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40代フリーランスが直面する厳しい現実と迫りくる末路

最近、どうしても気になる情報がある


私は氷河期真っただ中の世代ではあるが、大手企業で11年勤めた後に退職し、半ばフリーランスのような状態で生きている。会社の代表もしているが、友人が株主であり、もしこの事業が失敗したら厳しい状態である。もちろん真剣に取り組んでいるが、このヒリヒリした状況の中で生きていくのをこれからもずっと続けていけるかどうか、たまに不安になる。

身の回りを見渡すと、大学時代の同級生の多くは大手の企業でサラリーマンをしていたり、起業したり。
しかし、フリーランスとして生計を立てている人も少なからずいる。

上記の調査によれば、フリーランスはコロナ以後500万人増え、2021年で1670万人にも達したそうだ。今後、日本企業の人事制度も変わっていくことは予想され、いわゆるジョブ型雇用も進むだろう。年功序列の変化、給与制度の変化で、若い人でも能力に応じたポジションと給与が獲得しやすくなるだろう。

しかし、一方でそういう取り組みにより『若い人を積極的に登用したせいで仕事の成果が会社全体で落ちている』ということも発生している。10数年以上の経験を経てこれからやっと中間管理職で能力を発揮しようとした人ではなく、数年の経験でいきなりマネージャーやディレクターを任された結果、下請け会社への指示が杜撰になったり不明確になったりして結果として成果物の品質が問題になっているという話を、実際某テレビ局の方から聞いている。
いっぽうで、そうやって「追いやられた」40代の方々は組織に不満を持ちつつも会社から離れることは多くはない。これまでの経験を無駄にしないためにも会社に残る方が人生トータルで見たらメリットは大きいのである。

ただ、会社を離れる人もいる。フリーランス、あるいは自営業として新しい生きる道を選ぶ人もいる。

しかし、これから先の人生は厳しい道のりだといわざるを得ない。

私はもう10年以上いろいろな仕事をして生き続けているが、年を取って感じるのは

・体力の低下
・記憶力の低下
・新しいツールを使いこなすまで時間がかかる
・新しい媒体(ショート動画)への理解、一部の新しいビジネスモデルの理解(WEB3.0、NFTなど)
・ラーメン二郎はもう麺半分で注文せざるを得ない

ということである。
最後の項目は置いておいて、特に問題なのは3つ目と4つ目である。デジタルネイティブの若い人たちについていけないことは日に日に多くなる。

40代フリーランスが現社会において稼ぐための武器は、それまで大企業の中などで培っていた経験や知見である。
しかし、それは大企業の中だからこそ輝くものであったりするし、なにより世界全体がこれから変化する中で、そもそも大企業の中で経験したこと自体を否定していくことも必要となる。世の中が新しいモデルを求めているのだから。

となると、40代フリーランスはますます不利になる。同じフリーランスでも、デジタルにより優れている30代以下のフリーランスの方が動きも早く、有能かもしれない。

私の周りでは、学生時代からベンチャーのインターンなどで能力を磨いた多くの若い人がいる。その人たちはその経験を活かし、いいキャリアを作っている。(まあ、たまに起業家として調子に乗った結果道を踏み外す人もいるが。
そういった、これからの世の中で求められる働き方によりフィットした若い人たちが次々と生まれている。

40代のフリーランス・自営業にこれからなる人は、会社の中で培った自分の武器で稼げるのはあと5年か10年、いやもっと短いかもしれないのだ。この厳しすぎる現実にいかにこれから立ち向かい、新たな稼ぐ力を伸ばせるかという課題に直面している。しかし、新たな力を伸ばそうにも、30代20代の若手の方が伸び具合も早い。仕事を発注する方も、極端な話同じくらいの力量なら若い人に頼もうとするだろう(委託料、センス、外国語の能力やその他もろもろ考慮して)。また、大企業は新しい世代を何とかつなぎ止め、世界で戦える企業へともう一度変貌しようとするだろう。勝ち残った会社は、ごく一部の40代以上と若い世代のスリムな会社になっている可能性が高いだろう。

では、これから40代フリーランスや自営業には生きる道が無いのか。

正直、無いと思う。

あるとすれば、以下の内容のいずれかを実践することだろう。

①現在70代あたりが握っている事業や「既得権益」をうまく引継ぎ、その事業を事業承継する。そのうえで、その事業を何とか伸ばすための努力を行っていく。または、その「既得権益」の胴元、胴元に近い存在となり、安定的な収益を獲得する。
※例えば、某有名和牛の輸出についてはほぼ1社が独占している。

②大きな会社にすり寄りつつ、その仕事の下請けをして何とか稼ぎ、その人脈を生かして同業他社の自営業社をこき使う。広告代理店を中心としたネットワークでよくみられる光景である。

③いち早く、新しいニーズのあるビジネスを構築する。ただ、大企業にいた経験や知見は往々にしてこういう「新しいニーズ」を発見する阻害要因になる。もしそのニーズに気が付いて会社を出て事業を起こしたとしても、ビジネス自体で独自性を強く打ち出すのは難しく、結局大手の参入や競合の参入を許し、収益性が上がらないか、飲み込まれる。
※ただ、その新しいサービスを大手企業にエグジットさせる前提で立ち上げるということは稀にある。

④どこかに再就職する

ただ、④であっても、たいていの会社では年齢がネックになる。そこで大切なのは、いかに自分の能力や経験が特殊であるかというようなプレゼンテーション能力も大事だが、おそらく本当に企業が求めているものは『企業のメンバーをまとめて、仕事を円滑に進め、時には愚痴を聞き、時には板挟みになり、やめそうな社員の兆候をいち早く発見したりする潤滑油の能力』や、『取引先に対して、何かあれば素直に頭を下げたり、何か不備があれば「適切な対応を即座に考慮し、判断する」ことができたり、営業先に粘り強く交渉する能力』だったりする。この辺の能力が、今の30代20代にはほとんどない(当たり前といえば当たり前なのだが)。そして、企業である以上、この2つの能力は非常に大切なのだが、この辺りを企業自体が再評価していけるかいけないかは、これから世界で戦うためにも実は大切だと思う。

先日、某スーパーの改革を実施した方の講演会を拝聴したが、その会社が組織改革に成功したのは、「メンバー間で理解しあい、主体性を持って動く。お客様への視点を忘れず、常によりよい考え方を模索する」ということだったが、ここまでできる企業は極めてまれで、たいていは企業の活動で大切なのは潤滑油となれる人材や営業で泥臭く動ける人材がいることに因って、成果を生み出すことができるのだ。

経験は武器になるが、若い人と同じ武器では戦えない。何が自分でできるのかを常に考え、衰えを感じる肉体と脳みそを酷使しつつ死ぬまでチャレンジし続ける。悲しいが、これを怠ると『自分が望まない低賃金の勤め人』にならざるを得ないという末路がある。それでも再就職できればましな方、という厳しい時代である。


ちなみに私は潤滑油も営業もやりたくない派ではあるので、①②③のハイブリッドと独特な武器(食と魚と、様々な『ビジネスモデルの本質』を見抜く能力とマーケティングセンス)であと10年乗り切り、大学で後進の育成への道に入れるよう人生設計をしている。もちろん上手くいくなんて保証はないが。

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