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幕間11 カムラの見たもの
クリハラ10番勝負とかいう、くそメンドくさいのが、やっと終わった……。
いきなり撃たれたクリハラも結局無事で、ハヤトさんやナミさん、シンジローや他の仲間たちも、和気あいあいとしたムードになっている。
そんな雰囲気に嫌気がさし、俺は、高宮八幡宮の裏手にひとりポツンと居た……。
ヤギハラに続いて、クリハラまで強くなってしまった……。あいつらはこっち側だと思っていたのに……。
「…………
11-8 クリハラ10番勝負!8
「く、クリハラアアアアアァァァァァーーーーーーーーー!!!」
コミネさんが絶叫する。
心臓のあたりに灼けた鉄の棒をねじ込まれたみたいだ……。
致命傷だ、と自分でもわかった。
凄惨にいじめられた中学時代、おれは何度も何度も死にたいと思った。だけど、実際にその瞬間が訪れたとき、おれは心の底から思った……。
死にたく……ない。
「……おねがいっ……間に合って……!」
必死な
11-7 クリハラ10番勝負!7
不敵な笑みを浮かべ、悠然とおれを見つめるハヤトさん……。
そのまわりに、数人の人影が駆け寄った。
「は、ハヤトー」
「ハヤトさん……」
「あ、アニチぃ。大丈夫なのかよお……」
「ハヤト……クリハラくんのアリバはどんどん高まってる……このままだと、真のアリバに目覚めるよ」
「……ヘッ。そいつは結構じゃねーか」
「聞いて! ボクのアリバが戻りつつある! つまり、ハヤトに宿っている
11-6 クリハラ10番勝負!6
仲間全員とのガチ・スパーリング『クリハラ10番勝負』……
五人と戦い、0勝5敗と全敗だ……。おまけにここから先は、クリハラ・ランキングAランク以上の強者との戦い……。
「クリハラくん。いい調子だよ。クリハラくんのアリバ、どんどん高まってきてる」
インターバル。回復ドリンクを差し出してくれながら、ナミさんが言った。
「……いい調子? だっておれ、無様に負けてばかりで……」
「負け
11-5 クリハラ10番勝負!5
―― 福岡ファイターフルメンバーに、ナミさんササハラさんを加えた総勢13人が、高宮八幡宮の境内に集まっていた。
「……戦う順はクリハラがそのつど指定。そして、審判はこのコミネがつとめさせてもらう。以上だ」
「……………………」
おれは、コミネさんの説明を遠くに聞きながら、もくもくとアップする。
いよいよだ。おれと仲間全員との、ガチンコスパーリング『クリハラ10番勝負』……。
「
11-4 クリハラ10番勝負!4
夏の鴻ノ巣山の朝だ。
空気は清々しいが、あいにく、朝の散歩としゃれこむ気分にはならないぜ……。
「……なあ、ナミ。アイツ、本当に来るのか?」
「……わかんない。一応、打診はしてみたけど、彼の行動は、教団上層部でもはかりかねているから……」
クリハラの野郎が突然【クリハラ10番勝負】とか言い出した翌日。
俺とナミは、鴻ノ巣山に来ていた。どうしても、会わなければならないヤツが居る
11-3 クリハラ10番勝負!3
血のように赤い空。
影絵のような黒い木。
あちこちで反響する嘲笑。
火のついたライターが、クリハラ・メモに近づけられていく……。
『や、やめろっ!』
『その口のきき方はなんだって聞いてんだろおがよォ? やめて欲しかったら、やめてくださいだろうがっ』
『や、やめて……ください……』
『チッ……なさけねーヤツ』
「やめて欲しかったら、これに顔つけて土下座しろや」
犬のフ
11-2 クリハラ10番勝負!2
……また夢を見ていた。
今度は夢だとすぐわかった。その邪悪な女の顔を見て……。
「……クリハラクン。話ってなあに? こんなところに呼び出したりして……」
「は、ハズキさん!」
……やめろクリハラ。それ以上話すな! その女は、おまえが思っていたような女じゃないんだ!
……今のおれはそう叫ぶが、中学生のおれに、その叫びは聞こえない。
「は、ハズキさんも、ちっ、筑紫丘高校に、
11-1 クリハラ10番勝負!1
……また中学時代の悪夢を見た。久しぶりにあいつの顔を見たせいだろう。
おれをさんざんイジメたあの男……。
母子家庭の冴えない中学生から、いろいろなものを奪った恵まれた男……。
『クリリンよお』
いじめグループのリーダーであるその男は邪悪な笑顔で言った。
『いつもお前の弁当捨てちまって悪ィと思ってさ。今日は俺が特別に弁当作ってきてやったんだ。ホレ』
教室のおれの机の上に、異臭