キャラクターに「情熱の正体」を教えてもらう
行動を起こす圧の原動力となる「情熱」は、「体力」や「気力」そして「理由」「原資」「目標」「信念」など他のいくつもの原動力に比べて、とても重要度の高いものである。なぜなら、情熱だけは無限だからだ。それは当人が諦めてしまわない限りは無尽蔵にわいて出てくるものである(気力や精神力などもそれに近いが、情熱には及ばない)。
そのために、人間が情熱によって突き動かされる以上に、人間をさらに誇張した存在であるキャラクター(創作上の人物)は、情熱が基本的な原動力である。キャラクターが動くにはそれが必要だ。そしてそれがなければ、キャラクターは動かない。
この「動く」とは、行動するということ、発言するということ、何かに影響を与える、作用するなど、そのキャラクターの作中での様々な働きのことを指す。即ちこの働きが、そのキャラクターの情熱に沿ったもの、それを原動力としたものになっていることが、「キャラクター的に正しい動き」になる、ということだ。
1つの作品の中には多くのキャラクターというものが登場するが、当然に、それぞれの働きには理由がなければならない。「なんとなく」した行動にすら、なんとなくという理由があるくらいだから(そのなんとなくに至る因果関係があるはずだ。たとえば、夏の夕食に季節外れの鍋をなんとなく用意したと言うお母さんだが、ネットスーパーで鍋のもとが破格で売っていたからだと判明する、というような)、少なくとも、キャラクターがわざわざその行動をするに至った整合性のとれる意味というのが必要なのである。
そして、それを端的に説明できる1つというのが「情熱」なのだ。それを知るには、キャラクターに以下の質問を聞くことから始まる。
これは、流れだ。もし、そのキャラクターがその行動について、1の時点で首を横に振るのなら、質問はそこで終了である。少なくともポジティブな回答を続ける限り、質問は6まで進むことになる。
そして重要なのは、6まで回答したキャラクターは非常に、その行動に関して情熱的だということだ。加えて、6の回答に「はい」と答えたキャラクターは、最も情熱的であり、狂信的とも言え、その行動に関して何よりも説得力のある適任者であることが決まる。
この質問は、キャラクター自身の内実を確認できる1つの思考実験である。特に作品を作る側(作者)にとって、この実験はとても有用である。少なくとも「キャラクターが勝手に動く」という感覚を持たない作者にとって、このようにして「そのキャラクターらしい行動」を確認することは1つの作品的な指針にもなるからだ。
作者でなくとも、そのキャラクターや作品のファンである人々にとって、なぜこのような行動をとったのかということを掘り下げて、論理的に考える助けとなる。ただ「なんとなく」、こういう理由だからだろうとか、こんなはずではないというイメージを振りかざすのではなく、きちんとした理由を見つけることが出来るはずだ。
総じて、キャラクターに情熱の正体を教えてもらうことは、そのキャラクターのことをもっとよく知る手段である。たとえ創作の世界であっても、因果関係がめちゃくちゃなキャラクターは存在しない。その行動には必ず理由がある(それが誰も自覚していなくとも、必ず存在はしているはずだ)。
それを明らかにする、あるいははっきりさせるために、情熱の正体を探る6つの質問をおすすめしたい次第である。
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