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7月10日 抗がん剤点滴、打ってみた シーズン2

昨日から、抗がん剤治療「CAPOX(XELOX)療法」のシーズン2、もとい2クール目がスタート。新しい事実の判明に抗がん剤点滴の記録が後回しになってしまったけれど、今回は点滴中にリアルタイムで変化のメモを残しているので、これから治療を受ける誰かのために、備忘録を兼ねてnoteに上げておこうと思う。

ちなみに、仕事は全休にしてもらっています。わたしの抗がん剤治療は、職場の理解なくしては成り立たない。本当に、心から感謝しています。

今回は点滴のお供に、スタバのアイスラテとアールグレイのドーナツを。少しでも治療を楽しむための工夫って大事だと思うから(ただ久しぶりにスタバのラテが飲みたかっただけ)。点滴に含まれるオキサリプラチンという抗がん剤成分には、冷たい物に過敏に反応してしまう副作用があるため、アイスドリンクは氷抜きでのオーダーが鉄則。バリスタさんが「氷がない分、ミルクを増やしましょうか?」と尋ねてくれたので、ぜひ、とお願いした。

氷抜きラテのミルク増量は、先日タリーズでも同様のサービスを受けたので、もしかするとコーヒーチェーンあるあるなのかもしれない。ドトールの対応は不明。なぜなら、わたしはドトールではロイヤルミルクティーしか頼まないからです。ドトールのロイヤルミルクティーっておいしいよね。たぶんドトールでそれ以外飲んだことがない。

さて、これを書いている今は、オキサリプラチン点滴がスタートして20分ほどが経ったあたり。抗がん剤の点滴はたっぷり2時間(+吐き気止め点滴15分)。一人ひとりにミニテーブル付きのベッドがあてがわれ、カーテンを閉めた半個室の状態でしばし過ごすことになる。優雅といえば優雅、退屈といえば退屈。

退屈のお供といえば、本でしょう。一冊持ってこようと思っていたのに、普通に忘れた。先週末から、金原ひとみさんの『アンソーシャルディスタンス』を読んでいる。もし好きな小説家を尋ねられたら、わたしは金原ひとみさんを挙げると思う。その状況を願っているわけでは断じてないが、いつかもし彼女が何らかの病に倒れる日が来たならば、闘病にまつわる文章を書いてほしい。彼女ならきっと書くだろうとも思っている。

点滴が始まって、やがて1時間。右腕が痛くなってきた。

わたしは今、右腕で抗がん剤点滴を受けながら、左手でスマホのメモ帳にポチポチとこの散文を打っている。点滴、どうして右腕にしちゃったんだろう。わたしは右利きなので、点滴は左にしてもらったほうが絶対に楽だった。腕の痛みは、コロナワクチンを打った後の筋肉痛のような痛みに似ている。耐えられない痛みではまったくなくて、ただ「痛いなぁ」という程度。温めると和らぐため、看護師さんを呼んで、保冷枕のホット版のようなジェル状の保温材を追加してもらった。

そうこうするうち、ベッドまで薬剤師さんが来てくれた。

点滴を受ける前に外科へ寄って、1クール目で起こった変化と、シミが嫌だという思いを看護師さんへこんこんと語った結果が、薬剤師さんが両腕に抱えるほどの薬となって、今、目の前に現れた。今回は抗がん剤や整腸剤に加えて、肌の乾燥対策の外用薬としてヒルドイドローションとヘパリンクリームを、シミを防ぐ内服薬としてシナールとトラネキサム酸を処方してもらうことに成功。美容に興味のない方はなんのこっちゃという感じかもしれませんが、肌管理に関心がある方からすれば、保険適用でこの処方はきっと羨ましい布陣だと思う。

薬剤師さんが話しやすい方だったので「副作用でできた手足のシミって、ビタミン美容液とか効くんですかね?」と尋ねてみたところ、彼女は「自論ですけど」と前置きした上で、顔と手足では皮膚の厚さが違うため成分の浸透性に疑問があることと、できたシミには外用薬より内服薬が有効であることについて教えてくれた。「今回は内服薬が出ているので、それを飲みましょう!高い化粧水を手に使うの、もったいないじゃないですか?!」と力説する彼女の朗らかさがなんだかいいなと思って「たしかに」と笑い返した。そういえば、この病院は誰も「シミくらいで」なんて言わない。わたしはそれが、とても嬉しい。

一度お手洗いに立って、戻ってきたら、点滴の残り時間は20分を切っていた。痺れが右腕全体に広がっている。まるで正座した後の脚みたいだ。

痺れに対して、打てる手は保温以外に何もない。痛み止めを飲むほどではないので、放っておく。そういえば、今日は主治医の先生の診察がなかった。看護師さんとお話ししたときに「先生に何か伝えておきたいことはありますか?」と聞かれたので「手術のとき、おへそを綺麗に切ってくれてありがとうございますって伝えたいです」と答えたけれど、そういうことじゃなかったか?と後から思った。ストーマ外来の診察はあったので「一昨日、ついに漏れちゃったんですよ」と相談し、装具を貼り替えてもらいながら、考えられる原因と対策をとても丁寧に教えてもらった。おみやげに新しい装具までいただいた。やっぱり毎回なんかくれる。

残り5分。喉に違和感が出てきた。

ラテの残りをぐいと飲み込むと、喉の奥に何かしこりがあるように感じる。これも別に痛くはない。ただ気になるだけ。

左手にも痺れが出ていることに気づく。

手が震えてスマホのフリック入力がうまくできない(と打つのに30秒近くかかった)。

看護師さんが点滴の終わりを告げに来る。

看護師さんの声がけに応じたときに、前回の点滴後のような、発話への違和感を覚えた。「まだ吃音はないんですけど、なんか喋りにくい感じはありますね」と伝えると、外科と連絡をとってくれた。様子見のため、今回もしばらく病院に残る流れになりそうだ。

そして以下に続く👇

シーズン1(1クール目)はこちら👇


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