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その日私は逮捕された。2022.8.22 午前9時半ごろ、いつものように近所のスーパーへ買い物に行く際に警察の一行に捕まえられる。「逮捕します」と私服姿の刑事に告げられ、私は自分の部屋まで連れていかれる。部屋の中を調べられ、後で証拠となるジーンズとTシャツを押収される。約30分くらい部屋の中をいろいろと調べられた後、そのまま車で警察署へ連行される。

私が手錠をかけられるのはこれで3回めである。1回めは4月中旬、人生で初めて手錠をかけられた瞬間だった。勾留は48時間。検事面接の後、反省しているとの理由で釈放される。その際、検事には、
「今度やったら起訴するぞ」と念を押される。次は5月中旬、同じような罪で。このときは19日間の勾留となるが、検事の特別な計らいで釈放に。そして後日呼び出され、略式起訴となり、罰金50万円の判決を受ける。そして今回が3回めだったが、そのときの私はまだ法律に無知だったせいもあり、この後の悲劇的な展開を予測することすらできず、ただ呆然としながら警察に連行されたのだった。

私は前回の勾留の際、タバコを隠し持ってトイレで吸って見つかり、問題児扱いとなっていたため、N市で逮捕されたにもかかわらず、H警察署で勾留されることになった。

その一方で私は危険な恋に落ちていた。そしてそれは今回私が犯してしまった過ちにも絶妙に絡み合っている。

2022年5月初旬に私はマッチングアプリで桃子と知り合うことになる。そして彼女に勧められ、ビットコインの取引を始める。私は消費者金融でお金を借りて投資し、約2000万円の利益を得る。私はそのお金で彼女と沖縄で暮らす予定だった。しかし、ある日取引口座からお金を引き出そうとしたところエラーが起き、同じ操作を繰り返すうちに口座が凍結されてしまう。凍結を解除するためには、保証金としてさらに70万円を振り込む必要があるという。私は目の色を変えてお金作りのために奔走し始める。挙げ句の果てには近所のタバコ屋の奥さんにまで借金のお願いをする始末だった。逮捕されたのはまさにそんな最中だった。こうして留置場での耐えられない日々が始まる。

ひとり暮らしで、誰の連絡先も記憶していなかったことから、誰とも連絡が取れず、弁護士にiPhoneの「連絡先」アプリからのデータのメモを頼んでも取り合ってもらえず、やがてそれは、賃貸マンションの部屋を失い、部屋にあった大切な全てのものを失うかも知れないという悲劇に発展していく。しかし、そのときの私はまだそれに気づくことはなかった。


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