そのストーリーは新鮮か?
ストーリーを楽しむ最大の理由は、それが生の体験をできる限り再現していて、あたかもその渦中にいるかのように感じられるところにある。だから、ストーリーは、その語り手のあらん限りの生の感覚でもって作られていることに価値が見出されなければならない。
そうでないストーリーは、いつしか飽きられ、捨てられてしまう。何故なら、活き活きとしていないストーリーには入り込めないからだ。つまり、楽しめないことになる。また、ストーリーの語り手は、まるで人生を経験し尽くした、老人の昔話をしてはいけない。それが許されるのはストーリーの中の回想であるが、基本的にそれはストーリーの流れが停滞するのでつまらないものと思ったほうが良い。
そうでなくとも、老人のような精神性で語られるストーリーはどうしても退屈で、大抵の場合、好みが分かれる結果になりがちだ。おおよその場合において、それは面白くないと感じられて、そのストーリーは捨てられてしまうだろう。
だから、語り手はできるだけ、新鮮な気持ちでストーリーを紡がなければならない。というよりも、そうした方が読んでいる側はきっと楽しい。
老いた精神は、それはそれで興味深い視点と語り口、雰囲気をストーリーに与えてくれるが、そのメリットを遥か彼方において行ってしまうほど、落ち着いた物語はつまらなくなりがちである。
それは、私たちが新鮮さに敏感だからだ。生の体験や渦中にいることを楽しむのを、私たちが求めていることを、ストーリーの語り手は、忘れてはならない。
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