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10-3 激闘

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キャラ (4)

「げ、ゲームだとお?」


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「そう! 悪意になって、故障していた腕は治った! あとはヤノくん、アナタとの関係の決着だけ。だから、ワタシとアナタで、勝負がしたい!」


 そういえば、アーチェリー以外でたったひとつ、サユリが好きなものがあった。

 対戦格闘ゲーム……。


キャラ (11)

「どういうゲームだ?」


 ニヤリと笑ったサユリが指を鳴らすと、地震のような地響きがして、動物園の敷地内に、とつぜん妙な舞台がせり上がってきた……!

 それは円形の闘技場。まるでジャンプの大人気漫画に出てくる『天下一ナントカ』みたいな舞台だった!

 しかも、その端には、ゲーセンの筐体のようなコントロールレバー付きのモニターが二台……!


e_47_boss_サユリ

「ルールはすごくかんたん! これを福岡ファイターに付けて!」


 サユリが投げてよこしたのは、鬼のツノのような二本のアンテナが付いたヘッドギア……?

「その装置を使えば、ファイターをコンソールで自在に操作できる! ワタシは悪意のファイターを操作する! ヤノくん、あなたは福岡ファイターを操作する! リアル格闘ゲームってわけ! 面白そうでしょ?」


ササー

「……なるほどな。そしてその賞品が、ハヤトの解毒剤ということか?」


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「ご明察! どうする? 参加は強制じゃないけど」


キャラ (4)

「……そんなの……急に言われてもよお……」


メインキャラ (12)

「ヤノさん……」


「ナミ……すまん……俺のせいでこんなことになってしまってよお」

「……教団がらみなら、ヤノさんだけの責任じゃ……」


キャラ (11)

「……ヤノ。とにかく今はサユリの誘いに乗ろう。悪意とはいえ、元の性格的本質は変わらんはず。サユリは優れたアスリートだったと聞いているが」


「……そうだ。サユリは、勝負や競技にはいつだって真剣だったぞお」

「ならば、ゲームのルールは遵守するはず。勝てば問題ない」

「みんなはいいのかよお……」

 福岡ファイターを見回す。


キャラ (3)

「余裕っス! やあってやるぜええええ! アニチを助けるんだ!」


キャラ (5)

「……このコミネ、戦友《とも》のためなら、いつでも力を貸そう……。ヤノよ! 俺の正義、好きに使え!」


キャラ (7)

「ムホホホホホホ!! 格闘となれば、ついにこの天才の本領発揮ですねえ! いきましょうヤノさん!」


キャラ (8)

「やっちゃるぜーー! 教団はオレの敵! 毒ってやり方が特に許せんっ」


キャラ (6)

「友達のためならなんだってやるよー。ヤノー操作まかせたー」


キャラ (17)

「ハヤトさんを助けないといけませんな! 俺の電波ちゃん、ぞんぶんに使いますなっ」


キャラ (18)

「拙者の剣はいつでも覚悟完了でゴザル……!」


キャラ (192)

「俺はもちろん不参加で」


キャラ (18)

「そそそ! カムラの……え? カムラ、この流れで参加拒否!?」


キャラ (4)

「よおし。やってやるぞお!」


 俺はサユリがすでにスタンバイしている格闘ゲーム筐体に座った。


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「そおこなくっちゃ! 操作はヤノくん! プレイヤーキャラは、残りの福岡ファイター! 総勝ち抜き戦!」


キャラ (11)

「私にも参謀で参加させてもらえないか?」


「……ふうん。軍師サマの登場? 面白そうね! 正直、ヤノくんだけだと物足りなさそうだし、好きなようにしたら!」

 サユリが余裕しゃくしゃくに言う。

 ……そのとおりだった。付き合ってるころ、俺たちは何度も『ストZERO2』や『K・O・F』で対戦したが、圧倒的に俺のほうが負けていた……。

 屈指のアスリートであるサユリは、格闘ゲームでも部類の強さを誇る。
しかも初めてやるゲーム……不器用な俺で、この勝負、勝てるのか……。

「もう一度ルールをおさらいしたい」

 ササハラが言った。


ササー

「……プレイアブルキャラクターは、福岡ファイターのメンバー。ラストひとりまでの総勝ち抜き戦。そして私は、参謀としてまあ好きにやらせてもらう……これでいいな?」


e_47_boss_サユリ

「……まどろっこしいね! いいってさっき言った!」


「…………ただの確認だ」

「さあ行くよ! ゲームスタート!」


~ QUEEN OF FIGHTER 9X ~

Here Comes a New Challenger!!



~ QUEEN OF FIGHTER 9X ~

Here Comes a New Challenger!!


 サユリの叫びと、軽快な効果音と共に、ゲームは始まった……!


Please Character Select!


 ゲーセンでお馴染みの筐体モニターに、これまたどこかで見たことがあるようなキャラセレクト画面。

 だが、そこに表示されているのは、デフォルメされた福岡ファイター!


キャラ (8)

キャラ (5)

キャラ (1)

キャラ (3)

キャラ (4)

キャラ (6)

キャラ (7)

キャラ (2)

キャラ (10)


 少し離れた筐体の前で、サユリが血気盛んに叫ぶ!


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「さあ。最初のキャラクターは誰!?」


キャラ (11)

「ヤノ……お前のモトカノはなかなかシタタカだな」


キャラ (16)

「え? どういうことだよお」


「このゲーム、圧倒的に私たちが不利だ。アリバにも悪意にも【三すくみの属性】がある。ジャイケンのようなものだ。そして、先に持ち札をさらすのが我々。これでは後出しジャイケンされるようなもの。どこかでうまく出し抜かねば、そのまま勝負を持っていかれるぞ」

「……なるほど」

「よし。先鋒はコイツでいこう」

 そしてササハラが選んだのは……


YAGIHARA

キャラ (1)

『御意ッ!』


e_47_boss_サユリ

「へえ! いきなり最強クラスのお出まし? さすがは軍師サマ、大胆不敵な策だね!」


 たしかに、この思いきりのよさは、ぜったい俺にはなかった……。

 目の前の画面に、まさしく格ゲーそのものの、必殺技の入力コマンドが表示された。


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レベル1【夜羽の剣『水の太刀』】 ←→←↓→ パンチ

レベル2【夜羽の剣『風の太刀』】 ←↙↓→↗↓ パンチ

レベル3【夜羽の剣『舞の太刀』】 ↓↑←→←→←↙↓→ パンチ


 な! な、な、なんだよお! この複雑怪奇なコマンド!!

 サユリは、風属性に対して有利な炎の悪意を出してきた。ササハラの読み通りだ……。


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 武闘場では、レバーとボタンで俺が操作する通りにヤギハラが動く。


ササー

「ヤノ。落ち着いて操作しろ」


 そうは言うが、必殺技の入力が難しいうえ、リーチが長く、動きにクセがあるヤギハラは、操作が難しくて……。


pヤギハラサムライ

『む、ムウ……身体が自由に動かぬ……! うまく操作してくだされーーー』


 戸惑っているうちに、サユリの使う悪意にヤギハラは倒された……。


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YAGIHARA Lose!

キャラ (1)

『……む、無念……』


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「アハハ! せっかくの強キャラも、使いこなせないと意味ないよ!」


キャラ (4)

「や、ヤギハラ……すまん」


 ……こんなとき、ハヤトだったら……。

 俺は、ナミが介抱しているハヤトをチラリと見た。


ハヤト立ち絵


 天性の勘のよさで、初めてのゲームでもそつなくこなせるし、アイツにはなんというか、ここ一番を安心して託せる勝負強さがある……。


ササー

「ヤノ。切り替えていけ。次のキャラは……コイツだ」


KAWAHARA

キャラ (2)

『え? おれっすか? だりぃー』


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「その子も強キャラだってね! 見た目にダマされると痛い目みそう!」


 サユリが楽しげに言った。テンションが高い。サユリって女は根っからの競技好き、勝負好きなのだ……。


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レベル1 【寒い言葉】 ↓→ パンチ

レベル2 【脱兎】 ←少し溜め→ パンチ


 ……ホッ。カワハラはヤギハラほど複雑なコマンドじゃなかった……。

 敵が炎属性だったこともあり、寒い言葉を連発していたらとりあえず倒せた……。

 カワハラとは同じ氷属性だが、こんなに使い勝手がよければ、強くて当然だぞお。コイツももっとヤル気出せばいいだろうに……。


e_47_boss_サユリ

「やるね! ま、相性的にしょうがないか! じゃあ次!」


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 サユリが出してきたのは、風属性! しかも、対カワハラを意識してか、スピードタイプだった。


ササー

「……ヤノ。敵のスピードは早い。脱兎をうまく使え」


pヤノ

「お、おう……」


 だが、レベル2脱兎を使った途端、カワハラの操作がいきなり難しくなった! 速すぎてうまくコントロールがきかない……。

 ただでさえ打たれ弱いカワハラは、クリーンヒットを数発もらい、倒れた……。


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KAWAHARA Lose!

キャラ (2)

『痛って! マジ、痛って! ……逃げりゃよかった……!』


pヤノ

「くうう。すまん……カワハラ」


e_47_boss_サユリ

「アハハ! せっかくの高性能機も、乗りこなせなきゃ事故るってこと!」


ササー

「……次だ」


SHIMOKAWA

キャラ (5)

『響けっ! 僕の歌!』


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「カワイコちゃんのお出ましだね! けど、油断はしない! 真のアリバに目覚めた炎使いらしいからね!」


 シモカワが真のアリバに目覚めたことに関しては、仲間内でもよくわかっていない……。サユリ、おまえどこまで知ってるんだよお……。


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レベル1【フレイムピック】 ダッシュ中に ↓→ パンチ

レベル2【Over】 ↓ パンチ ← パンチ → キック ↓ キック

レベル3【名もなき詩】 パンチ全押しで10秒経過後、弱・中・強パンチをリズミカルに三回


……フレイムピックは単純だが、また一段と独特なコマンドだ……。


ササー

「ヤノ。フレイムピックを軸に、削っていけ」


キャラ (4)

「わ、わかってはいるんだけどよお……」


 それでも、せっかくの大技を使おうと悪戦苦闘する。

 だが、シモカワの技はリズム感が必要で、不発が多く、その隙を一気に攻め込まれてしまった……。


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SHIMOKAWA Lose !

キャラ (5)

『くそっ! ちゃんと使ってくださいよヤノさん!』



「し、シモカワ……すまん……」


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「ぜんぜんなってない! 攻めが強いキャラなのに、リズムに乗れないと宝の持ちぐされだよ!」


 サユリがせせら笑う。シモカワは攻撃力は強いが打たれ弱い。一気に決めてしまわなくちゃダメだった……。


キャラ (4)

「……く、くう。そのとおりだよお……」


キャラ (11)

「……ここらで流れを変えたいところだな」


 ササハラが指名した次のキャラは……


KAMURA

キャラ (3)

『げえええ! 俺? 裏切っちゃおうかな……』



e_47_boss_サユリ

「アハハ! 出た出た! 裏切りの鼻眼鏡! 全キャラ使わないといけないのが、総勝ち抜きのツラいとこだね!」


 た、たしかに……カムラとか、どう使えばいいんだよお。


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レベル1【裏切り】 パンチボタン150回連打

レベル2【コーヒー】 ↓ 溜め ↑ パンチ

レベル3【悪魔のささやき】 キックボタン200回連打


 な、なんだ、このめちゃくちゃなコマンドは! パンチボタン150回連打? だからカムラの裏切りや不意討ちは、ぜんぜん成功しないのかよお!


キャラ (11)

「ヤノ。私の言うとおりに動け。カムラの本当の使い方を教えてやる」


 ……そうは言っても、カムラでどう戦えば……。

 と思ったが、ササハラの指示した作戦は、意外なものだった。

 とにかく、ひたすらガードする。

 そして、ダメージを食らったら、すぐにコーヒーで回復。

 カムラは圧倒的にしぶとく、しかも自前で回復できてしまうため、ぜんぜんダメージを食らわず、試合はこう着した……。


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「なにそのブサイクな『逃げ』戦方! そういうの、やってて面白い!?」


 サユリがヒステリックに叫ぶ。

 しかし、ササハラの狙いは……時間切れのドローだった!


DRAW GAME !

キャラ (3)

『ひいいいい……なんで俺がこんな目に……ハヤトさんめっ』


 ドローの場合は、相手ともども敗退になる。さすがはササハラ……まともに戦っていたら、たぶん無駄に一敗していたぞお……。


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「ふん! つまんないことして! それでも、こっちは二人負け、そっちはもう四人失ったよ!」


ササー (2)

「だが、これで多少は流れも変わるかもしれん」


 ササハラが次のキャラを指定する。


SHINJIRO!

キャラ (8)

『いくぜオラアアアア!』


 シンジローかっ。

 な、なんでひとりだけ名前にビックリマークがついてるかはともかく、なんとなくキャライメージ的に、素直で使いやすそうな気はするぞお……。


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レベル1【熱血パンチ】↓→ パンチ連打

レベル2【熱血】 パンチボタン10回連打で一段階 30回で二段階 50回で熱血モード発動

レベル3【バーニング・シンジロー】←↙↓→→↓←→→→ パンチ連打

残り体力20%以下になると、隠しコマンドにより【バーニング発動】


 か、隠しコマンド!? それどうやるんだよお……。

 しかもほとんどがパンチ連打? この疲れるコマンドはいったいなんだよお……。


キャラ (11)

「シンジローは攻撃数値が不安定だ。パンチ連打でそれを補え」


キャラ (16)

「く。せわしいキャラだぞお……」


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「……ハヤトさんの弟か」


 サユリが冷たい目で言った。

「また、ワタシが嫌いな、暑苦しそうなのが出てきたね。……じゃあちょっと早いけど、こっちも切り札出すよ!」


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 サユリが出してきたのは、シンジローの苦手な氷属性!

 しかも、なんだか強キャラっぽい面構えだ……。


ササー

「……コイツはマズイかもしれん」


 ササハラが聞きたくない弱音を吐いた。

―― このゲーム、圧倒的に私たちが不利だ ――

……ササハラがそう言った意味が、ジワジワ俺にもわかりつつある……。


残メンバー

キャラ (8)

キャラ (6)

キャラ (7)

キャラ (4)

キャラ (10)


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