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純粋な人達

風鈴ちりんちりん 気づかない程度の傾斜角度の床を赤や黄色、青や茶色のビー玉が静かに転がっていく。 ビー玉の質量や素材によって転がるスピードや転がり方にはっきりとした違いが出る。 やがて全てのビー玉は壁にぶつかり思い出したように方向を変え、隅っこの方で横一列に揃った。 じっくり ぼんやり じっくり ぼんやり  輪郭を成したり 成さなかったり。 何度かビー玉を転がしたがとうとうビー玉の回収が面倒になり隅に並ぶビー玉群を眺めるだけの時間が経過していた。 ビー玉に自分を

    • アヒルボートの少女

      公園の少女がコーラのラベルを剥がす それが合図だった 呼吸をするように人々を運ぶ列車 道にこびりつく黒ずんだガム それは呪詛を含んでいる 雨にいくら濡れても乾いたお前のその心は ひび割れたまんまそこにあるんだ 少女はその全てを知ってしまった 少女は全てを知って泣いた でも泣いていても何も変わらないから 少女は悲しい目でアヒルボートを漕いでいる アヒルボートは大きな弧を描いて 世界をまるっと囲んでいった それが愛かは分からない 漕ぐしかないから漕いで

      • あっちの世界

        夕方の海沿いを歩いています。 私はあなたのことが怖いです。目の奥をじっと見られて全てを見透かしたみたいなあなたがとても。その目は冷たくて黒くて乾いています。 だけど私はあなたのことが好きです。何故でしょう。それは私にもわかりません。全部諦めたみたいなあなたに私の歪んだ母性が歓喜してるような気がします。今なら母親の気持ちが少しわかるような気がします。こういう人を好きになったから家庭が壊れたのかもしれません。私は父がどんな人か知らないけれど 今何を見てますか?何を考えていま

        • コンビニエンスロマンス

          チャレンジ応援文化祭で下ろしました「コンビニエンスロマンス」の脚本です。 コンビニ 篠崎(26) 忽那(24) 奥谷(25) ♪コンビニ退店音  篠崎「ありがとうございましたー」 篠崎裏にある事務所に入る 忽那「お疲れ様です」 篠崎「あれ珍しいね、帰らないの」 忽那「はい、ダメですか?」 篠崎「いいんだけど。いつもすれ違いだからなんか新鮮だわ」 忽那「ですね、毎日のようにあってるけど挨拶しかしないですよね」 篠崎「ね」 忽那「この時間ってホントに人

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        純粋な人達

          リズミカリズム

          こころが遠く風船になって飛んでいった。 宇宙の目をした少年のまばたきが はしっこの星の風になって 暖かい春を呼び花が咲いた。 少し後に飛んでいったのが風船で その風船が空を這ってるをみてたら なんだかかなしい気持ちになって だけど街のレコード屋は休みだし ランドセル背負った2人が 僕の方見て逃げて行くし また空を見て風船の行方を目で追うしかありませんでした。 きっとあれは宇宙まで飛んでいって 星々の一員になって どこへいったのか僕は分からなくなってしまうでしょう。 まるで最初

          リズミカリズム

          裏垢

          男「違うんだって」 女「じゃあ何なのこのメッセージのやり取り。イチャイチャして気持ち悪いんだけど」 男「いや、ほんとにごめんって」 女「ちょ、貸して」 男「ねぇちょっと待ってよ」 女が男の携帯で電話をかける 女の携帯が振動する 女「もしもしかなです〜」 男「え?」 女「わかるでしょ。アンタが浮気しないか裏垢で試してたの」 男「え、じゃあ浮気じゃないじゃん」 女「何言ってんの?馬鹿なこと言ってんじゃないよ。もう最悪。さようなら」 女が出て行く。 しばらく

          書いたものは全て消したかった

          僕がこのnoteを使用し始めたのは大学3年頃からです。僕は自分が作ったものを見返すという習慣がないので文章を読めば恐らく自分がどのような心情でそれを書いたのか確かめるということをしません。その時見えていた世界をそのまんま文章にしているので「井の中の蛙感」を自分自身で受け止められないんです。 僕は絵も描きますが、基本的な創作スタイルは文章にも絵にも共通していて何を創ろうかという意識を脳から排除してその時、その瞬間に生まれたものを大事にします。調子がいい時はペンに書かされている

          書いたものは全て消したかった

          陸の外、海の中。

          熱帯びる空気大きく吸い込んで水中にダイブ。 面白いです。楽しいです。はい、そんな感じです。記憶の断片が鱗のように脳から剥がれてキラキラと水に還っていきます。その煌めきがなくなってしまう頃には恐らくそれを見たことすら私はもう少し経てば忘れてしまうでしょう。 さて、深く潜ると街が見えてきました。昔、何かの絵本で読んだような、そんな水中の都市が私に手招きをするようにそこに存在していました。市場のような屋台の連なりを見つけたので私は今日はここで食事をすることにしました。 水の民達

          陸の外、海の中。

          面白い人

          トタン屋根が雨を弾く音に心地よさを感じながら、私は今から会う約束をしている彼のことを考えた。 「珈琲が飲めません!!」とだけ書かれたプロフィールが未だ発見した当初の衝撃と等しい鮮度を保って脳から離れない。 この人とは仲良くなれそうだな思った。私は趣味の欄に「カフェ巡り」と書いていたが、同じカフェ巡りが好きな男性と会うよりも何倍もこの男と仲良くなれそうな気がしていた。 なんとなく使用していた出会い系のアプリで初めて自分からコンタクトを取った。 好きな映画の話やたまたま一

          面白い人

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          大学の時に作ったネタ

          自分でとても気に入っています。

          大学の時に作ったネタ

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          電柱に向かって雪玉を投げた。   見事にヒットした雪玉が 形を失い落ちていく。 興奮は一瞬。虚しさが永遠。

          電柱に向かって雪玉を投げた。   見事にヒットした雪玉が 形を失い落ちていく。 興奮は一瞬。虚しさが永遠。

          夜が来た

          部活終わりに教室に戻ると、クラスメイトの山下が私の水筒を転がしていた。 文武両道で人気者の山下の歪んだ性癖に私の水筒が巻き込まれているのだろうか 教室の窓からは墨のような液体が漏れ出て、 やがて巨大な黒い手となって放課後の夕日を掴んだ その瞬間空を飛ぶカラスが空中で止まり、17時のチャイムは同じ音階を刻み続けた。 山下は時間を止めた。私はその瞬間を見た。 山下は全裸になり言葉にならない言葉を吐き出し続けた末、私の水筒に入っているお茶を頭から被った。「うぉーーーーーー

          夜が来た

          あの街を思い、

          仕事で忘れていた街にやってきた。 本当に忘れていればこの街に来ても何も感じないはずだから正しくは忘れようとしていた街。 全てが蘇った。 一緒に歩いた道。 買い物をしたスーパー。 近所のコンビニ。 こんなに静かだったか。 この街はこんなにがらんとしたものか。 大きな公園が駅の反対側にある。 池にアヒルボートが浮かんでいる。 平日だから今アヒルボートに乗っているのは 暇な大学生カップルくらいだ。 私もそうだった。千葉にある実家から毎日のようにここにやってきた。 行き

          あの街を思い、

          高校最後の夜にあの子は バタフライナイフ 二丁持って町から町へ 殺し屋の美少女 その日に限り髪カット。 第二ボタンもらえず髪カット。 いつもはザックリのナイフ 今日は繊細に髪カット。 僕の第二ボタン 余ってる

          高校最後の夜にあの子は バタフライナイフ 二丁持って町から町へ 殺し屋の美少女 その日に限り髪カット。 第二ボタンもらえず髪カット。 いつもはザックリのナイフ 今日は繊細に髪カット。 僕の第二ボタン 余ってる

          見方を変えようと 世界を反転して見てみたら 頭に血が昇って 自分自身の怒りに気づいた

          見方を変えようと 世界を反転して見てみたら 頭に血が昇って 自分自身の怒りに気づいた

          あなたが拍手したそのダンスは 転んだのを誤魔化すために やったもので 僕が踊りたかったものじゃない だけどあたかも狙ってやった みたいに 手を広げてお辞儀をした あれから随分時間が経つが あの時ちゃんと転んでおけば 僕はもう少し幸せになれたかな

          あなたが拍手したそのダンスは 転んだのを誤魔化すために やったもので 僕が踊りたかったものじゃない だけどあたかも狙ってやった みたいに 手を広げてお辞儀をした あれから随分時間が経つが あの時ちゃんと転んでおけば 僕はもう少し幸せになれたかな