キャラブレを起こさないために
キャラブレが何より起こるのは、その設定の認識不足やケアレスミスや、あるいはそもそも設定が固まっていないなどの要因にあるのではない。
キャラブレとは、「そのキャラクターのあるべき姿」と「表現されたキャラクター」のギャップが無視できないほど大きくなってしまう、という状態のことを言う。だからそのギャップが感じられなければキャラブレではない。そうでなければ、物語の中でキャラクター達が成長することすら許されなくなってしまう。成長とは変化だからだ。その「ブレ」は許容される。
究極的に、物語やキャラクターとは「成長」を抜きにして語れないものであり、変化していくものだ。そこに楽しみが見いだされる以上、そのギャップを悪いこととは言えない。しかしなお、「キャラブレ」などという現象が起こるのは、キャラクターにおけるそれが看過できないと感じるからに他ならない。
この、看過できないと私達が感じる部分というのは、「あるべき姿」と「表現された姿」の間にしか存在しないと言える。つまり、あるべき姿が物語の進行に応じて、あるいは私達自身の視点の推移によって変わっていったとしても、それは癇に障らない。それは私達にとって当然のものだと思える。表現された姿についても同様であるが、大抵のキャラクターはあるべき姿がありそれを元にして表現されるので、表現が野放図に変わろうとすれば必然的にあるべき姿とのギャップが生まれ、キャラブレとして認識される、ということは知っておかなければならない。
大切なのは、どのような物語もキャラクターも「ブレ」は存在するものであり、むしろだからこそそれを楽しむものであるものの、キャラクターの「定義」と「実際」の間に無視できないギャップがあってはならないということである。それは言い換えれば「期待」と「現実」であるとも言える。特に、期待はキャラクターを見る者、現実はその作者の担うものであることからも、ギャップが生まれやすいことには、注意が必要である。
私達はキャラクターの「変化」「ギャップ」は許容しつつも、「ブレ」は許容できない。それはかなり繊細に、それらの本質的な違いを嗅ぎ分けることによって成り立っている。
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