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20世紀末の福岡市を舞台としたADVゲーム小説「福岡ファイト!」

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  • 福岡ファイト!

    世紀末の福岡市を舞台とした仕組まれた物語「福岡ファイト!」

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福岡ファイト!「プロローグ」

『アタシはいまから語ろうと思う。  福岡市を守って人知れず戦った、11人のフツーの男たちの物語を。  彼らは、ヒーローというには、ちょっと無理がある、頼りない、…

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幕間11 カムラの見たもの

 クリハラ10番勝負とかいう、くそメンドくさいのが、やっと終わった……。  いきなり撃たれたクリハラも結局無事で、ハヤトさんやナミさん、シンジローや他の仲間たち…

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11-8 クリハラ10番勝負!8

「く、クリハラアアアアアァァァァァーーーーーーーーー!!!」  コミネさんが絶叫する。  心臓のあたりに灼けた鉄の棒をねじ込まれたみたいだ……。  致命傷だ、…

4

11-7 クリハラ10番勝負!7

 不敵な笑みを浮かべ、悠然とおれを見つめるハヤトさん……。  そのまわりに、数人の人影が駆け寄った。 「は、ハヤトー」 「ハヤトさん……」 「あ、アニチぃ。大…

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11-6 クリハラ10番勝負!6

 仲間全員とのガチ・スパーリング『クリハラ10番勝負』……  五人と戦い、0勝5敗と全敗だ……。おまけにここから先は、クリハラ・ランキングAランク以上の強者と…

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11-5 クリハラ10番勝負!5

 ―― 福岡ファイターフルメンバーに、ナミさんササハラさんを加えた総勢13人が、高宮八幡宮の境内に集まっていた。 「……戦う順はクリハラがそのつど指定。そして…

2

11-4 クリハラ10番勝負!4

 夏の鴻ノ巣山の朝だ。  空気は清々しいが、あいにく、朝の散歩としゃれこむ気分にはならないぜ……。 「……なあ、ナミ。アイツ、本当に来るのか?」 「……わかん…

1

11-3 クリハラ10番勝負!3

 血のように赤い空。  影絵のような黒い木。  あちこちで反響する嘲笑。  火のついたライターが、クリハラ・メモに近づけられていく……。 『や、やめろっ!』 …

1

11-2 クリハラ10番勝負!2

  ……また夢を見ていた。  今度は夢だとすぐわかった。その邪悪な女の顔を見て……。 「……クリハラクン。話ってなあに? こんなところに呼び出したりして……」…

4

11-1 クリハラ10番勝負!1

……また中学時代の悪夢を見た。久しぶりにあいつの顔を見たせいだろう。  おれをさんざんイジメたあの男……。  母子家庭の冴えない中学生から、いろいろなものを奪…

2

幕間10 花火

「はい」 「…………はいって、母さん……なにこれ?」  サユリとのゲーム騒動が終わった夜。  家に帰るなり、意味深な笑顔で近づいてきた母さんが、俺の手にそっと…

4

10-7 決着

 ……ずっと、強いって、なにかわからなかった。  そして憧れていた。  俺から見て強いと感じる人間に惹かれたのも、それが理由かもしれない。  ハヤト。  ササ…

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10-6 異形

YANO 『お、俺がやるのかよお……』 「そんな話、勝手に……!」 「開始前に確認したはずだ。プレイアブルキャラクターは福岡ファイターと。ヤノもれっきとした福岡…

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10-5 逆転

 ―― サユリの挑戦状【QUEEN OF FIGHTER 9X】――  激闘の末、残る味方は電波のヨシオただひとり……  だが、敵は、まだ四人も残っている!  これはもう、ダメか…

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10-4 劣勢

 ハヤトの解毒剤を賭けたリアル格闘ゲーム……【QUEEN OF FIGHTER 9X】……。  サユリの操る悪意ファイターは二人倒したものの、福岡ファイターもすでに四人やられ、旗…

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10-3 激闘

「げ、ゲームだとお?」 「そう! 悪意になって、故障していた腕は治った! あとはヤノくん、アナタとの関係の決着だけ。だから、ワタシとアナタで、勝負がしたい!」…

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福岡ファイト!「プロローグ」

福岡ファイト!「プロローグ」

『アタシはいまから語ろうと思う。

 福岡市を守って人知れず戦った、11人のフツーの男たちの物語を。

 彼らは、ヒーローというには、ちょっと無理がある、頼りない、でもすごく優しい男たちだった。

『敵』は悪意。ひとの心に棲まう闇。

 アタシたちの武器はアリバ。心の力、アリバ。

 アタシたちは、アタシたちの中にある、勇気を、愛を、信念を、夢を、希望を、優しさを、正義を、努力を、矜持を信じて、大

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幕間11 カムラの見たもの

幕間11 カムラの見たもの

 クリハラ10番勝負とかいう、くそメンドくさいのが、やっと終わった……。

 いきなり撃たれたクリハラも結局無事で、ハヤトさんやナミさん、シンジローや他の仲間たちも、和気あいあいとしたムードになっている。

 そんな雰囲気に嫌気がさし、俺は、高宮八幡宮の裏手にひとりポツンと居た……。

 ヤギハラに続いて、クリハラまで強くなってしまった……。あいつらはこっち側だと思っていたのに……。

「…………

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11-8 クリハラ10番勝負!8

11-8 クリハラ10番勝負!8



「く、クリハラアアアアアァァァァァーーーーーーーーー!!!」

 コミネさんが絶叫する。

 心臓のあたりに灼けた鉄の棒をねじ込まれたみたいだ……。

 致命傷だ、と自分でもわかった。

 凄惨にいじめられた中学時代、おれは何度も何度も死にたいと思った。だけど、実際にその瞬間が訪れたとき、おれは心の底から思った……。

 死にたく……ない。

「……おねがいっ……間に合って……!」

 必死な

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11-7 クリハラ10番勝負!7

11-7 クリハラ10番勝負!7



 不敵な笑みを浮かべ、悠然とおれを見つめるハヤトさん……。

 そのまわりに、数人の人影が駆け寄った。

「は、ハヤトー」

「ハヤトさん……」

「あ、アニチぃ。大丈夫なのかよお……」

「ハヤト……クリハラくんのアリバはどんどん高まってる……このままだと、真のアリバに目覚めるよ」

「……ヘッ。そいつは結構じゃねーか」

「聞いて! ボクのアリバが戻りつつある! つまり、ハヤトに宿っている

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11-6 クリハラ10番勝負!6

11-6 クリハラ10番勝負!6



 仲間全員とのガチ・スパーリング『クリハラ10番勝負』……

 五人と戦い、0勝5敗と全敗だ……。おまけにここから先は、クリハラ・ランキングAランク以上の強者との戦い……。

「クリハラくん。いい調子だよ。クリハラくんのアリバ、どんどん高まってきてる」

 インターバル。回復ドリンクを差し出してくれながら、ナミさんが言った。

「……いい調子? だっておれ、無様に負けてばかりで……」

「負け

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11-5 クリハラ10番勝負!5

11-5 クリハラ10番勝負!5



 ―― 福岡ファイターフルメンバーに、ナミさんササハラさんを加えた総勢13人が、高宮八幡宮の境内に集まっていた。

「……戦う順はクリハラがそのつど指定。そして、審判はこのコミネがつとめさせてもらう。以上だ」

「……………………」

 おれは、コミネさんの説明を遠くに聞きながら、もくもくとアップする。

 いよいよだ。おれと仲間全員との、ガチンコスパーリング『クリハラ10番勝負』……。

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11-4 クリハラ10番勝負!4

11-4 クリハラ10番勝負!4



 夏の鴻ノ巣山の朝だ。

 空気は清々しいが、あいにく、朝の散歩としゃれこむ気分にはならないぜ……。

「……なあ、ナミ。アイツ、本当に来るのか?」

「……わかんない。一応、打診はしてみたけど、彼の行動は、教団上層部でもはかりかねているから……」

 クリハラの野郎が突然【クリハラ10番勝負】とか言い出した翌日。

 俺とナミは、鴻ノ巣山に来ていた。どうしても、会わなければならないヤツが居る

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11-3 クリハラ10番勝負!3

11-3 クリハラ10番勝負!3



 血のように赤い空。

 影絵のような黒い木。

 あちこちで反響する嘲笑。

 火のついたライターが、クリハラ・メモに近づけられていく……。

『や、やめろっ!』

『その口のきき方はなんだって聞いてんだろおがよォ? やめて欲しかったら、やめてくださいだろうがっ』

『や、やめて……ください……』

『チッ……なさけねーヤツ』

「やめて欲しかったら、これに顔つけて土下座しろや」

 犬のフ

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11-2 クリハラ10番勝負!2

11-2 クリハラ10番勝負!2



 

……また夢を見ていた。

 今度は夢だとすぐわかった。その邪悪な女の顔を見て……。

「……クリハラクン。話ってなあに? こんなところに呼び出したりして……」

「は、ハズキさん!」

 ……やめろクリハラ。それ以上話すな! その女は、おまえが思っていたような女じゃないんだ!

 ……今のおれはそう叫ぶが、中学生のおれに、その叫びは聞こえない。

「は、ハズキさんも、ちっ、筑紫丘高校に、

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11-1 クリハラ10番勝負!1

11-1 クリハラ10番勝負!1



……また中学時代の悪夢を見た。久しぶりにあいつの顔を見たせいだろう。

 おれをさんざんイジメたあの男……。

 母子家庭の冴えない中学生から、いろいろなものを奪った恵まれた男……。

『クリリンよお』

 いじめグループのリーダーであるその男は邪悪な笑顔で言った。

『いつもお前の弁当捨てちまって悪ィと思ってさ。今日は俺が特別に弁当作ってきてやったんだ。ホレ』

 教室のおれの机の上に、異臭

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幕間10 花火

幕間10 花火



「はい」

「…………はいって、母さん……なにこれ?」

 サユリとのゲーム騒動が終わった夜。

 家に帰るなり、意味深な笑顔で近づいてきた母さんが、俺の手にそっと五千円札を握らせてきた。

「なにって、軍資金よ。ぐ・ん・し・き・ん」

「軍資金? なんの?」

「今日は大池公園の花火大会でしょ? ナミちゃんや高校生の子たちにゴチソウしてあげなさいよ」

「あ。今日だっけ……」

 福岡市の晩

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10-7 決着

10-7 決着



 ……ずっと、強いって、なにかわからなかった。

 そして憧れていた。

 俺から見て強いと感じる人間に惹かれたのも、それが理由かもしれない。

 ハヤト。

 ササハラ。

 そして……サユリ。

 初めてサユリと出会ったときのことは鮮烈に覚えている。

 二つ年下のサユリは、高校生の頃からアーチェリーでならし、東西大学に進学が決まったあとも、期待のホープとして部に迎えられた。

「悪いけど

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10-6 異形

10-6 異形

YANO

『お、俺がやるのかよお……』

「そんな話、勝手に……!」

「開始前に確認したはずだ。プレイアブルキャラクターは福岡ファイターと。ヤノもれっきとした福岡ファイター。参加資格がないとは言わせん。そして、私は参謀として好きにしていいと言われた。だから、操作をやらせてもらう……ルールにはまったく抵触していないと思うが?」

「そんなのズルい! 卑怯ものっ!」

「いいことを教えてやろう。ズ

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10-5 逆転

10-5 逆転

 ―― サユリの挑戦状【QUEEN OF FIGHTER 9X】――

 激闘の末、残る味方は電波のヨシオただひとり……

 だが、敵は、まだ四人も残っている!

 これはもう、ダメかもしれん……。

 弱気にササハラをうかがうと、口元に不敵な笑みを浮かべていた。

「ササハラ、おまえまだあきらめてないのかよお……?」

「諦める? まさか。ようやく盛り上がってきたところだろう」

 ……まったく

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10-4 劣勢

10-4 劣勢

 ハヤトの解毒剤を賭けたリアル格闘ゲーム……【QUEEN OF FIGHTER 9X】……。

 サユリの操る悪意ファイターは二人倒したものの、福岡ファイターもすでに四人やられ、旗色は悪い……。

 そして、炎属性であるシンジローを選択したあと、サユリが出してきたのは、見るからに強そうな氷属性の悪意だった。

「ヤノ……相手の悪意だが、実は見覚えがある」

 

「ええ?」

「私の筑紫丘高校の後

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10-3 激闘

10-3 激闘



「げ、ゲームだとお?」

「そう! 悪意になって、故障していた腕は治った! あとはヤノくん、アナタとの関係の決着だけ。だから、ワタシとアナタで、勝負がしたい!」

 そういえば、アーチェリー以外でたったひとつ、サユリが好きなものがあった。

 対戦格闘ゲーム……。

「どういうゲームだ?」

 ニヤリと笑ったサユリが指を鳴らすと、地震のような地響きがして、動物園の敷地内に、とつぜん妙な舞台がせ

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