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読書記録「四畳半タイムマシンブルース」

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今回読んだのは、森見登美彦さん 原案 上野誠さんの「四畳半タイムマシンブルース」KADOKAWA (2020)です!

森見登美彦「四畳半タイムマシンブルース」KADOKAWA

・あらすじ
京都は下鴨泉川町にある下鴨幽水荘に住む大学3回生の私は、夏休みという貴重な時期にも関わらず、学生の健全な本分を悉くまっとうすることなく、怠惰な四畳半生活を送っていた。誰がこんな学生生活にした。責任者はどこだ。責任者を出せ。

だが、今年の夏は違う。下宿で唯一クーラーのある部屋が空き家となった今、ついに私の有意義な夏休みが始まるのだ。そう意気込んでいた矢先、悪友の小津がクーラーのリモコンにコーラをぶちまけてしまう。

うだるような暑さの中、突如として下鴨幽水荘に現れたのは、かの猫型ロボットが乗っているようなタイムマシン。そこで私はハッと気づく。

「昨日に戻ってクーラーのリモコンを手に入れれば、またクーラーを起動できるではないか」

たかだかクーラーのリモコン一つを巡って昨日と今日を行ったり来たり。だがそれは、宇宙の滅亡の危機でもあった。

上野誠さん原作の映画「サマータイムマシーンブルース」(2005) を、森見登美彦さんの「四畳半神話大系」の登場人物たちがおもしろ可笑しくオマージュした作品。お恥ずかしながら原作の映画をまだ観ていないのですが、全く違和感を感じることなく楽しめました。

タイムトラベルものは、様々な見解で描かれるものである。

漫画「ドラえもん」 第一話では、ドラえもんが来ることによって過去が変わったら、将来セワシ君が生まれないのではないかという質問に対して、電車や車、自転車で行っても行き着くところは同じであるのと同様に、僕は生まれてくるから安心してと言う。

映画「バックトゥザフューチャー2」では、時間というものは一本の線であり、過去を変えることによって新たな世界線が生まれてしまったとドクが語る。

谷川流さんの「涼宮ハルヒの憂鬱」KADOKAWA に出てくる「時間平行理論」も面白い。単純に言うと、時間とはアニメーションを構成する静止画の集まりであり、過去に戻ったとて未来からきた人は、1コマの落書きのようなものであると。

この作品の面白いところは、昨日と今日というほんの短い時間の間にも関わらず、タイムトラベルとしてのエッセンスが詰まっている。一種の辻褄合わせが、あぁ四畳半シリーズだなぁと感動する。

是非「四畳半神話大系」を読んだ上でこの作品を読むことをオススメします。へんちくりんな登場人物たちと、私と明石さんの恋の物語。なるほど、これも一つの世界線の話なんだな。それではまた次回!

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