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子どもを1人の人間として「リスペクト」する社会

前回、国家の理念を「子どもを守る社会」に変えようという内容で書いていますので、まだの方はぜひご覧ください。

この内容を踏まえて、今回はもう1つ大事なことを書きたいと思います。

実は「子どもを守る社会」にするには、「子どもを1人の人間としてリスペクトする社会」でなければならないと私は考えています。

1.相手の領域を認め、尊重する

いきなりですが、みなさんは「リスペクト」と聞くとどんなイメージが浮かびますか?

■リスペクト
【カタカナ英語】尊敬・尊敬する

■respect
【動詞】①尊敬する ②尊重する 
【名詞】①尊敬 ②尊重 ③配慮 など

「リスペクト=尊敬(する)」というイメージをもっている方が多いのでは?と推測しますが、実はリスペクトにはもう1つ意味があって、というよりこちらの意味のほうが英語では一般的だと思います。

the belief that something or someone is important and should not be harmed, treated rudely etc
(ロングマン現代英英辞典より)

「'何かや誰か'というのは大切であり、傷つけられたり無礼に扱われたりなどされないほうがいい」という信念。。。

つまり、どのような対象であろうと「大切」であり、その「価値」や「領域」を認め「尊重」する

というのがリスペクトの本来の意味です。

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2.親が子を「リスペクト」する

親が子を「リスペクト」する。

親が子の「価値」や「領域」を認め、尊重する

子どもの領域を認め、尊重しているわけですから、その部分を傷つけたり侵害したりしないように配慮しながら接することが大切です。

「子どものくせに生意気な!」
「親に向かってその言い草は何だ!」
「子どもはだまってなさい!」

という考え方の親だとしたら、

「子どもをリスペクトしろだなんて、とんでもない!」
「親は子どもに対してしつけをしなければいけないんだから、リスペクトとか何だか知らないが、子どものわがままを何でも受け入れたり、好きにさせたりなんてできるわけがない!」

と勘違いされるかもしれません。

これって、実は多くの親や大人たちが

親は子の上位
子は親の支配下

といった、ヒエラルキー的感覚に支配されているからで、子どもを守る社会へと変革する際の大きな壁となって立ちはだかっています。

この壁を打ち破るためには、

人はそれぞれ違う考えを持っているのがあたりまえ
お互いがお互いの考えをリスペクトし合う」のが基本
だから親の考えと子どもの考えが違っていてもあたりまえ
親は子どもの考えが違っていてもリスペクトする
子どもは親の意見や決定をリスペクトする

といった、「リスペクト」の本来の意味がもっと浸透することが必要だと思います。

なので、「親の言うことは絶対だ」とか、「子どもの好き放題にさせる」といったことはあり得ないのです。同時に事実として、親は子どもより長く生きているわけですから、その経験や知恵を子どもに「押し付けることなく」伝えたりするのは当然のことですし、子どもは自分の安全や成長について責任をもって果たしてくれているという「親の存在の価値と重さ」を理解しなければならないのも当然のことです。

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3.お互い「リスペクト」していると「心地よく」なる

息子:
「お母さん、今日また○○君にバカにされた。もう学校に行きたくない(泣)」
母親:
「男の子のクセにメソメソして情けないわね。そんな弱虫でどうするの?もっとしっかりしなさい!」

という親子のやり取りも、お互いリスペクトしていると、

息子:
「お母さん、今日また○○君にバカにされた。もう学校に行きたくない(泣)」
母親:
「どうしたの?何かあったの?」
息子:
「跳び箱の授業で、6段の跳び箱が、跳べなかったら、こんな簡単なの跳べないのかって笑われたんだよ。思い切って助走して跳ぼうとしたんだけど、いざ近くまで来るとすごく怖くって。。。」
母親:
「そうかあ、大変だったね。でも、思い切って助走して跳ぼうとしたんだから、頑張ったよね。」
息子:
「でも、跳べなかったんだよ。○○君なんかバカにしてくるんだよ。」
母親:
「5段なら跳べるの?」
息子:
「5段なら跳べるよ。」
母親:
「すごいじゃない。5段が跳べるんだから、もっと時間がたてばきっと跳べるようになるよ。」
息子:
「時間って?」
母親:
「そうねえ、高校生になったらかなあ。」
息子:
「それじゃ遅いよ。だいぶ先だよ。」
母親:
「そうね、だいぶ先よね。でも、お母さんは跳び箱を6段跳ぶことよりも、跳ぼうとして一生懸命努力することが大切だと思うの。たとえ結果が出なくても頑張っている姿はすごくかっこいいんだよ。」
息子:
「そうなの?かっこいいの?」
母親:
「うん、かっこいいよ。」

あるいは、父と娘のこんな会話。

父親:(スマホを見ている中学生の娘に)
「お、彼氏からの熱いメッセージか?」
娘:(面倒くさそうに)
「はぁ? マジうざいし。てか勝手に人のスマホ覗かないでくれる?」

という親子のやり取りも、お互いリスペクトしていると、

父親:(スマホを見ている中学生の娘に)
「お、なんか楽しそうだね? いいことあったの?」
娘:
「あれ?わかる? そう、いいことあったんだよ。」
父親:
「それはよかったね! で、どんなこと?」
娘:
「ひみつ~!」
父親:
「当てよっか? もしかして。。。」
娘:
「ひみつって言ってるでしょ?」
父親:
「ごめんごめん。まぁ、こう見えても男の気持ちはわかるから、なんかあったらいつでも聞いてよ。」
娘:
「彼氏じゃないし。。。でも、もし、なんかあったら、相談するかも。」

親は子に対して、自分の考えや価値観を決して押し付けない
子を「1人の人間として」その「価値」や「領域」を認め、「尊重」する
だからこそ子は親を素直に受け入れるようになる
そして親の意見や決定を「尊重」する

もちろん、「尊重」はしても、結果的に子どもの決断は親の考えと違うものになるかもしれません。それはそれで新たに「尊重」し、受け入れるもよし、再度話し合うもよし。

そしてこの親子間の関係性は、家庭の外、つまり友人関係や職場での対人関係などにいい方向で影響するはずです。お互いに「リスペクト」しあう関係に。結果、社会全体が、お互いに「リスペクト」するのが当たり前の社会へと。

そうなれば、きっと前回述べた
子どもを守る
を国家理念にする社会が実現するはずだと信じています。

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4.結果、自己肯定感が高まる

さらにもう1つ。

お互いに「リスペクト」できれば、自尊心・自己肯定感が高まります。

相手のことが「リスペクト」できれば、自分のことも「リスペクト」できるので、結果として自己肯定感が高まります

子どもを「リスペクト」するということは、子どもの存在そのものを肯定することになります。そうすると子どもの「現在」を見ながら、子どもの話を素直に「聴く」ことができ、そしてそれに対して「評価」を下すことなく、子どもの気持ちを受け止めて「共感」することができます。そうすると子どもの成長を信じて「待つ」こともできるようになります。あるいは子どもが問題を起こしたとしても「ほめてから注意する」ことができるようになります。

そして子どもの自己肯定感も高まり、自分を大事にでき、相手に対する思いやりも育ち、他人に振り回されることなく自分はこうしたいと主張もでき、他人にポジティブな影響を与え、生きる力が身につくのです。

「子どもを守る社会」という国家理念のもと、「子どもを1人の人間としてリスペクトする社会」が実現すると、こんな素敵な親子関係がベースになるのですから、社会全体がよい方向に向かい、「生きづらさ」に悩む人はきっと少なくなるはずです。




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