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多数派と違う個性を排除しない社会  ~いじめをなくそう(2)~

多数派と違う個性をもっていると、それが集団の多数派にとって受け入れられないものである場合に、最悪のケースでは「いじめ」に発展することがよくあります。どうして、こういうことが起こってしまうのでしょうか?

1.排除の根底には自尊心・自己肯定感の低さがある

教育の段階で「個の主張を抑制」される日本人は、自尊心・自己肯定感が低いと思います。
自尊心・自己肯定感が低い人は、自分の判断より他者の判断のほうが正しいと思いがちなので、他の成員と異なる行動をとって周囲から拒絶されたり集団の輪を乱したりするのを避けようとして、集団に同調する傾向が強いと言えます。

また自己肯定感が低いと、自分の境界線が「弱い・薄い」ために過剰に自分を防衛しようとするので、相手に「正しさを押し付け」たり、攻撃的になったり、異なった意見を拒絶したりします。
つまり、自分を守るために自分の価値観とずれている異質なものを排除しようとします
その際、その排除という行動に対して意識的にも無意識のうちにも多少なりとも罪悪感を持ちます。そこから逃れるため、以前書いた「生産性の有無」などを理由として、自身を正当化しようとします。

2.ダイバーシティとインクルージョン

集団での「同調圧力」と「個の主張の抑制」をもとにした画一化から、ダイバーシティ、つまり多様性を認めてそれを組織づくりに生かすことが叫ばれるようになりました。

ダイバーシティについては、以下のリンクを参考にしてください。

(参考)
5分でわかる「ダイバーシティ」とは?意味やマネジメントの企業事例など解説
ホンシェルジュ

しかし、「多様性」を認めて。。。と簡単に言いますが、言い換えれば「異なる個性が同じ場に存在」するわけですから、今までのような価値観、つまり「集団への同調」「個の抑制」をベースにしていたら、多様性を認める組織作りなんて、夢のまた夢です。

そこで、産業分野では「ダイバーシティ&インクルージョン」という考え方があります。「多様性を認め、お互いを認め合いながら、一体となる」組織づくりを目指すというわけです。このダイバーシティ&インクルージョンの詳細については、こちらを参考にしてください。

(参考)ダイバーシティ&インクルージョン (日本の人事部)

福祉分野では、「ソーシャルインクルージョン」という考え方が叫ばれています。「全ての人々を孤独や孤立、排除や摩擦から援護し、健康で文化的な生活の実現につなげるよう、社会の構成員として包み支え合う」ということですが、別の言い方をすれば、「格差社会において差別されたり排除されたりして孤立している人々を社会全体でやさしく包み込むようにして支え合おう」ということです。

これをもとに、厚生労働省は、「地域共生社会」の実現を掲げ、文部科学省は「共生社会」の形成を掲げています。

つまり、国家として「多様性を認めて受容し、共存共生しよう」という動きになっています。これは裏を返せば、「今の日本がとてもそのような社会ではない」ことの表れですね。

こうした共生に関する考え方は、理念・目標としてはすばらしいのですが、実現するためには、今の日本社会に欠けていることがあります。それは【お互いを「リスペクト」する】という価値観です。

多様性を認めて受容し、共存していくためには、【お互いを「リスペクト」するという価値観が常識となっている必要があります。そうでないと、多様な価値観が混在することによる対立や誤解、軋轢を生むことになります。

3.多数派と違う個性を「リスペクト」する

相手を「リスペクト」するには、次の5つのポイントがあたりまえのように行われる必要があります。

(1)相手を「評価」して決めつけない
(2)お互いの「領域」を守る
(3)相手を「変えよう」としない
(4)私はこういう気持ちがするからこうしてほしい【アサーション】
(5)相手の話を「なるほど」と思えるまで「聴く」

5つの項目についての詳細は前回の記事をご覧ください。

実は、相手を「リスペクト」できるようになると、自身の自己肯定感が高まります。別の言い方をすれば、相手の「ありのまま」つまり、価値・領域を認めて尊重できるようになると、「ありのままの自分」を「これでいい」と思えるようになります。

これは非常に大きなことです。ありのままの自分を受け入れられるということは、こころに余裕が生まれます。余裕があれば、相手にやさしくできます。相手にやさしくできれば、いずれ自分にもやさしさが返ってきます。そして周りもその影響を受けていい循環が生まれます。すると「安心」「自信」「活力」「温かさ」を感じることができ、自分も元気になれます。そして、こころから相手を「信頼」できるようになり、本当の意味での「つながり」が生まれます。「共生社会」の完成です。きっと、「いじめ」は減るはずです。

え?共生社会になっても、いじめは「なくなる」んではなくて「減る」止まりなんですか?と思った方がいらっしゃるかもしれません。ではどうすればいいのか?については次の記事で書きたいと思います。


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