シェア
kazuaki maruyama
2021年3月28日 09:27
私がアルバイトしている職場では、店長を除けば、自分が最も長くこの店で働いている職員になってしまった。給料は一番安いが、態度が一番でかいのは、恐らく私だろう。最もそんなことなんの自慢にもならないのだが。春は出会いと別れの季節と言われる。この季節は、華々しい袴姿と着なれぬ背広姿の大学生達を見かけることも多い。私は彼らに対して、心の中で勝手に「おめでとう」と呟くと共に、これから必ずや彼ら
2021年3月26日 17:49
男はダブルベッドで一人目を覚ました。白い壁に、灰色の寝具。それらは全て彼の妻が選んだものだ。深緑色のカーテンを開けると、くすんだ雲が空を覆っており、雨が降っていた。壁から外の冷気が伝わってくる。男は再び目を瞑った。こうして一人で生きることにも男は慣れてきた。自分の感情をじっと静かに保つことが肝心だ。何かに対して喜びを抱いたとしても、その後には必ず落胆がやって来ることを男は