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ガラスの空に穴あけて



空に向かって小石を投げた

そしたらパリンって音がして

皆んなバタバタと倒れていった

やっぱりここは水槽だった

私だけここで息ができる

小さな穴から宇宙をいっぱいに吸い込んで。

私が自由になるとみんな死ぬ

もうこの街にはいられないね

ちょっとの間、楽しかったよ

月がいつもより綺麗に見える

もう欠けていることに何も思わない

もう満ちていることに何も思わない

おどろいた

向こうの丘に人影がある

私と同じように月を眺めて立っている

手には石を握りしめていた

もしも君と目があったら

何か特別な事が始まりそうだ

君のこと私一生忘れないよ

振り返って歩き出す

生まれて初めての「さようなら」

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