加藤 拓馬|教育のコラムとか移住ライフの近況とか

地元の課題を学びに変える。気仙沼で中高生が探究学習を通して起こすアクションを応援。東日…

加藤 拓馬|教育のコラムとか移住ライフの近況とか

地元の課題を学びに変える。気仙沼で中高生が探究学習を通して起こすアクションを応援。東日本大震災を機に気仙沼へ新卒無職移住し、まちづくりの人材育成、移住支援、教育事業を起業。社会教育士 / 一般社団法人まるオフィス 代表理事 / 宮城県社会教育委員 / 政策起業家 / 早大卒

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どんな人になりたいの?

「なんか(しりとりとか)やろうよ」 それより、おしゃべりしようよ。今日あったこととか教えて。 ゲームの話をしはじめたので、適当に相槌を打つ。 「どんな人になりたいの?」 ふと、不意をついてきた。 うーん。おれは人の役に立ちたいかな。 どんな人になりたいの? 「おれは仕事して仕事してしまくりたい」 なんで? 「貧乏になりたくないから。へへ」 仕事しまくるとお金もらえるの? 「うーん。わかんない」 「おれも人の役に立ちたいな」 そっか。 話は一度ここで途切れ

    • 【仲間募集】もし能登プロジェクト

      もし能登の高校生が気仙沼の復興の物語を見に来たら、何を感じるだろう。 いま漠然と不安を感じている高校生。復興に無力感を感じていた。 こんど、彼らを気仙沼に呼ぼう。復興は答えのない探究だったと伝えよう。 ここにはきっと将来への糸口があるはず。 もし能登に気仙沼の大学生や高校生が復興のお手伝いに行ったら、何ができるだろう。 あのとき小学生だったわたし。ボランティアの大学生に遊んでもらった。だから楽しかった記憶もたくさんある。 こんどはわたしが能登に行って小学生と遊ぼう。 あ

      • 小学生と大学生は相性がいい

        気仙沼の唐桑半島で小学生の平日放課後クラブをはじめて数ヶ月、参加者はどんどん増えてます。 「たんけんから探究へ」 中高生の探究の基になるのは、小学生時代の遊び!かもね、と思いまして。 そして昨日は。 放課後下校してヒマしてる小学生と 春休み帰省してヒマしてる大学生を かけ合わせると。 「唐桑小学校を8年前に卒業しました大学生でーす」 相性いいです。 どちらも力がありあまってます。

        • 高校生マイプロ2023が感動的だったワケ

          2023年12月3日、気仙沼でプロジェクトを起こし探究してきた高校生のプレゼン大会「気仙沼の高校生MY PROJECT AWARD 2023」が開催された。2017年より毎年企画してきたが、AWARDとして市長賞を一人選ぶことの意味が初めて分からなくなった。というくらい感動的だった。7年経って見えた到達点が、企画としての自己否定だった。 考えられる理由は2つ。今年エントリーして登壇した12名の高校生が、全員「自分ゴト」として語っていたこと。「気仙沼学びの産官学コンソーシアム

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        • 遠東記2
          12本
        • 教師じゃない僕が教育現場で思うこと
          25本
        • もうひとつの「ただいま、つなかん」
          4本

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          2011年→2023年、12年でひと回り

          2011年、私がFIWCというチームの一員として気仙沼の唐桑半島で復興支援ボランティア活動を始めたとき、とある民家のお宅のはなれを借りて活動拠点としていた。その家族は「唐桑半島のために活動してくれるなら」と自分たちも被災しているのにも関わらず、私たちボランティアを受け入れてくれた。そのお家には三人の小学生がいて。被災した直後から数ヶ月に渡り、入れ替わり立ち替わりボランティアが自宅にやってくるもんだから、相当なストレスをかけたに違いない。実際、特に4年生になる二番目の子には負担

          Dance with the Issueを体感してきました

          下北沢の映画館を目指して宮城県の北の端・気仙沼から新幹線でびゅーん。 太田直樹さんの紹介で知りました「Dance with the Issue」という映画。 電力というエネルギーの課題について、コンテンポラリーダンスを通して感じる映画。 頭じゃ分かっていることを、もうちょっと深いどこかで感じ直してみる、という感じ。 さらにおもしろいのが、映画の最後に瞑想タイムがついてること。 監督は舞台挨拶で「映画館って暗いし静かだし瞑想にぴったりじゃんと気づいた。全ての映画がこん

          おいでよ大学生インターン

          まるオフィスっていうNPOは、立ち上げ直後からずっと大学生インターンがいた会社で。インターンシップの期間は短くて数週間、長くて丸1年間。 毎年2,3月になると「大学休学するんでまるオフィスで1年間インターンさせてくださいー」と急に言ってくる人がいたんですよ。ホントに。なぜか毎年。 それがコロナでパッタリ音沙汰なくなっちゃいまして。大学がない気仙沼の小中高生にとって大変有り難い存在だったんですよね。大学生って。 失って気づくありがたさ。 ところが去年今年あたりから、初め

          “麻薬”の話〜学びの伴走とは?〜

          島根の松江にて3月「伴走者のための共学共創フォーラム in 島根」が開かれまして、学びの伴走とは?というテーマで午前中パネルディスカッションに登壇させてもらいました。 NHK朝ドラ『おかえりモネ』のセリフで「あなたのおかげです、という言葉は麻薬です」というのがあって。 たくまさんのおかげでやりたいことが見つかりました。 たくまさんのおかげで人生変わりました。 学生から言われるこの言葉はもう麻薬的な快感と中毒性をもたらします。その瞬間、伴走者は気をつけないと。 伴走を

          【復刻】#やっぱりつなかん〜もうひとつの「ただいま、つなかん」④

          映画『ただいま、つなかん』公開に合わせて、民宿「唐桑御殿つなかん」にまつわる昔の記事を掘り起こしてきました。もうひとつの「ただいま、つなかん」もこれにて最終回です。 2017年、民宿「唐桑御殿つなかん」が再出発します。そのときの不安と何よりも喜びを当時の私(28歳)は記していました。 #やっぱりつなかん [2017年06月24日(土)] 3月25日、事故の2日後から仲間内でちょこちょこと連絡をとって集まり始めた。 りょうすけさんを囲んで今後どうするか話し合うカンジ。 い

          【復刻】#やっぱりつなかん〜もうひとつの「ただいま、つなかん」④

          【復刻】何が復興だ〜もうひとつの「ただいま、つなかん」③

          今から6年前の3月、春のお彼岸。朝の日差しはすっかり春めいているのに、海から吹く風は強く冷たく体を突き抜けます。 まるオフィスというNPO(非営利型の一般社団法人)を立ち上げて丸2年が経とうとしていましたが、私は相変わらず迷走していました。それでも「唐桑半島の復興まちづくりのため」に動いていると信じることで、心を保っていたんだと思います。 半島の崎の方にある大山(だいやま)商店という空き店舗をお借りして事務所にしていました。午前、電話がかかってきたのでケータイ片手にふらっ

          【復刻】何が復興だ〜もうひとつの「ただいま、つなかん」③

          【復刻】いい景観でメシが食えるのか〜もうひとつの「ただいま、つなかん」②

          2011年の秋、半年かかったがれきの片付けがようやく終わり、ボランティアたちもずいぶん減る中、私は唐桑半島に残り、コミュニティ誌づくりを始めます。 ハード面では見る見る片付いていくまちとは裏腹に、被災した人たちの心はむしろ疲弊感を増すばかりで、よし、今こそ「夢を語る地元の人にスポットを当てよう」と意気込んで取り掛かりました。 初回のインタビュー先は決まっていました。そう、学生ボランティアの拠点「ツナカン」の一代さんです。被災しながらも、いつかここを民宿にしたい!と夢を語る

          【復刻】いい景観でメシが食えるのか〜もうひとつの「ただいま、つなかん」②

          【復刻】ツナカン物語〜もうひとつの「ただいま、つなかん」①

          映画『ただいま、つなかん』というある民宿の女将のドキュメンタリーが公開されました。気仙沼は唐桑半島にある民宿です。 私もそのドキュメンタリーにちょろっと出てくる関係で、いろんな方からメッセージをいただいています。ありがたいですね。 いってらっしゃい、「ただいま、つなかん」という心境で。風船を括り付けられ、ふわふわ空に飛んでいく感じ。横では、主人公の一代さんやえまたちが手を叩いて喜んでる。監督の風間っちは一生懸命地上から風を送ってる。 私にできることを考えたとき、東日本大

          【復刻】ツナカン物語〜もうひとつの「ただいま、つなかん」①

          たった1人のために動ける仕事

          2008年2月の頭。大都市広州から250キロほど内陸に入った紫金というまちにいる。バイクが行き交うたびに土埃が舞う中国の田舎まちだ。旧正月の最中で、赤い爆竹の残骸が至るところに散らばっている。 夜、薄暗いホテルの一室から広州にいるタイランに電話をかけていた。「拓馬、村はどうだった?」落ち着いた声。タイランは日本から広州に移住してNGO「JIA」を立ち上げた原田僚太郎のニックネーム。日中の大学生とともにハンセン病問題に取り組むNGOだ。大学1年生の私は、タイランの紹介で先輩と

          上半期を振り返ると結構進化してた私たち

          2022年度の上半期が終わりました。あっという間でしたね。実はこの上半期の間に、まるオフィスは様変わりしまして。4月なんて、とうの昔。というワケで、このコラムではその進化っぷりをぎゅっとまとめてお伝えします。 進化1:ミッションのリニューアル「地元の課題を学びに変える」という新ミッションを掲げ、2022年度まるオフィスは再スタートを切りました。いよいよ「復興のなんでも屋さん」を完全に卒業したとも言えます。感慨深い… 進化2:ロゴのリニューアル合わせて、2015年の設立より

          上半期を振り返ると結構進化してた私たち

          探究学習塾ナミカゼが開塾するまで

          2017年と18年に「教育魅力化」の先進地である島根県の離島・海士町を視察しました。公営塾と呼ばれるおしゃれな建物で、高校生が活き活きとマイプロジェクトを進めている様子を目の当たりにします。私たちのような視察組の大人にも慣れっこで、話しかけても気さくに応えてくれます。魅力化コーディネーターと呼ばれる職のスタッフがいて、町長をはじめとする自治体ぐるみの体制もできていました。羨ましい。でも、これは数千人の島だからできることであって、6万人の気仙沼ではできない。悔しいかな、これが私

          探究する力をつけて無計画に生きよう

          探究学習が目指すもの東日本大震災から11年が経った3月。悲しんでいる人を見るのは辛いです。それは目の前の人であっても、スマホの向こうの人であっても。心がえぐられます。 私の尊敬する気仙沼の先生方が、異動するにあたってメッセージをくれました。「探究する力は、子供たちがいかに自由に生きうるかを探究する根源的な力になります。『探究』の目指す最上位の目標です」「『探究』の目標の1つは、民主的な世界をつくることとも思います。対話し、話合い、最適解を見つけ、協働的な社会をつくるためにも

          探究する力をつけて無計画に生きよう