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食料と農業

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2019年7月の記事一覧

「記録上の父」と「実際の父」を見比べる

この表を見て和牛のプロたちは何を考えるでしょうか?

和牛の遺伝子不一致問題について宮城県の家畜市場で行われた26日の説明会のあと、県と全農宮城県本部はメディア関係者向けに会見を開いてくれました。

そこで私は、これまでに確認された17件の和牛の遺伝子不一致(父子矛盾)がどんな種雄牛についてだったのか質問をしました。それに対する回答をもとに私が整理してみたのがこの表です。

和牛人工授精に詳しい

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2008年授精からも遺伝子不一致、宮城県産の和牛

  宮城県の和牛の遺伝子不一致問題で宮城県と全農宮城県本部が26日午後に同県美里町の家畜市場内で県内のJAや和牛改良組合の関係者向けに説明会を開き、同日までに書類上の父牛と遺伝子型が一致しない子牛が17頭確認されたことを明らかにしました。

これまでの検査頭数は149頭なので、父子の不一致率は11.4%です。
 
この獣医師が授精を行った牛の産子は県外にも多数出荷されていて、7月25日時点でさらに

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宮城の和牛デタラメ授精、少なくとも3年前から

宮城県産の子牛のデタラメな人工授精記録について、秋田県畜産振興課は筆者からの問い合わせに以下のように回答してくれました。なんと2016年に宮城県から買ってきた子牛から授精記録と異なる遺伝子が見つかっていたと言います。しかも、その不一致が発覚したのは昨年10月です。

以下は秋田県畜産振興課の説明です。

「平成28年に県内生産者が宮城県の家畜市場から導入した雌牛について、昨年10月、検査により遺伝

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宮城県、デタラメ授精記録で説明会

宮城県と全農宮城県本部は26日午後2時から県内のJAや家畜改良組合の代表らを集めて、和牛の人工授精業務についての説明会を開きます。

県内で開業する獣医師が作成した和牛への人工授精証明と実際に生まれた子牛の遺伝子が一致しなかった事例が多数見つかっていて、これまでの検査結果を含めその事実関係を初めて公表する予定です。

宮城県は今年5月に獣医師に授精記録に正確を期すよう行政指導していますが、事実を公

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30年を要した日本の農政改革

この夏、時間をかけてじっくり読みたい一冊です。

ベルリンの壁の崩壊と「農政改革」を結び付けてもピンと来ない人もいるかもしれません。しかし、冷戦の終焉が、勝者である西側主要国の外交や経済政策にも大きな変化をもたらしたことは皆さんもご存知の通り。

いま進行中の日本の農政改革も30年という長いスパンで考えて、戦後史の中に位置付けて評価しなければ、その意味や意義を見誤ることでしょう。

明治維新や

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宮城県のデタラメ授精証明、全国和牛登録協会「説明受けず」

22日午後、私の仕事場のFAXに京都市にある全国和牛登録協会事務局から連絡が1枚入りました。先週末19日に向井文雄会長宛てに送った質問への回答です。全文、ここに紹介します。

質問 宮城県が人工授精師を立ち入り調査し、行政指導した事実について、国、県または全農等の関係機関から説明を受けていますか?

回答 説明は受けていません

質問 授精証明と異なる遺伝子を持つ産子の取り扱いについて、登録協会は

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和牛とあぶくのような儲け話にご用心

和牛の世界はどうしてあぶくのような儲けを期待する輩が跋扈するのだろう?

デタラメな人工授精証明が横行した宮城県の実情を調べていて、ふとそんなことを思いました。

和牛バブルに浮かれてコンプライアンスがおろそかになっていたのではないでしょうか?そんな時、背後に怪しげな欲望にかられた人々も近づいてくるものです。気を引き締めなければならない時です。

あれやこれや考えながらネット上で調べものをしていて

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宮城県発の疑わしい牛、全頭DNA検査必要!

 全農宮城県本部(JA全農みやぎ)は18日、授精記録とは異なる牛の遺伝子が検出された同県産の子牛が流通している問題で、子牛の所有者の同意を得ながら疑わしい牛を全頭DNA検査にかける必要があるとの考えを明らかにしました。人工授精業務を監督する立場にある県と連携し、全容解明を急ぎます。

 検査費用をだれが負担するかは現時点では未定ということです。

 ふつうなら牛の所有者が検査費用を負担するものの、

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DNA不一致の和牛、農水省も5月に把握

 宮城県の獣医師が人工授精を担当した和牛の産子DNA検査で親と異なる遺伝子が検出されたことがわかりました。東北のほか、九州でもDNA検査を実施しているもようで、畜産農家の間に動揺が広がっています。

 農林水産省は「宮城県から5月頃に第一報の連絡を受けていた」(畜産振興課)ということです。しかし、県と和牛の流通を扱う全農宮城県本部による調査はいまも継続中で、公式な発表はありません。

 今年3月に

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授精情報と異なるDNAを持つ和牛、宮城県で発覚

和牛の厳格な遺伝情報管理システムを揺るがしかねない不祥事が宮城県で発生したようです。

授精記録とは異なる種牛の精液を使った牛が出回っていることが宮城県などの調査で確認されました。

筆者の問い合わせに対し、県農政部の畜産担当幹部が「現在もなお調査を続けているところだ」と口頭で回答しました。詳しい調査結果も近いうちに公表されることでしょう。

県が育成した種雄牛のほか民間種畜業者などが

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