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スコアを5打縮める為のフットゴルフマネジメント~W杯での上位進出の鍵!?目の錯覚を考える~

~前回の記事はこちら~


~良いコースほど、目の錯覚が多い~

皆さんはゴルフ場をラウンドするとき、どんなことを考えてラウンドしていますか?さすがに何も考えずにラウンドしている人はいないと思いますが、目の錯覚まで想定してラウンドしている方はほとんどいないのではないでしょうか。むしろ、ゴルフ場では、目の錯覚が往々にして起きているということ自体を、ご存じない方のほうが多いかもしれません。

以前の記事でも書きましたが、ゴルフ場は、コース設計者によってありとあらゆる罠が仕掛けられています。特に、日本のゴルフ場100選に選ばれるような名コースほど、目の錯覚が巧みに仕掛けられているホールが多く、その巧妙さは、騙されている側のゴルファーでさえ関心してしまう程です。プレイヤーからすれば、一目でわかってしまう罠よりも、難しく一見気づかない罠にこそ魅力を感じるものであり、だからこそ設計者は、様々な手法を使ってコースを設計していくのです。こうして、攻略しがいのあるコース=人気コースという図式が出来上がっていきました。

フットゴルフにおいても、ゴルフと同様に目の錯覚は起こり得ます。言わずもがな、フットゴルフも、目の錯覚を利用して設計されたゴルフ場でプレーするからです。個人的には、ゴルフボールよりも傾斜で止まりにくいサッカーボールを使っているフットゴルフのほうが、目の錯覚に注意してプレーすべき競技だと感じています。目の錯覚だと気づかずに蹴って傾斜を読み間違えれば、大トラブルになる可能性がありますし、トラブルの後のリカバリーも難しくなります。だからと言って目の錯覚を気にしすぎる必要はありませんが、知らないよりは知っていたほうが、万が一のときに有利なのは間違いありません。

そこで今日は、この”目の錯覚”についてまとめてみたいと思います。


~ラウンドする上で知っておいたほうが良い錯視効果~

それでは早速ですが、以下の図をご覧ください。左のオレンジ色の円と右のオレンジ色の円では、どちらが大きいでしょうか。

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実はこれは両方とも同じ大きさなのです。これは、エビングハウスの錯視と言われ、周りにあるものによって大きさが異なって見える現象をわかりやすく表した錯視図として有名です。ゴルフ場においては、グリーンのようなターゲットに対して、バンカーやウォーターハザードなどを使ってその大きさを錯視させる方法が使われています。

次に、以下の図をご覧ください。左右の絵を見比べ、以下の問いに答えてみてください。このとき、黄緑色はグリーン、緑色はグリーンのカラーだと思ってください。

①上の二つの黄緑色の円(グリーン)はどちらが大きいでしょうか。
②下の二つの円のうち、左の緑色の円(カラーまで含んだ大きさ)と右の黄緑色の円(グリーンのみの大きさ)ではどちらが大きいでしょうか。

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正解は、①と②共に、「大きさは一緒」です。これも、エビングハウスの錯視と同様に非常に有名な目の錯覚で、デルブーフ錯視と呼ばれています。デルブーフ錯視は、円の外側に新たな円を描くと内側の円が小さく見える現象のことを指します。反対に、円の内側に新たな円を描くと、外側の円が小さく見えるのですが、これもデルブーフ錯視の一種です。

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デルブール錯視は、カラーのあるグリーンとそうでないグリーンでの大きさを惑わすだけでなく、池やバンカーでも目の錯覚を起こす可能性があるので注意してください。


~コース全体の傾斜も、目の錯覚を引き起こす~

では次に、コースの傾斜に影響された目の錯覚について考えていきましょう。下の図をご覧ください。

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一般的に、大きくて長い下り傾斜のホールにおいては、グリーンは実際よりも下がってみえます。これは、頭の中で脳が勝手に、”これぐらいが平らだろう”と見た目の傾斜を変換してしまう為に起こります。なぜ変換してしまうのかと言うと、自分がピンやグリーンを見下ろしている格好になっている為、旗やグリーンが実際の距離よりも近くに見えてしまい、無意識に補正してしまうからです。このとき、平らな位置がどこかをしっかりと認識できていれば間違った変換をすることはないのですが、ゴルフ場では、平らな場所がほとんどなく、ラウンドしている間に平衡感覚が麻痺してくる為、そもそもどこが平らなのかがわからずに意識のズレが生じ、間違った補正が起きてしまうのです。

ちなみに、大きな下り傾斜を下りきって平らなところに移動した直後は、今度はグリーンやピンが近くに見えてしまいます。これは、下って見えたものが実は平らだった為に、ピンフラッグやグリーンが思っていたところよりも近くに感じることで起こります。

どちらの場合も、目の錯覚が起こると知っていれば防げるものですので、次回のラウンドからは気を付けて見てみてください。

なお、迷ったときに平行感覚を取り戻す術として、ウォーターハザードの水面を見ることをお薦めしています。池の水は、どこにあろうが必ず水平を保つ為、水面を基準に考えると、見た目の傾斜がどうなっているのかが良くわかります。


~ワールドカップでの上位進出のカギは、目の錯覚に惑わされないこと~

今年のワールドカップ日本大会は、栃木県さくら市にあるセブンハンドレッドクラブで行われます。


セブンハンドレッドクラブは、男子ゴルフのトーナメントが開催されるような距離のある”チャンピオンコース”ではなく、距離を比較的短めに設定した林間コースなのですが、一般的に、距離を短めに設定しているということは、代わりにアップダウンを数多く配し、アンジュレーションを豊かにすることで難易度を高めていることを意味しています。

実はこのコース、コース自体が標高200m程の小さな山の上に作られている為、OUTコースではNo.3やNo.4あたりを頂点に、INコースではクラブハウスを頂点に、長く緩やかな傾斜が各所に施されたコースセッティングになっていて、今回説明した目の錯覚が起こりやすいゴルフ場だと言えるのです。

実際のワールドカップ本大会のコースセッティングはまだオープンになっていませんが、先日発表された大会ホームページには、

Aコース(OUT 1,618 yards, IN 1,640 yards, Total 3,258 yards, par72)
Bコース(OUT 1,460 yards, IN 1,635 yards, Total 3,095 yards, par72)

と書かれてありました。

通常、フットゴルフの18ホールは3,000ヤード前後ですが、これはゴルフの9ホールと大体同じ距離になる為、”ワールドカップのコースセッティングは、アップダウンを含んだゴルフの18ホールをフルに使ってフットゴルフ36ホールがレイアウトされる”とみて間違いありません。コース内をフルに使うということは、フェアウェイの平らなところのみを使って余裕のあるレイアウトで構成されるということは考えにくく、それだけ目の錯覚が起こりやすい傾斜やグリーンを使用するということになります。つまり、FIFGフットゴルフワールドカップ2020日本大会は、目の錯覚を制した選手が大会を制すと言っても過言ではないのかもしれないのです。

実際のレイアウトは、セッティングされたコースを見てみないとわかりませんが、日本人選手は海外選手に比べれば練習ラウンドも容易ですので、今後セブンハンドレッドクラブをラウンドする際は目の錯覚を意識しながらプレーし、本番に備えるのが良いのではないでしょうか。



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