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強く願うことは、何につながるかを感じられた「ウィッシュ」

 年末に観に行ったけど、感想を書くタイミングがなかった。

 字幕版観たくても、とてもそんな早い時間(或いは遅い時間)には行けないよーてな時間にしかやっていなくて、吹替え版になった。
 でも生田絵梨花さんが、勝手に想像していたよりずっと歌が素晴らしく、どれも聴き心地良かった。

 同時上映作品として「ワンス・アポン・ア・スタジオ ー100年の思い出ー」が最初の9分ほど流れる。
 ディズニーの100周年の思いとのことで、今までのキャラクターがどんどん出てきて、それを懐かしむだけだと思っていた。「ウィッシュ」を観るためのお付き合い程度に思っていたけど、なるほど意味があったのだなとわかる。

 ディズニー作品と言えば。
 ディズニーのアニメ長編映画一作目が「白雪姫」。
 初めてオスカー賞を獲得したディズニーの曲が「星に願いを」。
 そして魔法と呼ぶファンタジーで、皆の願いを投影してきた。

 そんなことをその9分で思い起こされる。たくさんの作品があったし、それぞれのプリンセスやヴィランも出てくるけど、ただ思い出に浸るだけでなく、その大きな三つが「ウィッシュ」に反映させているように思えた。

 白雪姫と言えば、「鏡よ鏡」のセリフがあるけど、そんな場面が出てくる。
 さらに「友人たちが七人の小人を連想させるね」とは夫の言葉。2人で考察したのが楽しかった。

 ところで私は「星に願いを」がめちゃくちゃ好きで、どうしてもオルゴールでほしかった。

20年くらい前、夫に頼んだクリスマスプレゼント

 子供っぽいかもしれないけど、このメロディには夢をかなえてくれそうな、ふわふわした高揚感がある。気持ちがファンタジーの世界に飛んでいけちゃう。

 ディズニーの作品には、たくさんの魔法とファンタジーが詰まっている。

 思い返せば大学で勉強したのは英米児童文学で、卒業論文は、作品に出てくる魔法についてだった。私にとってのそれは「家族の中の個人の存在」。個人は家族の中であっても独立したものであるし、家族にはそれぞれにちがう大切な個性があるとの考えは変わっていない。子供には、親とちがっても育てていけば良い宝物が自分の中にある。

 そして今回思ったのは、何かを強く願う気持ちは人を動かすものだし、本当の願いのためには努力もするようになる。一人ではかなえられないことの方が多いから助けあったり支え合ったりする。いくつかの偶然が重なることもあって魔法のように物事は動いていく。
 何かを強く願う気持ちは悪い方にも動くわけだよね。そういう意味でも魔法ははたらくものなんだ。

 ディズニーに関しては近年、創設者に対して、会社そのものに対して、コンプライアンス、アニメーションの変化、などなど。外側から見ていると様々な思惑が渦巻き、見ている側もそれを知る度、複雑な気持ちになりながらただ受け止めてくるしかなかった。
 たとえば「ウォルトディズニーの約束」を観ても、夢とか美しさだけでなく、背景に家族の苦しさとか抱える問題とかあっての作品の数々とわかる。
 感想を書いたこともあったけど、5年ほど前の自分の文のひどさにげんなりしたのでここで載せるのはやめてそっとしておく。
 とにかく、夢だとか魔法だとかふわふわした気分の良いことに浸りきってばかりではない。

 それでも私はあの世界が好き。
 見せられる世界は、現実離れしているから楽しいのだろうとわかっていても。 
 こういう世界を目指していきたいと、理想を目指す気持ちは持っていたい。たとえそう簡単いはならなくても、こんな風になれば良いのに。その思いを乗せて、そんな世界に夢を見たい。夢は虚構という意味ではなくて、願いという意味で。
 つらい世の中だからこそ見失ってはいけないものがある。

 そんな風に一人ひとりが強く願い、それを行動に移さないと、世界は変わっていかないのだね。
 「ウィッシュ」で、欲に負けてしまった一人の王とそれに立ち向かう民衆のシーンを反すうしながら、そんな風に思った。


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