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20世紀末の福岡市を舞台としたADVゲーム小説「福岡ファイト!」

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20世紀末の福岡市を舞台としたADVゲーム小説「福岡ファイト!」

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  • 福岡ファイト!

    世紀末の福岡市を舞台とした仕組まれた物語「福岡ファイト!」

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福岡ファイト!「プロローグ」

『アタシはいまから語ろうと思う。  福岡市を守って人知れず戦った、11人のフツーの男たちの物語を。  彼らは、ヒーローというには、ちょっと無理がある、頼りない、でもすごく優しい男たちだった。 『敵』は悪意。ひとの心に棲まう闇。  アタシたちの武器はアリバ。心の力、アリバ。  アタシたちは、アタシたちの中にある、勇気を、愛を、信念を、夢を、希望を、優しさを、正義を、努力を、矜持を信じて、大切に育んで、力に変えて、悪意と戦った。  そしてもちろん、友情を信じて。 「

    • 幕間11 カムラの見たもの

       クリハラ10番勝負とかいう、くそメンドくさいのが、やっと終わった……。  いきなり撃たれたクリハラも結局無事で、ハヤトさんやナミさん、シンジローや他の仲間たちも、和気あいあいとしたムードになっている。  そんな雰囲気に嫌気がさし、俺は、高宮八幡宮の裏手にひとりポツンと居た……。  ヤギハラに続いて、クリハラまで強くなってしまった……。あいつらはこっち側だと思っていたのに……。 「………………………………」 「カムラー」 「ば、ばっか! いきなり話しかけるなっつー

      • 11-8 クリハラ10番勝負!8

        「く、クリハラアアアアアァァァァァーーーーーーーーー!!!」  コミネさんが絶叫する。  心臓のあたりに灼けた鉄の棒をねじ込まれたみたいだ……。  致命傷だ、と自分でもわかった。  凄惨にいじめられた中学時代、おれは何度も何度も死にたいと思った。だけど、実際にその瞬間が訪れたとき、おれは心の底から思った……。  死にたく……ない。 「……おねがいっ……間に合って……!」  必死な形相のナミさんが、おれの傷口に手のひらをかざしている。  ぼんやりとだが、意識

        • 11-7 クリハラ10番勝負!7

           不敵な笑みを浮かべ、悠然とおれを見つめるハヤトさん……。  そのまわりに、数人の人影が駆け寄った。 「は、ハヤトー」 「ハヤトさん……」 「あ、アニチぃ。大丈夫なのかよお……」 「ハヤト……クリハラくんのアリバはどんどん高まってる……このままだと、真のアリバに目覚めるよ」 「……ヘッ。そいつは結構じゃねーか」 「聞いて! ボクのアリバが戻りつつある! つまり、ハヤトに宿っているチカラはもう消えはじめて……」  ナミさんが鋭い声を出すが、そのあとは小声で聞

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        福岡ファイト!「プロローグ」

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        • 福岡ファイト!
          85本

        記事

          11-6 クリハラ10番勝負!6

           仲間全員とのガチ・スパーリング『クリハラ10番勝負』……  五人と戦い、0勝5敗と全敗だ……。おまけにここから先は、クリハラ・ランキングAランク以上の強者との戦い……。 「クリハラくん。いい調子だよ。クリハラくんのアリバ、どんどん高まってきてる」  インターバル。回復ドリンクを差し出してくれながら、ナミさんが言った。 「……いい調子? だっておれ、無様に負けてばかりで……」 「負けて得られるものだってきっとある。失礼な言い方に聞こえたらゴメン。でも、とくにクリ

          11-6 クリハラ10番勝負!6

          11-5 クリハラ10番勝負!5

           ―― 福岡ファイターフルメンバーに、ナミさんササハラさんを加えた総勢13人が、高宮八幡宮の境内に集まっていた。 「……戦う順はクリハラがそのつど指定。そして、審判はこのコミネがつとめさせてもらう。以上だ」 「……………………」  おれは、コミネさんの説明を遠くに聞きながら、もくもくとアップする。  いよいよだ。おれと仲間全員との、ガチンコスパーリング『クリハラ10番勝負』……。 「クリハラ……」  目を上げると心配そうなシンジローが居た。 「……おまえ、い

          11-5 クリハラ10番勝負!5

          11-4 クリハラ10番勝負!4

           夏の鴻ノ巣山の朝だ。  空気は清々しいが、あいにく、朝の散歩としゃれこむ気分にはならないぜ……。 「……なあ、ナミ。アイツ、本当に来るのか?」 「……わかんない。一応、打診はしてみたけど、彼の行動は、教団上層部でもはかりかねているから……」  クリハラの野郎が突然【クリハラ10番勝負】とか言い出した翌日。  俺とナミは、鴻ノ巣山に来ていた。どうしても、会わなければならないヤツが居るからだ。 「……ったく。だいたい、アイツ、なにモンなんだよ」 「………………

          11-4 クリハラ10番勝負!4

          11-3 クリハラ10番勝負!3

           血のように赤い空。  影絵のような黒い木。  あちこちで反響する嘲笑。  火のついたライターが、クリハラ・メモに近づけられていく……。 『や、やめろっ!』 『その口のきき方はなんだって聞いてんだろおがよォ? やめて欲しかったら、やめてくださいだろうがっ』 『や、やめて……ください……』 『チッ……なさけねーヤツ』 「やめて欲しかったら、これに顔つけて土下座しろや」  犬のフンを指差し、男がおれに命じた。  おれは、悔しさと情けなさで嗚咽しながら、言わ

          11-3 クリハラ10番勝負!3

          11-2 クリハラ10番勝負!2

            ……また夢を見ていた。  今度は夢だとすぐわかった。その邪悪な女の顔を見て……。 「……クリハラクン。話ってなあに? こんなところに呼び出したりして……」 「は、ハズキさん!」  ……やめろクリハラ。それ以上話すな! その女は、おまえが思っていたような女じゃないんだ!  ……今のおれはそう叫ぶが、中学生のおれに、その叫びは聞こえない。 「は、ハズキさんも、ちっ、筑紫丘高校に、受験するって聞いて、その…………いっしょに、勉強とかできたら……いいな、って思っ

          11-2 クリハラ10番勝負!2

          11-1 クリハラ10番勝負!1

          ……また中学時代の悪夢を見た。久しぶりにあいつの顔を見たせいだろう。  おれをさんざんイジメたあの男……。  母子家庭の冴えない中学生から、いろいろなものを奪った恵まれた男……。 『クリリンよお』  いじめグループのリーダーであるその男は邪悪な笑顔で言った。 『いつもお前の弁当捨てちまって悪ィと思ってさ。今日は俺が特別に弁当作ってきてやったんだ。ホレ』  教室のおれの机の上に、異臭を放つ汚物が置かれる。  クラス中に、好奇と嫌悪と嘲笑が走る。 『ほら。食え

          11-1 クリハラ10番勝負!1

          幕間10 花火

          「はい」 「…………はいって、母さん……なにこれ?」  サユリとのゲーム騒動が終わった夜。  家に帰るなり、意味深な笑顔で近づいてきた母さんが、俺の手にそっと五千円札を握らせてきた。 「なにって、軍資金よ。ぐ・ん・し・き・ん」 「軍資金? なんの?」 「今日は大池公園の花火大会でしょ? ナミちゃんや高校生の子たちにゴチソウしてあげなさいよ」 「あ。今日だっけ……」  福岡市の晩夏の風物詩【大池公園夏祭り】。毎年必ず行くんだが、今年は悪意との戦いに明け暮れて

          幕間10 花火

          10-7 決着

           ……ずっと、強いって、なにかわからなかった。  そして憧れていた。  俺から見て強いと感じる人間に惹かれたのも、それが理由かもしれない。  ハヤト。  ササハラ。  そして……サユリ。  初めてサユリと出会ったときのことは鮮烈に覚えている。  二つ年下のサユリは、高校生の頃からアーチェリーでならし、東西大学に進学が決まったあとも、期待のホープとして部に迎えられた。 「悪いけど、自分、馴れ合うつもりないんで。ていうか、今のままじゃ、ワタシも、みなさんも、東

          10-7 決着

          10-6 異形

          YANO 『お、俺がやるのかよお……』 「そんな話、勝手に……!」 「開始前に確認したはずだ。プレイアブルキャラクターは福岡ファイターと。ヤノもれっきとした福岡ファイター。参加資格がないとは言わせん。そして、私は参謀として好きにしていいと言われた。だから、操作をやらせてもらう……ルールにはまったく抵触していないと思うが?」 「そんなのズルい! 卑怯ものっ!」 「いいことを教えてやろう。ズルい卑怯は敗者のタワゴトだ」 「くううううううう! ハラ立つ!!」  なんだ

          10-6 異形

          10-5 逆転

           ―― サユリの挑戦状【QUEEN OF FIGHTER 9X】――  激闘の末、残る味方は電波のヨシオただひとり……  だが、敵は、まだ四人も残っている!  これはもう、ダメかもしれん……。  弱気にササハラをうかがうと、口元に不敵な笑みを浮かべていた。 「ササハラ、おまえまだあきらめてないのかよお……?」 「諦める? まさか。ようやく盛り上がってきたところだろう」  ……まったく。コイツといい、ハヤトといい、こういう局面で絶対に勝負をあきらめない連中のメンタ

          10-5 逆転

          10-4 劣勢

           ハヤトの解毒剤を賭けたリアル格闘ゲーム……【QUEEN OF FIGHTER 9X】……。  サユリの操る悪意ファイターは二人倒したものの、福岡ファイターもすでに四人やられ、旗色は悪い……。  そして、炎属性であるシンジローを選択したあと、サユリが出してきたのは、見るからに強そうな氷属性の悪意だった。 「ヤノ……相手の悪意だが、実は見覚えがある」   「ええ?」 「私の筑紫丘高校の後輩で、直接の面識はないが、有名な生徒だ。10年にひとりと言われる逸材の天才ボクサ

          10-4 劣勢

          10-3 激闘

          「げ、ゲームだとお?」 「そう! 悪意になって、故障していた腕は治った! あとはヤノくん、アナタとの関係の決着だけ。だから、ワタシとアナタで、勝負がしたい!」  そういえば、アーチェリー以外でたったひとつ、サユリが好きなものがあった。  対戦格闘ゲーム……。 「どういうゲームだ?」  ニヤリと笑ったサユリが指を鳴らすと、地震のような地響きがして、動物園の敷地内に、とつぜん妙な舞台がせり上がってきた……!  それは円形の闘技場。まるでジャンプの大人気漫画に出てく

          10-3 激闘