoh, Masao Yoshizumi, Protective Effects of Japanese Soybean Paste (Miso) on Stroke in Stroke-Prone Spontaneously Hypertensive Rats (SHRSP), American Journal of Hypertension, Volume 31, Issue 1, January 2018, Pages 43–47, https://doi.org/10.1093/ajh/hpx129

https://academic.oup.com/ajh/article/31/1/43/4056350

(4) Nozue M, Shimazu T, Sasazuki S, Charvat H, Mori N, Mutoh M, Sawada N, Iwasaki M, Yamaji T, Inoue M, Kokubo Y, Yamagishi K, Iso H, Tsugane S. Fermented Soy Product Intake Is Inversely Associated with the Development of High Blood Pressure: The Japan Public Health Center-Based Prospective Study. J Nutr. 2017 Sep;147(9):1749-1756. doi: 10.3945/jn.117.250282. Epub 2017 Jul 19. PMID: 28724661.

https://academic.oup.com/jn/article/147/9/1749/4743538

(5)Liu XX, Li SH, Chen JZ, Sun K, Wang XJ, Wang XG, Hui RT. Effect of soy isoflavones on blood pressure: a meta-analysis of randomized controlled trials. Nutr Metab Cardiovasc Dis. 2012 Jun;22(6):463-70. doi: 10.1016/j.numecd.2010.09.006. Epub 2011 Feb 9. PMID: 21310599.

https://www.nmcd-journal.com/article/S0939-4753(10)00218-8/fulltext

(6) 大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A 厚生労働省

https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/h0202-1a.html


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