誰がために台風はあるの 一粒の種である自分という自然
台風12号、あす日曜、石垣島にかなり接近ー。
さきほどから台風ニュースを見ている。
本土から「台風の島」に移住して14年になるが、台風をいやだと思ったことはない。
台風慣れしたとか、そういうことではない。
自然と肌身を接した環境に身を置いてから、台風への見方が百八十度、変わったのだ。
本土に住んていたときは、台風イコール天災というイメージだった。
台風なんか無いほうがいい、と思っていた。
ところが、そうではない。
台風は上がり過ぎた海水温を下げる働きがある、という。
うず巻いた台風が、海底からかき混ぜて水温を下げてくれる。そのおかげでサンゴや魚をふくむ生態系が守られているのだという。
そして、海があるから、森がある。海が元気だと、森も元気だ。その逆もしかり。すべては循環している。
自然はなんとうまくできているのだろう。そして、なんと優しいのだろう。
私はあらためて自然に畏敬の念を感じた。
台風は必要だから、起こっているのだ。
いってみれば台風は、地球のすべての生き物への贈り物なのである。
沖縄は、梅雨明けの6月下旬から10月まで台風シーズンだ。
8月の台風はまだ小さい。海水温が上昇するピークになる9月の台風がいちばん強大になる。「9月台風」といって恐れられている。
台風は、優しいだけじゃない。
ときに荒ぶる神となる。人間の営みに牙をむいて襲いかかる猛々しさも併せ持っている。
しかし、畏れられるくらいがちょうどいいのかもしれない。
人間も自然の生態系の一部である、ということを忘れないためには。
この豊かな島にも悲しいことはある。いま島の自然が侵食されて、危機にさらされている。
自衛隊基地。
防衛省によると、この島は国防の島、ということらしい。基地の建設地に選ばれたのは、あろうことか、島の水源地で、水の神さまがおわすという神聖な於茂登(おもと)岳のふもと。
ゴルフ場。
マングローブの森がつづく湿地帯で、国指定鳥獣保護区、ラムサール条約に指定された名蔵・アンパルの源流域。この島の自然環境上、もっとも重要な場所に、ゴルフ場つきリゾート施設開発計画が作られ、国の同意をえた。
優しく思いやり深い自然が傷つけられると、自分の一部が傷つけられているような気になる。悲しい。
こんなふうにイメージしたらどうだろう。
人は一生分の栄養がプログラミングされた一粒の種として生まれてくる。
その種である自分を発芽させて、ぞんぶんに生きて、世界とつながっている。そうしたら幸せではなかろうか。
種の成長を阻害する、あらゆるものを、許しちゃいけない。
適応できない人を適応させるカウンセリングじゃなくて、薬を飲んで鎮めるだけじゃなくて。
オリジナルな自分の才能で生きていく人が増えたら社会はもっと楽しくなる。
たいせつな自然環境を守るように、一粒の種である自分という自然を守りたい。
天成の自分自身をぞんぶんに生きて、世界とつながれるなら、こんなに嬉しいことはないし、生まれてきて良かったと思えるんじゃないかな。
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