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ホラーゲームを分解してみる。

ゲームというものの楽しまれ方は変わった。

この娯楽は、かつてはひとりで、そしてかていで、仲間内と、現実に集まってやるものだった。
しかし実況などが増えてきたことにより形を変え、遊び方、そして楽しみ方は距離を問わなくなった。

そのような中で、けれど、その根本の楽しみ方に変化がないゲームジャンルが、実はある。

それはホラーゲームだ。
なぜなら、ホラーは「物語性」を楽しむという要素が強いからである。これにより、単にゲームを視聴するだけでも楽しむことができるのだ。
他のゲームがプレイヤーにしかわからない「操作性」「ルール性」といった、「遊ぶこと」そのものに楽しみ方を多く割いているのに対し、これは大きな特徴である。

前提として、ホラーゲームには以下の要素が含まれる。

・恐怖性 →ホラーとサスペンス
・考察性 →ミステリとパズル
・悲劇性 →グロテスクとバッドエンド

これらは、本来、「そのゲームのプレイヤー」が楽しむために、ゲームとしてまとめ上げられたものだ。即ち、ホラーゲームとはこれらの要素を「面白い」と思うためのゲームなのである。
そしてこれらの要素は全て、物語的である。即ち、そのゲームに含まれる「ゲーム性」の部分だけでなく、そこに付随する「ストーリー」を受容し、理解し、楽しんでいくという構造が含まれている。

恐怖性は「敵」や「犯人」などの障害との関係において。
考察性は「謎」や「フィールド」などのゲームの舞台との関係において。
悲劇性は「味方」や「被害者」などの自陣キャラクターとの関係において。

その関係性こそが物語を生む。だから、ホラーは非常に物語的である。そしてそれを印象付けるような、鮮烈な出来事も次々に起こる。「ホラーを楽しむ」ということが、ゲーム性と物語性を同時に内包している。

他のジャンルでは、ここに「操作性」「ルール性」といった、ゲームそのものに集中させるような要素が加わり、その分だけ物語性へのプレイヤーの注目がそれる。
そこが、ゲームジャンルによる大きな違いというわけである。

(デジタル)ゲームという娯楽は、それが世界の主流になってまだそこまで長いというわけではないが、非常に力強い遊び道具になったと言える。
めまぐるしく遊び方が変化し、ゲームへの印象も変わっていく中で、「ホラー」ジャンルは、従来の「映画」や「小説」などと変わらないような楽しみ方ができる特殊なジャンルであると言える。
無論、ゲームジャンルの境界は年を追うごとに曖昧になっているが、ホラーそのものの楽しみ方は、やはり「物語性」にあるところが大きい。

それは恐怖性であり、考察性であり、悲劇性である。

恐らく、そのようにして変わらない安心感、私たちの日常のどこかに潜んでいるであろう当然感というものもまた、ホラーの変わらない人気を後押ししているに違いない。

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