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「中心」から物語を紡ごう

そこまで長くない話を書く時というのがある。
文字数にして数千字、セリフにして数十個程度の短めの話だ。
こういったストーリーを構成するときに何より大事なのは、とにかく、その話の中心となる登場人物の言動である。

当たり前のように聞こえるかもしれないが、ストーリーというのは何かをテーマにしている。すると、その文量が少なくなればなるほど、そのテーマは複雑にはできず、大きな事象を扱うことも難しい。
そうなると、必然的にショートストーリーは、人物とその動向を扱うことが主となる。
そしてもちろん、そうでなかったとしても、ショートストーリーくらいの物語を紡ぎ出す取っ掛かりとして、中心人物の言動は、いい材料となるのだ。

例えば、Aという女の子が「絶対に負けないから!」と叫ぶ。そんなシーンを思いつく。
ここでもし、登場人物の設定が決まっているのなら、Aが負けたくないものはなんだろう、得意だったり好きなことだろうか。性格的にはそんなに声を張り上げないから、よほど悔しかったのかもしれない。ライバルは確かBで、関係性を踏まえると……などと考えていけるだろう。
そして、設定が決まっていなかった場合には、ここで登場人物の設定を考える必要がある。それが確定してから、またストーリーを考える作業に戻る。

このようにして、ある中心となる「登場人物の言動」と「それが展開されるシーン」を中心として、そこに至るまでの経緯や、そこからどうなって話の集結に向かうのか、というような考えを広げていく。
そうすることによって、必然的に、そのショートストーリーは、中心人物の言動のための物語となっていく。
つまり話の起伏が、きちんと盛り上がりに向かって上がっていき、そして収束していくという気持ちのいい線を描く。
それは、良質な物語体験を提供することになる。
だから、少なくともショートストーリー程度の文量では、「中心」から考えは占めるのは分かりやすく効果的なのだ。

そこまで長くない話というのは、あまりテーマを複雑にせず、すっきりとまとまったものが、求められることが多い。
仮に短いストーリーでなくとも、すっきりとした読後感というのは大事だから、このまとまりの良さを求めるのは、物語創作としてはとても大事である。
そのために、まずはストーリーの中心、つまり最も重要であったり活躍したりする人物の、最も目立つ・魅せる言動から考えることが役に立つ。
ストーリーは最初から読むものだが、作り始めるのは、別にどこからでもいいのだから。

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