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美術展観賞記録

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展覧会に行ったときの感想文。Instagramに投稿しているものと文章はほぼ同内容ですが、写真および作品解説を追加していることがあります。
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#創作大賞2024

「川崎市制一〇〇周年記念 斎藤文夫コレクション 名品展」(川崎浮世絵ギャラリー)

「川崎市制一〇〇周年記念 斎藤文夫コレクション 名品展」(川崎浮世絵ギャラリー)

 斎藤文夫氏は川崎市議会議員・参議院議員など、政治家として活動していた人物。現時点で6000点の浮世絵コレクションを持っており、ここ川崎浮世絵ギャラリーは氏のコレクションを借りる形で運営しております。今回は江戸中期の鈴木春信から明治の楊州周延まで、浮世絵(主に錦絵)の変遷を時代順に辿った内容。

 個々の作品を観るのももちろん良いんですが、個人的には浮世絵史みたいな流れで観るのが楽しかったです。

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「ザ・キャビンカンパニー大絵本美術展 童堂賛歌」(平塚市美術館)

「ザ・キャビンカンパニー大絵本美術展 童堂賛歌」(平塚市美術館)

 ザ・キャビンカンパニーは阿部健太朗と吉岡紗希の二人による絵本作家・美術家のユニット。Eテレの子供番組、ポケモンとのコラボレーション、こどもの読書週間ポスターなどといったコラボレーションも多く、名前を知らずとも、ひょっとしたら彼らの作品にお目にかかっているかも知れません(私はポスターを観たことがありました)。

 非常にプリミティブで、力強いパワーに満ち満ちた作品。既に色が塗られた画面に型紙を貼り

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【画像72枚】「三島喜美代―未来への記憶」(練馬区立美術館)

【画像72枚】「三島喜美代―未来への記憶」(練馬区立美術館)

 私が始めて三島さんの作品を観たのは2021年、六本木・森美術館のグループ展。割と政治的なものにも傾きやすいテーマの展覧会で、作品はおろかインタビュー映像も力んだもの、気取ったものが多いなか、大阪のおばちゃん全開の自然体で語る三島さんの姿はひときわ印象的でした(ちなみに十三だそうです)。

 缶や新聞・チラシなどの「ゴミ」を題材に陶器を作るという作品アイデアも新鮮で、ほどなくしてART FACTO

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【画像27枚】「歌川国貞(三代豊国)の役者見立東海道 歌舞伎役者の面影」(藤沢市藤澤浮世絵館)

【画像27枚】「歌川国貞(三代豊国)の役者見立東海道 歌舞伎役者の面影」(藤沢市藤澤浮世絵館)

 美人画で知られる初代歌川国貞が三代豊国となってから制作された「東海道五十三次之内」(1852-53)、通称「役者見立東海道」。背景に東海道の風景があしらわれた役者絵のシリーズです。
当時の人気は相当高かったようで、「その二」という形で同じ宿場町を題材に描かれたり、「間(あい)の宿」と呼ばれる、宿場間にある休憩所を題材にした作品を制作していたりもし、最終的な総数は130点と、東海道の揃い物としては

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【画像49枚】「アルフォンス・ミュシャ展 アール・ヌーヴォーの美しきミューズ」(茅ヶ崎市美術館)

【画像49枚】「アルフォンス・ミュシャ展 アール・ヌーヴォーの美しきミューズ」(茅ヶ崎市美術館)

 1894年、オペラ『ジスモンダ』のヒットを受け追加公演が決定、主演女優のサラ・ベルナールが新しいポスター制作を印刷所に依頼したのは同年12月24日のこと。しかし常連のアーティスト達は休暇中、「1月1日〆切」という急な依頼に唯一対応できたのが、たまたま印刷所で校正をしていたというミュシャでした。ミュシャは挿絵画家としてサラを描いていたこともあり、ポスター制作の依頼を引き受けることに。

 そして、

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