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チームビルディングの秘訣「プロジェクト十箇条」

2017年度からスタートしたNEC未来創造会議。AI(人工知能)が人間の能力を超えると言われるシンギュラリティ後の未来社会を構想し、その実現に向けて社会実験に取り組んでいます。本活動を推進するのがNECグループから公募で集まったメンバーで構成される「未来創造プロジェクト」。3Mの15%プログラムやGoogleの20%ルールのように業務時間の一定割合(30%)で活動するバーチャル組織。バーチャル組織故にチームビルディングが重要となります。

チームビルディングのための仕掛け

チームビルディングのために取り入れている仕掛けとして「こっそりバディ」「プロジェクト十箇条」「公開オーディション」などがあります。前回の「こっそりバディ」に続き、今回は「プロジェクト十箇条」を紹介します。

プロジェクト十箇条

公募なので初対面のメンバーもいて、1年間という期限付きのプロジェクト、さらに常に顔を合わせるのではなく、業務時間の30%の時間だけを共にするバーチャル組織故にチームビルディングが重要となります。初対面のメンバー同士がお互いに応援し合う雰囲気を醸成する「こっそりバディ」に加えて、1年間という限られた時間でアウトプットを導出するためには最低限のグランドルールも必要となります。

ルールって縛られる感じで嫌ですよね?
そして、ルールに“縛られる”という感覚の源泉は何なのでしょうか?

きっと、自分が策定に関与できなかったルールだと“縛られる”という感覚を抱くのではないでしょうか?
例えば、高級レストランで提供される料理も美味しいですが、バーベキューでみんなで一緒につくるカレーは格別な美味しさを感じます。家庭で食べるカレーと同じでも、仲間と一緒につくることで美味しさも不味さ(!?)も自分事・自分たち事として積極的に受け止められるのだと考えます。

公募で集まったプロジェクトメンバー。社会や会社の未来に対して人一倍強い思いを抱くメンバーばかりです。だからこそ、時には自分の思いが先行して傾聴することが疎かになったり、思いが先行して評論家の姿勢になる可能性もあります。

なので、マイナスのリスクを軽減し、プラスの可能性を発揮できるようにプロジェクトメンバーのグランドルールとして策定するのが「プロジェクト十箇条」です。メンバーと共に対話(ダイアログ)をして10個のグランドルールを策定します。10個の内、上述したようなリスクを回避するために3個だけ事務局側からルールを提示するので、実際には残りの7個を策定します。

未来創造プロジェクトの1年目に事務局から提示した3つのルール。

1. 評論家の姿勢でなく、常にクリエイティブ思考であること
2. 現在の常識に捕らわれないこと、グローバル視点で考えること
3. 未来を語るのは楽しいけど、自己主張は1/10、他己尊重に9/10のバランスを心がけること

そして、メンバー全員による対話を通じて策定した残りの7個のルールがコチラ。

4. 全員が自分事・自分たち事としてプロジェクトを牽引し、楽しむこと
5. 未来創造会議でなく、NEC未来創造会議であることを忘れないこと
6. プロジェクト内で議論するだけでなく、積極的に外に出て知見を取り入れること
7. 迷ったら、笑える方向へ考えること
8. プロジェクトの時間軸を常に意識すること
9. Whyの視点で繰り返し問いかけ、思考の限界を超えること
10. 自ら楽しみ、メンバーも楽しませることで、お互いを高めあおう

僕も大好きですし、プロジェクトメンバーのお気に入りだったのが「迷ったら、笑える方向へ考えること」というルール。未来を単に絵空事として想像するのではなく、現実の課題をいかにして克服して未来を創造するか?という点で壁に当たることが多いと想定される中、眉間にシワを寄せて現実的な解決策を安易に選択するのではなく、笑える解決策を見出していこうと僕らの心の持ちようを示してくれたルール。このルールは好評で、2年目も3年目も引き継がれていきました。

2019年度(第2期)、2020年度(第3期)のプロジェクト十箇条も紹介します。2018年度(第1期)同様に最初の3個のルールは事務局から提示しています。

2019年度
1. 評論家の姿勢でなく、常にクリエイティブ思考であること
2. 未来を語るのは楽しいけど、自己主張は1/10、他己尊重に9/10のバランスを心がけること
3. プロジェクトの時間軸を常に意識すること
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4. 太陽を浴び、たくさんの人と言葉を交わそう
5. 成功・失敗を疑惑せずまず行動、進むにつれて、考動しよう
6. 一歩一歩を「振り返り」、形に残そう。そして、時には「向き直り」をしよう。
7. 自分の対角線上に何があるか考えよう
8. 頭を柔らかくして最高の創造性を発揮するため、意識して休もう
9. プロジェクトを通して、自ら意志の共鳴を実感しよう
10. 悩んだら、迷ったら、笑えるほうへ

第1期でユニークなルールは「意識して休もう」。これは第1期からの継続メンバーによる発案。とてもやりがいのあるプロジェクト故に没頭することも多くなります。没頭すると視野も狭くなってしまい、他メンバーの意見を傾聴することも疎かになりがちになるので、自分の経験を通じて意識して休むことを提案されていまいた。

2020年度
1. 評論家の姿勢でなく、常にクリエイティブ思考であること
2. 未来を語るのは楽しいけど、自己主張は1/10、他己尊重に9/10のバランスを心がけること
3. プロジェクトの時間軸を常に意識すること
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4. 正直な想いの交換で、チームの透明性を高めよう
5. 一歩前に踏み出そう。やってみないことには始まらない
6. 親や子供に伝えるつもりで分かりやすく話そう
7. ダサくても良いので、プロジェクトや自分の考えを示すおもちゃを作ろう
8. 悩んだり迷ってしまった時はワクワクする方へ進もう
9. 自分の気持ちに素直に。正しさは次に考えよう
10. 「一体感」だけでなく「違和感」も尊重しよう

第3期でユニークだったのが「一体感だけでなく、違和感も尊重しよう」というルール。公募で集まった多様性あるメンバーなのですが、プロジェクトが進むにつれて考え方が集約されていき、多様性が薄れてしまうことに対する警鐘。これも第2期からの継続メンバーによる経験値に基づくルールでした。

プロジェクト十箇条を常に意識するために

グランドルールとしてのプロジェクト十箇条。しかし、常に10個のルールを意識し続けるのは大変です。1年間のプロジェクト期間中、月ごとにタスクや環境もことなるので、毎月、特に意識するルールを多数決で決めています。不思議なことに票が分散せずに数個に集約されるんですよね。各月ごとに自分たちが置かれている状況を共有できていることの証だったのかもしれませんが、あくまでも憶測なので真実は不明です(笑)。

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みなさんも新しいプロジェクトを立ち上げる時、組織が新設された時、節目の時などにチームメンバーと共にグランドルールを策定してはいかがでしょうか?

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