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読書記録「痴人の愛」

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今回読んだのは、谷崎潤一郎氏の「痴人の愛」新潮社 (1925) です!

谷崎潤一郎「痴人の愛」新潮社

・あらすじ
28歳の河合譲治はナオミという少女にひどく惚れ込んでいた。いや、正しくはナオミという女の奴隷になっていた。

浅草は雷門近くのカフエエで奉公しているナオミは、まるで15歳の少女とは思えない顔つきと肉体を持っていた。最初こそ客と店員という関係であったが、何度か食事や活動小屋へ行くうちに親密になる。

譲治はナオミに対して、奉公を辞めて一緒に暮らさないかと持ちかける。英語と音楽を学び、立派な淑女になることを条件に、面倒を見てやると。

譲治とナオミの結婚生活は最初こそ順調であったように見られた。大田区は大森の文化住宅に移り住み、二人は夫婦というよりは「お友達」のように過ごした。

ナオミは少々お転婆が過ぎるところがある。食事や洋服も贅沢三昧、家に帰れば毎日譲治に身体を洗わる。時には、譲治を馬乗りにして「ハイ、ハイ、ドウ、ドウ!」と口に手ぬぐいを噛ませることもあった。

そうかと思えば、急にしくしく・・・・泣き始め、譲治が不満を言えば約束が違うとふてくされる始末。

そして、ナオミは男を堕落させる術を知っていた。どんなにひどい扱いを受けても、それどころか、むしろ離れようと思っても離れることができない哀れな譲治。果たして二人の行く末はいかに。

お恥ずかしい話、私は今の今まで彼女は愚か、デートというものすらろくに経験したことがない。読書会では女性と話せるのだが、個人的になると極度に緊張してしまう性分である。

だからだろうか、譲治に対してどこか感慨深いものがある。共感できると云うわけではないが、なんというか、致し方がなさを感じてしまう。

どう考えても、譲治には「引き時」があった。逆に、何でよりを戻しているの!?と驚くことすらある。だがそれだけナオミには、悪魔的な魅力がある。会ったことはないが、感じ取れる。

当時(大正時代)の日本の女性という枠組みに縛られず、さながら「風と共に去りぬ」のスカーレットかのような大胆さを持ち合わせつつ、時折見せる少女っぽさもまた、ナオミに引き込まれる要因になりえる。

読んでいて思うのが、アメとムチの使い分けが絶妙なのだ。そりゃ離れたくなくなるのも、分かる気がする。

話は変わるが、知り合いから川口君は彼女を作ればガラッと変わると思うんだよねとよく言われる。

そりゃ簡単にできるようならば教えてほしい。簡単にできないから困っているのだ。右手を失えば出来るのだろうか?

とは言え、気づけば河合譲治と同年代。いつまでものんきなことは言っていられない。そろそろ本気で国から見合い話でも来てしまいそうである。

「だがいいですよ、まあ一遍はああ云う女に欺されて見るのも」

同著より抜粋

ね。それではまた次回!

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