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部下を活躍させる上司の関わり方ーネガティブなことを伝えるー

部下をマネジメントをする立場いる上司は、その役割上、部下にとってネガティブなことを伝えなければならない時がある。部下の取り組みに改善を求める、マイナス査定を伝える、本人が望まない異動を指示するなど、伝えればきっと相手はいい顔をしないことが容易に想像できる状況でも、役割として伝えなければならない時がある。
私は産業医として様々な立場の上司とその部下に関わらせていただいているが、部下にとって一見ネガティブなことを伝えるときにも、部下を勇気づけ、逆に本人のさらなる活躍に繋げている上司もいた。
今回はそんな上司達から教えていただいた、部下を活躍させる関わり方を紹介したい。

事実は事実として誠実に伝える


ネガティブなことを伝える際、相手の反応が気になり曖昧に表現したり、事実の一部しか伝えないことがある。さらに事実と上司自身の解釈や評価を、一緒に伝えてしまうこともよくある。しかし、これでは、事実が伝わらないばかりだけでなく、ただネガティブな気持ちだけが伝わってしまい、相手の不信感を増大させてしまう。ネガティブに受け取られることが多い事柄でも、事実は本来は常にフラットで、伝えたり、受け取ったりする人の解釈がネガティブなだけである。まずは伝えるべき事実をそのまま事実として誠実に伝えることを意識したい。

相手の気持ちに共感する


事実を事実とつたえたとしても、おそらく今回取り上げている情報を伝えることは、なんらかの感情的な反応があると考えられる。一見、目立ったリアクションがなくても、冷静に受け止めているようにみえても、感情は大きく動いているかもしれない。相手の気持ちに寄り添い、「悔しいですよね」「納得できないですよね」と伝えながら共感することで、受け取り難い内容でも受け取るハードルを下げることにつながっていく。また、具体的なアドバイスがなくても、共感を得られるだけで、気持ちが落ち着く効果も期待できる。

相手の今ではなく、相手の可能性に焦点を当てる


部下を活躍させる上司は、さらに、ここからの関わり方が違う。事実は一つでも解釈は無限大である。今の本人から見たらその事実は、ネガティブにしか解釈できないかもしれない。しかし、その部下の未来から見たら、その事実はどう見えるだろうか?部下自身は全く想像していなかった未来でも、部下の経験や能力、これから得ていくであろうリソースも総動員することで、より大きな可能性がみえてこないだろうか。もしこの大きな可能性、輝く未来を手にする部下だとしたら、目の前の事実への解釈は変わって来るのではないか。「あなたの本来の可能性から見ると、あなたらしくない、この結果は物足りない。」「未来に、この地位に就くあなたにとって、この経験は間違いなく役に立つと思う」など、相手の可能性から見たら、どんな事実も部下のやる気につなげるきっかけにできる。

部下の活躍を信じる

部下を活躍させる上司が、どのように部下にネガティブなことを伝えているかを、ご紹介した。彼らに共通しているのは、部下が自分とは違う能力を持ち、大きな可能性を持っていることを信じていることだと考える。だからこそ、部下とまっすぐ向き合い、どんなことでも真摯に伝え、部下の活躍につながる関わりになっているのだと考える。


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<著者について>
野﨑卓朗(Nozaki Takuro)
 
日本産業衛生学会 専門医・指導医
 労働衛生コンサルタント(保健衛生)
 産業医科大学 産業生態科学研究所 産業精神保健学 非常勤助教
 日本産業ストレス学会理事
 日本産業精神保健学会編集委員
 厚生労働省委託事業「働く人のメンタルヘルスポータルサイト『こころの 
 耳』」作業部会委員長
 
 「メンタルヘルス不調になった従業員が当たり前に活躍する会社を作る」



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