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子供の帰省を楽しみ、夫と私の日常がまた始まる

 コーヒー豆をひく機械音がして起き上がる。キッチンに行くと、前夜の洗い物の残りが洗われている。缶やペットボトルなど息子の名残も水切りかごに干してある。
 「おはゆー」朝の挨拶は、お笑い芸人リスペクトから始まる(なだぎ武が昔言っていた)。
 「にゃー」夫の朝の挨拶は、猫リスペクトから始まる(犬や猫を愛でるのがもしかすると私より好きかもしれない)。
 日常が戻ってきた。

 夫が私より早起きーが当たり前になってしまったここ何年か。
 仕事に出る前にコーヒーをタンブラーに入れていきたいからと、ついでにキッチンの洗い物もしてくれている。

 ああ。
 早くも年末年始の倦怠感で動けない日が出てしまった。

 前日、息子を空港まで送り届けて、今日は買い物などと思っていたのに、起きたら強い倦怠感。
 ここ数週間、この強烈な倦怠感から解放されていたので、めっちゃ元気になったつもりでいたけど、やっぱりこんなものか。
 とは言っても、対処法はわかっているし、また元気になれるのも知っている。「あーガッカリだ―!」といちいち落ち込むのもまたしんどいから、こういう時こそ「あんまり考えない」。ひたすら疲れた心身を休ませよう。

 年末、息子を迎えた一日目。久しぶりに帰省してくれたのがうれしすぎたのと、その気持ちを見せずできるだけおだやかなふりをしていると、首がこる。

 二日目。朝は、息子が起きてから動こうとそれに備えて、あまりうるさくせずにできる家事をし、晩は息子の大好きなお好み焼き。改めて子供がいる間は、子供中心に生活していたのだなと気づく。
 
 三日目。夫と買い物に行ったり前日と同じようにかと思いきや、息子から真面目な話。大学生活や将来、人間関係などなど悩んでいると知る。
 
 四日目。私がさあ今からくつろぐぞー寝るぞーのころをみはからって、息子が話しかけてくる。この感覚、なつかしい。前日は夫が考えをたくさん話してくれて、ほぼ私は同じ考えだったけど、改めて私の若いころとか夫の若いころを照らし合わせて息子の考えや状況を受け容れていると伝える。
 
 五日目。皆でラーメン食べに行った後、息子は一人でゲームしに出かける。やっと息子がリラックスしていると感じるけど、同時に一人暮らしの生活に戻るのが面倒だと感じている様子。家族でいるのが窮屈な思いと裏腹に、生活とかそれだけじゃなくいろんな現実がまたせまってきているのがゆううつみたい。

 六日目。ドライブで珍しく三人とも静かだった。夜は家事をする私のまわりをウロウロしていて一人になりたくない感じだったので、お笑いの話などたくさん話して気が済んだ様子。
 
 七日目。送る。

 で今日。
 起きたらめっちゃ疲れていた。

 楽しかったけど、自分じゃない誰かを中心に生活するって、やっぱりエネルギー使うなあ。
 よく頑張った、私。18年間。
 息子がようやく20歳を超えてお祝いしたいのだけど、どうやら下戸みたい。夫にも、若いころの私にも似なかった。たくさんのことが夫にも私にも似ていないと、たくさん話して知った今回の帰省。
 息子を空港に送った帰る道すがら、夫と二人で「息子は自分たちとちがう」で盛り上がった。あんなところもこんなところも。

 こんな二人で、また生活が始まった。
 心身の声に耳を傾けながら、リハビリの一年と言い聞かせて、あせらず少しずつやりたいことを。今日はなにかできるかな。



読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。