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足立区の成人式に行ってきたよレポート

 意外にも「普通」だった。

 足立区の成人式は、毎年「成人の日」に同区内にある東京武道館で行われる。どうも今年は3000人以上が出席したようだ。

へしゃげた塩の結晶を彷彿とさせる外観

 私はスーツで出席した。一応、母の実家にはお古の振袖がある。でも、親戚中は私が振袖で行くなどと微塵も考えていなかったし、強制もしなかった(ありがたい)。

クールだね

 一方で、私の中には「せっかく親の振袖が残ってるのに」「ひいばあちゃんにちゃんとした写真を見せてあげたい」という後ろめたい気持ちが少しあった。なので、前撮りで母の振袖をガッツリ着て撮ることにした。よくよく考えてみれば、振袖って人生でこの機会にしか着れないからね。

西部劇で転がりがちな草とのツーショ

 令和の時代でも「女性がスーツで成人式に行く」とそこそこ驚かれてしまう。「親とかは残念がったんじゃない?」と聞かれることも多い。別にそれに関しては何とも思っていない。きっと単に珍しいから気になっているだけである。

 さて、東京武道館に着いた後のことを話そう。当日は早く会場に着いたためアリーナ席に座れた。

別名、区長ガチ恋席

 区長の近藤弥生さんを生で見るのは初めてだった。最高。無理。尊い。

区民歴9年目にして初のエンカ

 足立区には中学に上がる頃、親の転勤でやってきた。区内の学校に通ったのは、中学校の3年間のみ。当時、私はいじめられっ子※で「成人式なんて絶対行かないよ」と親に宣言するほどだった。あとなんかそういうのって人と違う感じがしてカッコいいと思っていた。

※どちらかと言えばいじられキャラかもしれない。当時少し痛めのオタクだったので。

 大学に入学してからもほぼ同じマインドだった。予想外だったのは、20歳を前にしてさらなる逆行ブームが来たことだ。その影響で、私は「あえて」成人式に行く決心をしたのである。 

入場の際に配られた足立区歌の歌詞カードを脈絡もなく置いておく

 正直言って、私は座標的に滅茶苦茶な自分の人生があまり好きではなかった。「転勤族が最終的に行き着いただけの地で成人式に出て誰と会うんだ」という仮想の怒りを検証して、今後のネタにするために出席した節もある。

 蓋を開けてみれば、意外にも自分には「一緒に成人式に行く友達」や「式後に写真を撮り合う友達」がいた。思い込んでいたよりも良い思い出ができて嬉しかった。人生とは良いことも悪いことも因果絡み。帰路で中学の同級生男子を何人か見かけて、申し訳程度の動悸を味わった。

愛区心溢れるタオル

 ところで、「足立区の中学校」と聞くと、脊髄反射で「治安悪そう」と思う方がいるかもしれない。

 その通りである。在校生徒が放火事件を起こしたり、原付で校庭を走り回ったりなどかなり荒れていた(どれも被害者なし)。卒業式の日なんて、某アリオ横の公園で特攻服を着た生徒が集いに集っていたし。地元の方には以上の情報だけでなんとなく私の母校※が分かるかも知れない。

 もちろん、全部の足立区立中学校がこの鬼治安なわけではない。と、思う。という……フォローをしておく。

※校歌の歌詞に学校の近くを流れる小さな川が入っている非ナンバー中

エモめの校舎イラスト

 で、話を戻して成人式の雰囲気について語ると、驚くほどに荒れておらず、本当に冒頭で述べた「普通」以外の言葉が見つからないような式だった。まあ終始、雑音の域を出ないザワつきがあった気もするが。それでも基本的に大人しく、後半に開催された抽選会でここぞとばかりに大盛り上がりする「弁えたノリの良さ」だった。そういうのは大好きなので楽しかったなあ(極悪プリンス?)。

単勝よりもワイド派

 あと、私が見た限りでは、中学校の卒業式と違って特攻服の人はいなかった。

 一日の最後にはピザを爆食した。なんと、ドミノピザが成人の日限定で、ピザを無料提供していたのだ(対象は新成人のみ)。

美味しそ〜ハワイアンピザ大好き!

 式から帰宅した頃はまだそのことを知らなかった。私はスーツを脱いでダラダラTwitterを見ながら、弟が風呂から上がるのを待っていた。たまたまドミノピザの公式Twitterが目に留まる。がめつい私は飛び上がり、3秒で電話をかけ、弟が風呂から上がるよりも先にピザを受け取って帰ってきた。

 衝動で終わるなんて良い成人の日だ。40歳になっても生命の勢いが華厳の滝のままだといいな。



(おわり)






p.s. 髪や顔面を前撮り以来に着飾った。爪も式の前日にネイルサロンに駆け込んでバリ綺麗にしてもらった。

今だけは私本体よりも爪の方に価値がありそう

 思いのほか髪と爪を褒められて嬉しかったなあ。ちなみに、ネイルサロンに行くのは今回が初めて。手は常時目に入る部位だから「着飾り」の実感が頻繁に得られて良いね(人類間でn万回目の感想)。久しぶりに会った中学校の友人からは「あんたが女の子っぽいことをするようになった!」と感動された。草。その裏でしれっと名前が出てこない同級生もいたけれどパッションで乗り越えた。

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