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教師じゃない僕が教育現場で思うこと

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記事一覧

小学生と大学生は相性がいい

気仙沼の唐桑半島で小学生の平日放課後クラブをはじめて数ヶ月、参加者はどんどん増えてます。 「たんけんから探究へ」 中高生の探究の基になるのは、小学生時代の遊び!かもね、と思いまして。 そして昨日は。 放課後下校してヒマしてる小学生と 春休み帰省してヒマしてる大学生を かけ合わせると。 「唐桑小学校を8年前に卒業しました大学生でーす」 相性いいです。 どちらも力がありあまってます。

高校生マイプロ2023が感動的だったワケ

2023年12月3日、気仙沼でプロジェクトを起こし探究してきた高校生のプレゼン大会「気仙沼の高校生MY PROJECT AWARD 2023」が開催された。2017年より毎年企画してきたが、AWARDとして市長賞を一人選ぶことの意味が初めて分からなくなった。というくらい感動的だった。7年経って見えた到達点が、企画としての自己否定だった。 考えられる理由は2つ。今年エントリーして登壇した12名の高校生が、全員「自分ゴト」として語っていたこと。「気仙沼学びの産官学コンソーシアム

“麻薬”の話〜学びの伴走とは?〜

島根の松江にて3月「伴走者のための共学共創フォーラム in 島根」が開かれまして、学びの伴走とは?というテーマで午前中パネルディスカッションに登壇させてもらいました。 NHK朝ドラ『おかえりモネ』のセリフで「あなたのおかげです、という言葉は麻薬です」というのがあって。 たくまさんのおかげでやりたいことが見つかりました。 たくまさんのおかげで人生変わりました。 学生から言われるこの言葉はもう麻薬的な快感と中毒性をもたらします。その瞬間、伴走者は気をつけないと。 伴走を

探究学習塾ナミカゼが開塾するまで

2017年と18年に「教育魅力化」の先進地である島根県の離島・海士町を視察しました。公営塾と呼ばれるおしゃれな建物で、高校生が活き活きとマイプロジェクトを進めている様子を目の当たりにします。私たちのような視察組の大人にも慣れっこで、話しかけても気さくに応えてくれます。魅力化コーディネーターと呼ばれる職のスタッフがいて、町長をはじめとする自治体ぐるみの体制もできていました。羨ましい。でも、これは数千人の島だからできることであって、6万人の気仙沼ではできない。悔しいかな、これが私

卒業おめでとう

卒業おめでとうーーーー!!泣ける。 コロナ禍の高校時代。みんなは新しい時代の最初の高校生でした。 メディアは「学校行事が奪われた学生たち」と描くけど、気にする必要ゼロ。 みんなは新しい時代感覚を得ました。 そんなみんなが新しい時代を拓いていくと確信しています。 これからも挑戦していってね。

ウクライナ危機にこそ子どもと平和を探究したい

ある日、うちの風呂に世界地図が貼られてました。なんかの付録だったみたいです。5歳の息子が初めてじっくり見る世界地図に興味津々でして。湯船に浸かりながら、いろいろ聞いてきます。 「ロシアって大きいよね」 「そうそう。んでね、このウクライナっていう国が今大変なのよ」 「ウクライナ?どこ?あぁ、この国か」 1月のことだったと思います。ウクライナ情勢はすでにじわじわ悪化していました。 「なんで大変なの?」 「昔はロシアの仲間だったんだけどね。アメリカの仲間になるって言うから、ロシ

ソーシャルやくざが小さな政策起業家になった話

あなたは気仙沼のローカル政策起業家ですビビーっとAmazonの袋から出してパラパラ読んでたら、小説っぽくて読みやすいなぁ、と。そのままおもしろくて、一晩でほぼ読み終えてしまいました。読むのが遅い私にとって、2日で読了は驚異的です。それくらい共感と興奮がありました。 ちょうど1年前の2021年正月、お隣まちのNPO法人SETの三井俊介さんに「あなたは気仙沼のローカル政策起業家です」と言われます。政策起業家(Policy Entrepreneur)という言葉は耳にしたことがあり

中学生の職場体験をアップデートする

知らぬが仏中学校の総合学習の目玉コンテンツのひとつ、職場体験。地域の企業に2〜3日間入り込んで現場でお仕事を体験、はたらくとは?自分は将来何をしたい?と問うキャリア教育の最も代表的なプログラムです。 気仙沼では多くの中学校が2学年で職場体験を実施するのですが、僭越ながら私コロナ禍をきっかけに「職場体験に何とかメスを入れたい」と考えるようになりました。なんででしょう。 何年も中学校の総合学習を地域とつなぐ役割を担ってきましたが、職場体験はノータッチのカリキュラムでした。既存

10年たった今、中2に伝えたいこと

自分のキャリアをスケッチブック一冊にまとめて、中学2年生に熱く語ったことはありますか? まとめ方はもちろん自由です。 私たちはときどき気仙沼の中学校(高校でも)の授業でそんなことを企画してます。地域の大人たちを集めて。 普段はコーディネーターとして企画側にいる私も、2021年話者として挑戦することになりました。ちょうど東日本大震災から10年が経過する春のことです。 ずっと気仙沼・唐桑の人たちに、10年間私を育ててもらった恩を感じていました。その恩は返さずに、次の世代に

探究学習をはじめた気仙沼の中学生が夏休みに自主的に地域に飛び出した話

中学生が動く動く8月19日、夏休みも残すところわずか。久々の晴れ。1学期の総合学習で計画した探究プロジェクトを実行に移す中学生たち。 午前。唐桑中学校の3年生。 遊歩道オルレコースの撮影と浜清掃がしたい!と女子生徒5人が集まりました。海を崖の下に見ながらリアス式海岸の森の中をきゃっきゃと言いながら歩いていきます。 (私は後ろからついていくだけ。) (人より遥かに大きい津波石。) 続いて浜に到着。 たった10分くらいで彼女たちが持参したスーパーの袋はすぐいっぱいに。流

学びを通してチャレンジが連鎖するまちになってきたかもと思った瞬間

気仙沼で一緒に活動するなるさんからお誘いを受けました。「今度、高校生と外国人実習生とバスケするけど、来る?」 その男子高校生は高校の「課題研究」という授業で、外国人実習生たちとのコミュニケーションを深めようと探究しています。そこでスポーツに目をつけ、自らスポーツ交流会を企画した、というのです。 当日、PIER7という内湾エリアにある施設。バスケコート半面分、ガラス張りの屋内運動場にベトナムからの実習生6名がやってきました。高校生は3名。お互いどこかぎこちない感じで自己紹介

子どもの消費大好きマインドを創造大好きマインドに切り替えるには

先日とある中学校の探究学習のお手伝いに行きました。総合的な学習の時間を使って、1,2,3学年全校生徒が一斉にこれから取り組むテーマ設定を行っています。基本一人一つのテーマで「未来の気仙沼を支える」探究だったら何でもOK。 その学校にとって、今年度からの新たなチャレンジです。とてもわくわくする学習です。昨年度から先生たちが時間のない中準備をしてきました。 一人一つとなると実に多彩なテーマが出てきます。防災、環境、人口減少。みんな机の上にそれぞれiPadを出し慣れた手つきであ

校長先生がコロナ禍でタブーをクリアするとき

気仙沼の唐桑半島のおんちゃんたちのあるある言いたい。「おれらのころはプールなんてねがったんだ!浜さ行って泳がされたんだぞ!」言いがち。 はい、コロナ禍でプールが中止になった昨年。この小学校の校長先生(当時)が「プールがダメなんだったら海だ」と粋なことをおっしゃいまして、浜の漁師会を口説き「海に親しむ会」という全校生徒で浜に行く企画を実現させました。 今日7月12日はその2年目でした。今年も大盛況。浜の漁師会や公民館だけじゃなく、唐桑の漁協、消防、なんと気仙沼海上保安署まで

学校現場に2週間通ったら見つかったこと

ヒントは必ず現場にある気仙沼のある中学校に2週間通いました。朝から夕方まで。職員室に置いてもらって職場見学です。 毎朝、開通したばかりの気仙沼湾横断橋を渡ります。橋も含めて「復興道路」と呼ばれる三陸道です。この2週間、ルーティンのBGMが誕生しまして。 浦島のトンネルを抜けて、橋に差し掛かる瞬間。大島の緑と海の青緑、空の水色、白い尾を引く漁船と雲、深緑の山を背に所狭しと並ぶ気仙沼の市街地が右から左から目に飛び込んできます。その瞬間がサビに入るタイミングと被ったらもう鳥肌が